身体づくりにおいての自分の立ち位置を知り、できるだけ効率的に前進するためのダイエットとトレーニングのコース設定のアドバイスをお送りするシリーズ記事です。
第3弾の今回は4つの体形カテゴリーをカバーします。
- 体脂肪は多く、筋肉は少ない
- 肥満(とにかく体脂肪が多い)
- 洋ナシ体形(体脂肪はそこそこで筋肉が少ない)
- 中途半端(体脂肪そこそこ筋肉そこそこ)
「洋ナシ体形」と「中途半端」に関しては、身体づくりがうまく進まなくて困っている人に使えることがたくさんあります。多くの人にとって聞きたい答えではないと思いますが、停滞から抜け出して前進するには向き合わなければいけない答えです。
体脂肪は多く、筋肉は少ない(体脂肪率23〜30%)
体脂肪は多く、筋肉は少ない人の太ももの断面図
行動プラン:体脂肪ダウン・筋力アップの同時進行
なんともさえない体形カテゴリーの名前ですが、今回のシリーズで紹介するすべてのカテゴリーの中で一番大きな可能性を秘めています。1年後には、親戚の集まりで周囲のド肝を抜くような変化が期待できます。
トレーニング経験が少なかったり、まったく無かったりするので、その分伸び代が大きく、筋力・筋肉量を上げやすいです。
体脂肪も多いですが、比較的速いペースは落としていくことができます。
1ヶ月単位くらいで経過をチェックすると、体重は軽くなり、筋力は上がり、ハッキリ身体の変化が分かるというのが数ヶ月にわたって続けられます。
どのくらいのペースで身体を変えられる?
このカテゴリーの目安の体脂肪率を23〜30%としました。体脂肪率は正確に数字を出せるものではないので、細かい数字を神経質に考える必要はないんですが、これくらいの体脂肪量のある人の場合、週に1kgくらいのペースで体脂肪を落としても筋肉が落ちる心配はないと思います。
ただ、そこまで実際に減量ペースを上げると筋肉を増やすのが難しくなり、せっかくの伸び代を活かせなくなります。筋肉は増えず体脂肪だけが減って、行き着く先は「洋ナシ体形」というリスクが高くなります。
お医者さんにはホメられるかもしれませんが、良い身体を作りたいと思っているなら目指すところが違います。
週500g〜700gくらいの減量ペースを目安に進めるのをオススメします。筋肉を増やしやすくなる他に、キツい食事制限に付きものの空腹やイライラを抑えることにもつながります。
このシリーズのPart1で紹介した「体脂肪も筋肉も多い」カテゴリーと同じように、できるだけ長い期間「ダイエットをしている」と感じることなく進められると理想的です。
このシリーズのPart2でトレーニング初心者が増量に入った場合、月1〜1.5kgのペースで筋肉を増やせると紹介しました。カロリー収支がマイナスの間は筋肉を増やせるペースは制限されるので、そのまま月1.5kgを期待するのは難しくなります。
それでも体脂肪率の高い内は、食事制限をしていても身体に蓄えた脂肪からまかなえるエネルギーがたくさんあるので、上記に近いところまでペースが上がる人もいるでしょう。
同じトレーニング初心者でも、体脂肪の少ない人は、カロリー収支がマイナスの状態で筋肉を増やすことはできないので、コース設定は大きく変わってきます。
体脂肪は多く、筋肉は少ない人によくある失敗
「筋肉はすぐ付けられる」と思い込んでいる
これは単純にワケが分かっていない人の思い上がりです。例えば、「トレーニングを始めたらすぐに脚が太くなってジーンズがはきづらくなって困る」という話をする人がいます。これはほぼ間違いなく一気に筋肉が増えたというワケではなくて、脚の筋肉のグリコーゲンと水分量が増えただけでしょう。このカテゴリーにあてはまる人は、太ももにもたくさんの脂肪があるので、この脂肪が落ちればズボンのサイズの心配は要らなくなります。
細いウェストに太く強い脚の身体になると、これに合ったズボンを作っているメーカーの少なさに気付きますが、ずっと先のことです。
とにかく、減量中に筋肉を維持するにはレジスタンストレーニングが必須です。
減量ペースを上げすぎて筋肉が増やせなくなる
上に書いたようにこのカテゴリーの人はしばらくの間、体脂肪を落としながら筋肉を増やしていくことができますが、欲張って減量ペースを上げ過ぎるとうまくいかなくなるので注意が必要です。速く体脂肪を落とすことができるとしても、それが最善ではないケースの良い例です。
いい加減なフィットネス用品やプログラムに引っかかる
シットアップの補助をする自宅用腹筋マシンをはじめ、DVDに合わせて身体を動かすプログラムなど、深夜のテレビ通販はいい加減な物がたくさんあります。
ちょっと効果を感じても、はじめの数週間を過ぎると変化を感じられなくなります。これは段階的に負荷を上げていくことができていないのが原因です。
実践アドバイス
- バランスの取れた、筋力トレーニングプログラムを使って、段階的に負荷を上げていく。
- トレーニング種目のフォームを練習して身体で覚える。
- 月に1.5kg〜2.5kgの範囲で体重の減量目標を立てる。
これの数字は1ヶ月に落とせる体脂肪の重さと、増やせる筋肉の重さの差になります。背が高く、体脂肪が多いほど、体重の減り幅は大きくなります。
(例えば、背が高く体脂肪が多い人は、1ヶ月に4kgの体脂肪ダウンと1.5kgの筋肉量アップで、4kg − 1.5kg = 2.5kg。背が低く、体脂肪量が控えめの人の場合、2.5kg − 1.0kg = 1.5kg)
肥満(体脂肪率30%以上)
行動プラン:気持ちと生活習慣を切り替える
一晩で肥満になる人はいません。長い期間ずっとカロリー過多な食生活を続けてきた結果です。どうしてそうなったのか、自分の食べているもの、生活習慣、自分をとりまく環境などをじっくり考えてみましょう。
- 食べ物
明らかにカロリーの高いジャンクフードは抜きましょう。
毎日2リットルボトルのコーラを飲むような習慣が身に付いている人は、ダイエットコーラに換えて、さらにコーラなしの生活に慣らしていきましょう。
毎食後デザートを食べている人は、量を減らしていきましょう。
野菜を食べると、満腹感が長持ちします。我々のひいおばあさんの世代が食べ物と認識するものを選んで食生活を組み立てるようにすると、大きく変わります。
このくらいシンプルなことから始めて、身体も生活もどう変化するか様子を見ましょう。
- 生活習慣と環境
肥満の原因は単純に食べ物だけでないこともあります。自分の生活している環境や、その環境の中で身についた習慣が肥満の原因になることもあります。
Nabilという私の友人は食べるのが好きなんですが、この5年ほどめちゃくちゃな食生活が続いていて、身体を壊すんじゃないかと心配させられます。Nabilは休みによく旅行に行くんですが、その休暇の予定を食事を中心に組み立てるのが「習慣」になっています。自分が旅行に行くときに、Nabilに行き先を言うと、その街で要チェックのレストランをリストアップして教えてくれます。
Nabilは石油で潤ったアラブの国に住んでいて、外に出て活発に動きまわるようなタイプでもなく、人付き合いは飲み食いが中心になります。それ以外のところで運動をして、食事量をコントロールできるならそれで良いんですが、彼の場合はそういうワケでもありません。
このようなケースでは、食べ物自体ではなく、生活習慣や環境を変える(もしくは、その捉え方を変える)ことが必要です。これを実行するのは口で言うほど簡単ではなく、私の専門から外れるのでここまでにしておきます。
写真のJesseは病的なレベルの肥満で、おそらくピーク時の体脂肪率は70%近くあったと思います。そこから体重を半分以下にまで落としました。気持ちを切り替えて本気になればなんでもできるという証明です。
実践アドバイス
あまり複雑な要素をあれこれ足すよりも、なにか1つ習慣を変える方がずっと効果的です。次のステップを順番にひとつずつ取り入れるようにしてください。
一気にステップ3に入りたいという人が多いですが、ここはガマンです。
- ステップ1A:筋力トレーニングを始める
このページのようなシンプルなプログラムから始めましょう。バーベルが使えると良いですが、身体の柔軟性や可動域の問題あって難しい場合、例えば自重スクワットから始めて、ダンベルを使ったゴブレットスクワットに移行していくのも良い方法です。
トレーニング効果だけでなく、トレーニングを習慣化して身体を動かす感覚を持つことが同じくらい重要です。
- ステップ1B:食べ物えらびを考える
毎日の食事から明らかなジャンクフードを抜いていきましょう。1ヶ月くらい掛けて加工食品を減らしていき、自然食品が食事の80%を占めるくらいを目指しましょう。お酒が好きな人は量を減らすことから始めましょう。
これである程度変化を感じられるはずですが、体重が落ちにくくなってきたら次のステップです。
- ステップ2:食事量を減らす
Eat Stop Eatを試してみましょう。とてもシンプルですが、着実に体重を落としていくことができます。記事に書いてあるままに実践してみてください。
Eat Stop Eatは、細かい食事量の計算が必要ないダイエット法ですが、炭水化物の量を普通に摂るよりちょっと意識して抑えられれば、体重を落とすペースを上げるのに効くと思います。
(肥満カテゴリーに入るくらいの体脂肪率では、インスリン感受性が悪く炭水化物の多いダイエットはあわない可能性が高いです。)
これで体重が落ちなくなってきたり、どうしてもEat Stop Eatに馴染めないという場合は次のステップです。
- ステップ3:さらに掘り下げる
このサイトのガイド記事に載せている内容を試してみてください。スタートガイドから読んでみるのをオススメします。
カロリー計算をして自分がどれくらい食べているか意識して、たんぱく質の摂取量を増やすように心がけましょう。栄養管理の重要度ピラミッドシリーズで解説していますが、一番大事なのは自分に合ったカロリー摂取量を押さえることで、三大栄養素の配分はその次です。野菜・果物をどのくらい摂ればいいかも合わせて確認しておいてください。
この段階では、食事タイミングはあまり気にしなくても大丈夫です。リーンゲインズの朝食抜きや、上のEat Stop Eatでの断食と採り入れると空腹感のコントロールがしやすくなるかもしれませんが、それだけで魔法のようにヤセられるということはありません。断食は自分に合うと思えばすればいいし、合わないと思えばしなくても構いません。この段階ではあまり関係ないと思っていいことですが、一番避けたいのは、細かいことを気にして行動に移せなくなるパターンです。
見落としがちなポイントですが、「肥満」カテゴリーの人は重たい身体を動かすために、上の「体脂肪は多く、筋肉は少ない」カテゴリーの人よりも筋肉が付いている可能性が高いです。その分、トレーニングを始めてからの筋肉の増え方はゆっくりで、さらに体脂肪が落ちていく関係で、筋肉が増えてもそれを測れなかったり、気付けなかったりします。
自分の思う方向に進んでいるかは、体重とトレーニング記録の変化でチェックするようにしましょう。お腹の皮膚のたるみを避けるため、減量は1週間に1kg以上のペースを超えないようにしましょう。
洋ナシ体形(体脂肪率12〜23%)
行動プラン:体脂肪ダウン・筋力アップの同時進行
洋ナシ体形カテゴリーに入る人は、体脂肪を落としながら筋力を上げるのを狙う作戦がオススメです。少しだけカロリー収支をマイナスにしながら、しっかりトレーニングをして筋力を伸ばします。筋力が伸びれば筋肉量も付いてきます。
この作戦は、トレーニング経験の少ない人には、ほぼ間違いなく使えます。トレーニング経験のある人でも使えることはありますが、必ずうまくいくとは限りません。効果が感じられないときは、次のどちらかの理由が当てはまることが多いです。
- 実際には同時進行できているのに、自分の変化に気付けていないことがあります。これは、経過チェックのデータの採り方が甘いか、そもそも非現実的な目標設定をしてしまっていて自分の変化のペースに納得できないかのどちらかです。結局ブレずにやりきることができず、いろんなプログラムを転々として結果につながらない悪循環に入っていきます。
- トレーニング歴が長く、筋力も高い人は同時進行はできなくなります。この場合は、行動プランを増量か減量かどちらかに絞る必要があります。
同時進行ができなくなるタイミングは人によって違います。生まれ持った体質的な違いのほかに、食事設定、トレーニング内容、睡眠時間、ストレス、精神的要因などいろんな要素が絡んでくるので、ハッキリ言えないところです。
こういう状態の人は次の「中途半端」カテゴリーに入ります。
体脂肪ダウンと筋力アップの同時進行を狙うときは、カロリー収支を少しマイナスにすることが多いですが、条件によっては、カロリー収支が釣り合うくらいに設定したり、プラスになるようにすることもあります。
前回の記事「肉体改造 体形別コース設定Part2 体脂肪の少ない人」で紹介した「ガリガリ」カテゴリーに入る人は、カロリー収支をプラスにすることで、結果的に同時進行したような見た目の変化を期待できます。
この「洋ナシ体形」カテゴリーの人の場合は、カロリー収支をマイナスにして、マイナス幅は体脂肪率に比例するように調整します。
このカテゴリーの中でも体脂肪率が低めの人(12%程度)はカロリー収支が釣り合って体重の変化がないくらい、体脂肪率が高めの人(23%程度)は1週間に0.35〜0.45kgくらいのペースで体重が落ちるのが目安になります。
「ガリガリ」と「洋ナシ体形」の間に入るような体形からうまく同時進行した例です。
我慢づよくブレずに続けることがカギなんですが、そこが難しいところでもあります。
どのくらいのペースで身体を変えられる?
体脂肪が落ちる方が筋肉が増えるよりもペースは速く、体脂肪は身体中のあちこちから落ちていきます。スタート時点で体脂肪がどの程度あるかにもよりますが、お腹のサイズは落ちていくものの、腕や脚のサイズは変わらなかったり、小さくなることもあります。思ったように成果が目に見えなくてじれったい思いをするかもしれません。
こういう場合、体脂肪キャリパーの測定データが経過チェックに便利なこともありますが、体脂肪が15%を切るくらいまで落とした上で、キャリパーの扱い方を理解していないといけないので、通常はオススメしていません。
実際に思った方向に進めているかは、筋力の伸びと、お腹まわりの計測サイズでチェックするのが一番です。この同時進行が進められなくなってきたら、次の「中途半端」カテゴリーになります。
洋ナシ体形の人によくある失敗
我慢づよくブレずに続けられない
フィットネス業界のマーケティングにヤラれて、現実的でない成果を期待していると、身体の変化が見えてくるまでじっくり取り組めず、あれこれプログラムを変えて結局身体は変わらないという結果に終わります。
筋力アップに専念してトレーニングしない
トレーニング記録の変化は経過チェックに使えるだけでなく、モチベーションにもつながります。
体脂肪が落ちながら筋肉が増えていると、何週間も体重や身体の計測サイズに目立った変化が出ないこともあります。ちゃんと進んでいるのか不安になるようなときにトレーニング記録が着実に伸びていれば、目に見える変化が出てきていないだけで、身体は変わっていっていると確認することができます。
風呂上がりに鏡で身体を見たり、お腹まわりなど身体をつまんで硬くなったかチェックすることもできますが、客観的な経過チェック方法とは言えません。見た目での変化を見るには、数ヶ月くらい期間を開けた写真は有効です。
実践アドバイス
- 自分の体脂肪レベル(12〜23%)に合わせて、1週間に0〜450gの範囲で体重が落ちるようにカロリー摂取量を設定しましょう。初めの計算のあと数週間試してみて、狙ったペースで体重が変わらない場合は、カロリー摂取量を増やすか減らすか調整しましょう。
- しっかり負荷を掛けてトレーニングしましょう。トレーニング記録を少しずつでも伸ばし続けられるように頑張りましょう。ただ、数字だけを追いかけてフォームが崩れてしまわないように注意してください。
中途半端(体脂肪率12〜18%)
行動プラン:増量か減量に目標を絞ってやり切る
このカテゴリーに入る人は、上の「洋ナシ体形」の人のように体脂肪ダウンと筋力アップの同時進行がうまくいかない、もしくは、しばらくうまくいったが身体に変化が出なくなってきたかのどちらかです。ここから先へ進むには体脂肪を落とすか筋肉を増やすかに目標を絞らなければいけません。
筋肉を増やすために増量に入ると、どうしても体脂肪も増えます。例えば筋肉を1kg増やすごとにどれだけ体脂肪が増えるかは、摂取カロリーができるだけ筋肉を作るために使われるようにどれだけうまく振り分けられるかが問題になります。
これには、かしこい食事設定、生まれ持った遺伝的特性のほかに、体脂肪レベルが大きく影響すると考えられています。一般的に言って、体脂肪が低い方がカロリーがうまく振り分けられやすく、増量期間中に大きく体脂肪を増やすことなく筋肉を増やしやすいということです。
例えば、体脂肪率18%から増量に入るとします。6ヶ月、毎日の生活やトレーニングでできることは完璧にこなして体重を10kg増やします。これを、体脂肪率10%でスタートして同じように増量した場合と比べたら、後者の方が増えた10kgの内筋肉の占める割合は大きくなります。
スタート時点の体脂肪率が10%か18%かで、同じ10kgの増量でも筋肉量の増え方が違ってくるということですが、体脂肪率は正確に測定できるものではないので、増量中にこの違いを実感するのは難しいです。増量期間のあと減量して体脂肪の落ちた身体を見て初めて分かることなので、ここに書かれていることを信じるか、自分でいばらの道を歩んでみるかは自由です。
「よし、じゃあ15kg増量しよう。トレーニング記録が伸びてればいいだろ」と考える人もいるでしょう。これは間違いなく使える作戦ですが、体脂肪15%を超えるあたりからは、内臓脂肪の増え方が大きくなり、それに伴う健康リスクを考えるとオススメはしません。
増量か減量どちらかに目標を絞るということに話を戻しますが、減量を選んだ場合、おそらく自分が思うよりも低い体脂肪率まで絞ることになると思います。減量終盤にはガリガリになってしまったような感覚になるかもしれません。
増量することを選んだ場合には、自分の好みよりも体脂肪レベルが高くなるでしょう。
最終的にたどり着くところは同じで、どちらから始めるかは好みの問題です。
ただ、減量にしても増量にしても、目標を決めたらやり切ることが重要です。減量中にはヤセすぎた気がしたり、増量中に太りすぎたように感じたりするものですが、途中でやめてしまうと結果的にどこにもたどり着けなくなってしまいます。
ほかに考えられる選択肢を試してこの「中途半端」カテゴリーに行き着いた人が先に進むには、目標を絞って歯を食いしばってやり切るしかありません。
このカテゴリーに入ること自体は悪いことではないので、現状を受け入れて、そこからベストな自分に向けて頑張りましょう。
「中途半端」カテゴリーの人によくある失敗
- 「洋ナシ体形」カテゴリーの人と同じ「我慢できない」、「プログラムをあれこれ変える」、「筋力アップに専念しない」が当てはまります。
- さらに一旦決めた目標をやり切ることができないことが多くあります。
実践アドバイス
- 目標をひとつに絞りましょう。途中、ヤセすぎや太りすぎと感じるときも、目標に沿ってやり抜く強い気持ちを持ちましょう。
- 減量をする場合、腹筋がハッキリ見えるところまで体脂肪を落としましょう。それからゆっくり増量に移行です。この下に掲載しているクライアント写真の体脂肪レベルが目安になります。
トレーニング記録は伸ばせるかもしれませんが、基本的に維持するのを目標にしましょう。
たいてい自分で考えるよりも多くの体脂肪を落とさないといけないので、目標を体重の数字で決めるのはオススメしません。
- 増量をする場合、実現可能な範囲のトレーニング記録の数字を目標にするか、「ガリガリ」カテゴリーで紹介した体重の増え幅を目安に進めましょう。(参照:肉体改造 体形別コース設定Part2 体脂肪の少ない人)
スタート時点で目標を決めて、それを達成するまで減量は我慢しましょう。
- 体脂肪率9〜15%くらいの範囲の中で、ゆっくり増量と減量のサイクルを繰り返しましょう。
「中途半端」カテゴリーに遺伝的に恵まれた人はいない
このシリーズの第1弾で遺伝的ポテンシャルの人口分布イメージグラフを紹介しました。フィットネス業界で働く人のほとんどは遺伝的に恵まれていて、グラフの黄色部分に当てはまります。薬物の力に頼っている人も混ざっているのでさらにややこしくなるんですが、こういう人たちは「中途半端」カテゴリーにハマる経験をしないので、一般人が停滞感に苦しむ状況をなかなか理解できません。
ウチのクライアントさんで、この「中途半端」カテゴリーにハマり、抜け出した実例を紹介します。
クライアント実例紹介
画像のChandlerは、遺伝的にはごく一般的な体質だと言えると思います。上のグラフでいうとオレンジ色の部分のちょうど真ん中あたりでしょう。彼は増量を成功させるために、一旦自分が望む以上に体脂肪を落としてから切り替える必要がありました。
この画像のBradは、筋肉を付けるという意味では遺伝的に恵まれていない方です。おそらくグラフの赤い部分の右側〜真ん中あたりに入ると思います。
筋肉量で比べると、Bradの方がChandlerよりも早い段階で体脂肪ダウンと筋力アップの同時進行が進まなくなりました。これが生まれ持った体質なので、Bradにできることは我慢づよく目標に沿ってやり切るということだけでした。まわりはそういう背景を理解せずにBradの変化にネガティブなコメントを投げかけることもありました。
Bradや、こういう状況でグッとこらえてやり切ることができる人には、敬意を表したいと思います。その頑張りが報われたのが画像でハッキリ分かりますね。ChandlerもBradも自分がどういう体質かを踏まえて目標を立て、理想の身体を目指して腐らずに頑張った成果です。我慢づよくブレずに頑張れば、多少遺伝的に恵まれていていても、頑張りきれない人よりも良い結果にたどり着けるということです。言い訳せず頑張りましょう。
さいごに
3回にわたる長いシリーズ記事になりましたが、お付き合い頂いてありがとうございます。みなさんに使える情報があって、ヤル気につながれば嬉しいです。
コーチングの経験を通じて学んできたことを反映して、それぞれのカテゴリーについて具体的な実践アドバイスを盛り込めるのは私自身嬉しいことでした。
今回のシリーズの内容は、サイト上の他のガイド記事を自分自身の状況に当てはめて使うのに欠かせない要になります。ぜひ、必要に応じて繰り返し使ってもらえればと思います。
はじめまして。
フムフム、ためになる。と、大変、有意義に拝見させていただきました。
2ヶ月前からトレーニングを始め、
身長167センチ、体重60キロ、体脂肪率15パーセント程度です。
トレーニングを始める前の体脂肪率25パーセントでした。
筋力量は2キロくらいアップしました。
洋梨体型から中途半端体型へ変わってきたと実感しています。
しかし、最近、減量ペースをあげてしまったせいか(900グラム/週くらい)、筋肉量が上がらなくなってしまいました。
このままのペースで減量を続け、体脂肪率12%程度までおとしてから増量に励むべきか、減量ペースを落とすべきか悩んでおります。
やはり、500グラム/週位の減量ペースに調整し、筋力量の増加が望めるか確認しつつ体重を落とした方が良いでしょうか?
マコトさん、コメントありがとうございます。
筋力トレーニングと減量の成果が出ているようで良かったです。
>500グラム/週位の減量ペースに調整し、筋力量の増加が望めるか確認しつつ体重を落とした方が良いでしょうか?
マコトさんが減量ペースを落としたほうが良いかどうかは、トレーニング記録の推移や空腹感など、さまざまな要因によって判断が変わってくる部分かと思います。
一般的には、減量ペースが早くなるほど筋肉量が落ちてしまう可能性が高まります。
トレーニング記録を伸ばしたり維持したりするのが難しくなっている場合など、筋力トレーニングに悪影響が出ていると感じられるようであれば、減量ペースを落として様子を見るのはアリだと思います。
ただ、筋力トレーニング初心者の場合でも、減量が進むほど筋肉はつきにくくなることに注意が必要です。
ここから減量ペースを落としたとしても、これまでのように筋肉は増え続けないかもしれません。基本的には、「減量をやりきるまでに筋肉量を維持できればOK」くらいの感覚でいていただけるのが良いと思います。
少しでもマコトさんの減量の参考になれば幸いです。
本橋様
わかりやすい回答ありがとうございます。
少し減量ペースを落として様子をみてみることにします。
クライアント実例紹介の写真の方々は、
体脂肪率で表すとどの位まで減量をしてから、
増量に励んでいるのでしょうか?
個人的には、10~11%位かなと思っているのですが、
参考までに、教えて頂ければ幸いです。
マコトさん、お返事ありがとうございます。
パーソナルコーチングでは体脂肪計は使わず、お腹まわりなどの身体のサイズ、体重、見た目などを使って進めているため、体脂肪の数値についてはなんとも言えません。
体脂肪計は誤差が大きいため必ずしもアテになるとは限りませんが、もし使った場合、だいたい10%前後になるかと思います。
あいまいな回答になってしまい恐縮ですが、参考になれば幸いです。
はじめまして。
私は現在33歳で170センチ86キロの男です。
3ヶ月前までは113キロ(最大時124キロ)ありました。
最近皮膚のたるみが気になってます。急激に痩せすぎたのでしょうか?
皮膚のたるみが、なるべく出なくする方法はあるのでしょうか?
よろしくお願いします
サクさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
>3ヶ月前までは113キロ(最大時124キロ)ありました。最近皮膚のたるみが気になってます。急激に痩せすぎたのでしょうか?
3ヶ月間でここまで多くの体重を減らしたのは素晴らしいですね。
サクさんの身体の変化を拝見していないのでハッキリしたことは言えませんが、急激にやせたことで皮膚が余ってしまったのかもしれません。
一般的な対策としては、減量ペースを急がないことや、たるみが出た分は時間と共に戻ってくるのを待つということになるかと思います。ただ、皮膚のたるみを積極的に取りのぞくということになると、少なくとも食事や運動でできることは存じません。
私の知識の確認がてら少し調べてみましたが、これ以上は専門外の領域になると感じましたので、皮膚を専門に扱われている方にご相談いただくのがいいと思います。
皮膚のこととは別になりますが、サクさんは減量開始当初と比べて体脂肪量もだいぶ少なくなったと思います。ここからは筋肉量を減らさないためにもゆっくり目の減量ペースに切り替えていただくのがいいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
初めまして。肉体改造や減量について調べていてこちらのサイトを知りました。
私は現在年齢25歳で週3~4回のウェイトトレーニングをしています。週末にたまに登山やクライミングをします。日常的にランニング等もします。
先日inbodyという体組成計で測定したところ、172㎝、63.8㎏、骨格筋量32.4㎏、体脂肪7.3㎏(体脂肪率11.5%)、内臓脂肪レベル7と出ました。(もちろん筋量や体脂肪率などは目安程度と認識していますが、その他複数の機械で測っても体脂肪率など大きな差は出ません)
自分は幼いころからずっと運動が好きで、小学4年生からバスケをはじめ、その後も継続的にいろいろな運動をしてきました。(ウェイトトレーニングは初めて半年ほどです)
しかし幼少のころ(写真+記憶のある限りでは小学生くらい)からの体系的な悩みとしておなかだけがポッコリと出ている、このサイトでいうところの洋ナシ体型です。基本的に瘦せ型なので、横から見ると特にひどく、たとえが悪いですがまるで栄養失調の子供のようです。
皮下脂肪は少なく、腹筋が見えなくなったことは一度もありません。今より若いころは体脂肪率もさらに低かったと思われます。
腹筋のトレーニングも継続的に行ってきており、特別に腹筋が弱いということもないかなと思っています。子供のころから食欲は並みで、最低限の食生活は送ってきていると思っています。
現在減量を初めて4週間です。(ウェイトトレーニングを初めて体重を体脂肪と共に7kgほど増やしてすこし脂肪がついた感じがしてきたので)
体重は67.5kg→65kgといった感じの減量ペースです。
前置きが長くなりましたが、
八百さんやアンディさんは一般的に洋ナシ体型のおもな原因はなんだとお考えですか?
また、個人レベルの問題にここでお答えいただくのは難しいということは承知なのですが、自分の場合の洋ナシ体型の原因はなんだと推測されるでしょうか?
予想される原因としては内臓脂肪の量や、腹筋群の弱さ、またそれに伴う胃下垂などが一般的に考えられると思うのですがいかがでしょうか?
食後腹がさらに膨れるので胃下垂の可能性はあると考えています。
今後もカロリー制限、マクロ管理による減量とウェイトトレーニングを並行していけば、洋ナシ体型は改善される可能性はあるでしょうか?
胃下垂の場合改善するには腹筋をつけるなどの情報が出てきますが、腹筋はいままでもやってきているので打つ手がありません。
ぜひお答えいただけると幸いです。
くろねこさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
このサイトでは、体脂肪がある程度あって、筋肉量が少ない人を洋ナシ体形と表現しています。これに当てはまる人の場合、体脂肪を落としながら、全身の筋肉量を増やしていくというのが一般的な対策になります。
体脂肪に関しては、基本的に一部に特化して落とすということができないので、目立たなくなるまで全身の体脂肪を落としていくということになります。また、全身の筋肉量が増えると、多少お腹まわりに脂肪があっても相対的に目立たなくなるということもあります。
ただ、くろねこさんの悩みがそれで解決するかは分からないので、心配なら一度医師に相談してみるという選択肢もあるのかもしれません。
はじめまして。
私は現在170cm/59kgですが、減量を進めていくうちにかなり身体が小さく見えてしまい、増量にローテートしました。
考えてみれば90kgから57kgに落とした時に、落ちたのは脂肪だけでなく筋肉も大きく減っていたのですね。
今は一日2600kcal前後を摂取、お腹が出てもバーベル重量だけを考えて信じています。
中途半端は一番の遠回りだという事に、今更ですが気づかされました。
Andy氏に、感謝します。
Kosoさん、コメントありがとうございます。
>90kgから57kgに落とした
大減量ですね。知識の有無とは別に、これだけ体重を落とすというのは、だれにでもできることではないと思います。
減量中にいくらか筋肉が落ちていたとしても、それはこれから取り返せるので、減量をやり切られたことを自信にされると良いのかなと思いました。
頑張ってください!
初めまして。ユウと申します。
このサイトを知るまで増量や減量のペースが分からず困っておりましたが、このサイトで増量や減量、栄養面のことを学ぶことができて大変助かっています。おかげで筋力がほとんど低下することなく減量に成功しました。身長162cm体重54kgと小柄でまだ痩せてますが、ベンチプレスは65kg×8回挙がるようになりました。
最近、遺伝的なこととそれに関連した栄養面で悩んでいます。
遺伝子検査を受けたところ、私は普通の方よりも糖新生が活発(β2AR遺伝子の変異)であり、筋肉のインスリン感受性が低い(β3AR遺伝子の変異)ことが分かりました。
また、私は小柄で(162cm)、手足の関節が細いのですが、私は遺伝的ポテンシャルの図の赤の左端に該当しますか?
フィジークコンテストに出てるような方の体型を目指して今は増量していますが、遺伝子検査の結果を見て栄養バランスは普通の方と一緒で良いのか不安になりました。
「遺伝的に糖新生が活発」であっても、増量期のタンパク質摂取量はこのサイトの「栄養管理の重要度 No.2 ~」で書かれてるように「1.8~2.2/kgLBM」で良いのでしょうか?
筋トレをすると筋肉のインスリン感受性は改善しますが、遺伝的にインスリン感受性の低い人でも効率よく筋肥大する程度にインスリン感受性を高めるには、筋トレだけで十分ですか?
DHAやαリポ酸などを摂取しなくてもいいのでしょうか?
質問が多くてすみません。
ユウさん、初めまして。コメントありがとうございます。
>私は遺伝的ポテンシャルの図の赤の左端に該当しますか?
ユウさんのことを存じ上げないので、分かりません。
強いて申し上げると、競技に出て好成績を納めることが目的でなければ特に知る必要がないと思います。
>タンパク質摂取量は「1.8~2.2/kgLBM」で良いのでしょうか?
>筋トレだけで十分ですか?
>DHAやαリポ酸などを摂取しなくてもいいのでしょうか?
すべてYESかNOで答えを出す疑問ではないですね。
ユウさんのことを十分に存じ上げないので、このコメント欄で答えは出せないですが、まずご自身の現状を落ち着いて把握して、目標に向かうのに何が必要かを考えていくのが良いと思います。
返信ありがとうございます。
八百さんとは初対面で私のことを何も伝えてないのに色々と聞いてしまってすみません。
競技に出て好成績を納めることが目的でなければ遺伝的なことは気にしなくていいんですね。
今まで遺伝的な影響は大きいと思っていたので安心しました。
冷静になって現状を把握します。
記事を見て勉強させて貰っています。私は180㎝70㎏の洋梨か、中途半端くらいの体型をしています。
今まで何となくトレーニングしていたのですが、きちんと目標をもって取り組もうと思い、半年で体重は−0〜3㎏で体脂肪を減らし筋肉を増やそうと計画を立てました。そこで、当サイトの別の記事で拝見した記事を参考にBIG3を週3回、やクランチやレッグレイズ等の腹筋運動は殆ど行っていないのですが、今回の記事で取り上げられた方々は素晴らしい腹筋を披露されているので、この方々は腹筋運動も取り入れていたのか気になり質問させて頂きました。
ふーじーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしか、このページのクライアントさんは腹筋に特化した種目を入れていなかったと思います。
クライアントさんの目標や好みにもよりますが、ウチでプログラムを組ませてもらう場合、腹筋種目を入れることは少ないです。
腹筋を鍛える種目を入れること自体に問題があるわけではないですが、ほかのいろんな種目で腹筋も使われているのがポイントですね。
こんにちは。あきです。
part1~3、時間のあるときに少しずつ読ませていただきました!
男性と女性では体脂肪率の基準が異なると思うのですが、女性の場合体脂肪率をどのように見てカテゴリーにあてはめるべきでしょうか??
また、タイプ別の内容は女性にも同じようなことが言えるのでしょうか??
自分のカテゴリーが気になったので質問させていただきました(^^)!
よろしくお願いします!(._.)!
こんにちは。読み込んでもらってるんですね。
ざっくりした指標として、女性は体脂肪率を7%程度プラスして考えるようにオススメしています。
ただ、体脂肪率は数字を正確に出せるものではないのと、この体形カテゴリーのシリーズは男性を対象にしているので、あきさんにどれだけ使える情報になるかは分かりません。
どこかにご自身をハメこむよりは、背景にある考え方を見るようにしてもらうと役立つかもしれません。
返信ありがとうございます!
そうなんですね(゜-゜)
無理にあてはめようとはせずに読んでみます(^^)!
分かりやすい記事や情報ありがとうございます!
八百さん
経過と言いますと、「中級者」に入門した後、筋力上昇、減量の両方で停滞しています。
理由としましては
⑴膝に違和感を覚えたので、暫く様子を見て、フォームを少し修正
⑵食中毒にかかった後、インフルエンザにかかり、トレーニングができない時期が続く
⑶転職してトレーニングの時間が取りにくい
⑷サプリとして、プロテインを取り始めてカロリーがオーバー気味?
などを考えています。
言い訳ですが(笑)、まずトレーニングができる生活リズムをかっちりすることが大事と思っています。
こよさん
食中毒にインフルエンザに転職とは、すごい状況ですね。
無理のないようにがんばってください。
「筋肉はすぐ付けられる」と思い込んでいる。
栄養やトレーニングの勉強をする前の自分に当てはまっていまして、ドキっとしました。
これは元々スポーツやっていたので、減量するのも筋肉を付けるのも本気になれば一ヶ月で十分。そう思っていた時期がありました。
また、元々は「中途半端」カテゴリーだったので、「「中途半端」カテゴリーに遺伝的に恵まれた人はいない」という言葉が心に刺さりました。
競技をやっていたときに、コーチから「肉体的な才能がない」と言われたことを思い出しました。
都合の悪いこと、自分の見たくないことを正しい認識をすることは大切ですね。
そして、それをズバッと言い切るアンディは素敵です。
言い訳せず頑張ります。
こよさん、いつもありがとうございます。
>都合の悪いこと、自分の見たくないことを正しい認識をすることは大切ですね。
そうですね。落ち着いて実情を見ると、それほど悲観することでもないと思えたりする気がします。そこから変化していく自分にも気付けるので不安がなくなるというか。
また経過を聞かせてください^^