朝食抜きは太らない

投稿者 : 本橋 直人

朝食抜きは太らない AthleteBody.jp「朝食は1日の中で最も大切な食事である」と合言葉のように語られます。また、体形を維持するためには朝食を摂ることが大切だという話は、テレビ、雑誌、インターネットなどでよく耳にすると思います。


「朝食を摂らなければ太る」だったり「朝食を摂らなければ痩せにくい」と言われるときには、以下のような理屈が付いてくることが多いと思います。

  • 睡眠中はなにも食べないので、朝は身体がエネルギー切れ状態になる。
  • 朝ごはんを食べることで内臓の働きが活発になり、基礎代謝が上がる。
  • 朝ごはんを食べることで、身体を動かす活力が出てカロリー消費量が増える。
  • 朝ごはんで摂ったカロリーは、昼間の活動で消費されるから体脂肪にならない。

なんだかもっともらしく聞こえますが、実際には人によって生活リズムが違いますので、必ずしもすべての人が朝食を摂っているとは限りません。

例えば、お仕事の都合で夕食が遅くなるので朝はお腹が空かないという人、朝早く出勤するため朝食を準備する時間があるなら少しでも寝ていたいという人、朝はなにも食べない方がなんとなく身体の調子がいいという人、子どもの頃からの習慣だという人などなど、さまざまな理由で朝食を摂らないケースが考えられます。

本当に朝食を摂らないことが太る原因になるのであれば、上にあげたような生活をしていると体脂肪を落とすなんてできないのではと不安に思うかもしれません。実際のところ、朝食を摂らないと体重や体脂肪が増えやすくなったり減らしにくくなったりするのでしょうか?

朝食と体重の関連性

研究1:朝食を抜くと太る説の出どころ

朝食と体重に関連性があるのかについては、多くの国や地域で調査されています。例えば、台湾で行われた調査では、朝食を食べる頻度が低い人には肥満が多い傾向が見られました。

図1 朝食を食べる頻度と肥満の割合 AthleteBody.jp

この調査では、朝食を週1回以下しか摂らない人は、それ以上摂っている人と比べて肥満の割合が34%多いという結果でした。こういう数字は「朝食を摂らないと肥満のリスクが34%高くなる」という風に伝えられることがよくあります。

こんなデータを見ると、「やっぱり朝食が重要なんだ」と納得してしまうわけですが、ここで注意が必要です。こうした研究では、「朝食を摂らない人には肥満が多かった」という関連性は見えますが、必ずしも「朝食を摂らないことが肥満の原因になる」と言えるわけではありません。

例えば、朝食を摂らない人には、食事に気をつかわないタイプの人が多く、朝食以外の部分で太りやすい食生活になっている可能性もあります。また、もともと体重の重い人が、減量をしようとしてたまたま調査時に朝食を抜いていただけという可能性も考えられます。

つまり、こういう表面的な関連性を調べた研究だけでは、朝食を摂らないことが体重増加の原因になっているのかは分からないのです。これを確認するためには、実際に朝食を摂る生活と摂らない生活を続けてみて、体重や体脂肪に差が出てくるのかを調べる必要があります。

朝食を摂らない場合のカロリー収支

体重の増減はカロリー収支によって決まります。もし、朝食を摂らないことで体重が増えるのだとすれば、なんらかの理由でカロリー収支がプラスになるということが推測できます。その場合、次の2つのうちどちらか、もしくは両方が起こると考えられます。

  • カロリー摂取量が増える
  • カロリー消費量が減る

朝食を摂らないことで、本当にこうしたことが起こるのでしょうか?

研究2:カロリー摂取量は増えるのか?

朝食を摂らなければ、その分だけカロリー摂取量が減るはずです。しかし、朝食を摂らないと、空腹感が強くなることで昼食以降の食事量が多くなり、かえって1日全体でのカロリー摂取量が増えると言われることがあります。

そこで、この研究では、普段から朝食を摂る男性を対象に、次の2つの条件でそれぞれ半日過ごしてもらって、カロリー摂取量に違いが出るのかを調べました。

  • 朝食あり:朝食と決められた量の間食を摂り、昼食は好きなだけ食べる
  • 朝食なし:朝食は摂らず、決められた量の間食だけを摂り、昼食は好きなだけ食べる

朝食を摂らなかった条件では、昼食のカロリー摂取量が増えたことが見られました。しかし、朝食から昼食までを合計したカロリー摂取量は、2つの条件に違いはありませんでした。

図2 朝食の有無によるカロリー摂取量への影響 AthleteBody.jp

別の研究では、朝食を摂らなかった方が1日全体のカロリー摂取量が少なくなったということも見られています。朝食を摂らないからといって、1日のカロリー摂取量が増えるわけではないようです。

研究3:カロリー消費量は減るのか?

朝食を摂らないと基礎代謝が落ちたり、運動量が減ったりすることで、カロリー消費量が減ってしまうと言われることがあります。

そこで、肥満の女性を対象にしたこの研究では、被験者に次の2つの条件でそれぞれ2日間過ごしてもらい、カロリー消費量に違いが出るのかを調べました。

  • 朝食あり:1日に6回の食事を、朝から2時間おきに摂る
  • 朝食なし:朝の2回分の食事を摂らずに、1日に4回の食事を摂る

被験者は、決められた食事を摂ってしまえば、後は自由に食べることが許されていました。

図3 実験期間中の生活サイクル AthleteBody.jp

それぞれの条件でカロリー消費量を調べたところ、違いは見られませんでした。

図4 朝食の有無によるカロリー消費量への影響 AthleteBody.jp

この研究では、カロリー摂取量とカロリー収支に違いが出るのかも調べられていましたが、どちらも違いは見られませんでした。

短い期間では、朝食を摂らなかったとしてもカロリー消費量に違いは出ず、必ずしもカロリー収支がプラスになるわけではないようです。

朝食を摂らない場合の体重の変化

ここまでご紹介した研究は、1〜2日間の短い期間で調べられたものです。ただ、朝食を食べるかどうかというのは毎日の習慣です。短期間の研究では、朝食を長く摂らないことで、体重や体脂肪がどう変化するのかに答えを出すことはできません。なんらかの理由でカロリー収支が変わり、体重が増えるという可能性も考えられます。

ここからはもう少し長い期間をかけて調べた研究を見ていきます。

研究4:体重が変わらなかったという研究

この研究では、被験者を次の2つのグループに分け、6週間で体重と体脂肪に違いが出るのかを調べました。

  • 朝食ありグループ:午前11時までに700kcal以上の食事を摂る
  • 朝食なしグループ:昼の12時までは水以外の食事は摂らない

両グループ共に、朝食以外の時間は自由に食事を摂ることができました。

図5 実験期間中の生活サイクル AthleteBody.jp

6週間後に両グループの体重と体脂肪の変化を比べたところ、大きな違いは見られませんでした。

図6 - 朝食の有無による体重への影響 AthleteBody.jp

この研究では、朝食を摂らなかったグループで、カロリー摂取量とカロリー消費量とがそれぞれ同じくらい減っていたことが見られました。ただ、結局カロリー収支はプラスにもマイナスにもならず、体重と体脂肪に変化が出なかったと考えられます。

研究5:体重が減ったという研究

この研究では、被験者を次の3つのグループに分け、4週間で体重に違いが出るのかを調べました。

  • 朝食に350kcalのオートミールを摂るグループ
  • 朝食に350kcalのコーンフレークを摂るグループ
  • 朝食を摂らないグループ

4週間後、朝食を摂った2つのグループでは体重が変わらなかったのに対して、朝食を摂らなかったグループでは体重が減る結果になりました。

図7 朝食の有無による体重への影響 AthleteBody.jp

この研究では、朝食で摂らなかった分のカロリーを他の食事で補いきれず、カロリー収支がマイナスになったことで体重が減ったと考えられています。

研究6:朝食を摂らない人が朝食を摂ったら太ったという研究

「朝食を摂らないと太る」というのが本当であれば、普段から朝食を抜いている人が朝食を摂るようになると、体重と体脂肪に良い変化が出てくると考えることもできます。そんなことは起こるのでしょうか?

この研究では、普段から朝食を摂らない女性の被験者を次の2つのグループに分け、4週間での体重と体脂肪の変化を調べました。

  • 朝食ありグループ:1日のカロリー摂取量の15%以上を朝食として摂る
  • 朝食なしグループ:午前11時30分までは食事を摂らない

両グループともに、朝食以外の時間は自由に食事を摂ることができました。

図8 実験期間中の生活サイクル AthleteBody.jp

4週間後、それぞれのグループの体重を比較してみたところ、朝食を摂ったグループは摂らなかったグループよりも平均で0.7kg増えていました。また、体重が増えた分の70%程度が体脂肪だったと見られています。

図9 朝食の有無による4週間での体重の増え幅 AthleteBody.jp

朝食を摂ったグループでは、昼食と夕食の食事量は研究前と変わりませんでした。さらに、朝食を摂っても1日の活動量も変わりませんでした。つまり、朝食を摂った分だけ全体のカロリー摂取量が増え、カロリー収支がプラスになり、体重が増えたのだと言えそうです。

研究4〜6から、数週間に渡って朝食を摂らなかったとしても、必ずしも体重が増える原因になるわけではないと言えそうです。結局のところ、体重の変化にはカロリー収支が重要だということがお分かりいただけると思います。

まとめ

今回の記事で一番注目したいのは、いずれの研究でも、カロリー収支が変わったことで体重が減ったり増えたりしているという点です。結局、カロリー収支を調整することが体重の増減にとってもっとも重要であり、朝食を摂るか摂らないかは大きな問題ではないと考えられます。

そこで、朝食を摂るのが良いかどうかよりも、次のように考えると良いかもしれません。

減量や増量は、カロリー収支を調整する

どのような食生活のリズムでも、体重を減らしたり増やしたりするにはカロリー収支を調整していかなくてはいけません。みなさんの目標に合わせて、食事量を調整していくようにしましょう。

同じ食習慣を続ける

どんなに理想的な食生活があったとしても、続けられなければ意味がありません。みなさんは、自分にとって過ごしやすい生活リズムがあると思います。仕事の都合で夜遅くに食べることが多くて朝は食べる気がしない場合や、朝が早くて朝食を準備する時間を睡眠にあてたい場合などは、朝食を無理に摂ろうとしなくても大丈夫です。

自分にとって無理なく続けられる食習慣を築きましょう。

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本橋 直人

本橋 直人

カナダ・バンクーバーで活動中のパーソナルトレーナー&指圧セラピストです。科学的根拠に基づくフィットネス指導をモットーとし、筋力トレーニング・栄養指導・コンディショニング指導の三本柱を軸に、パーソナルトレーニング指導をしています。
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コメント

  1. いつも読ませていただいてます。
    大変タメになる記事ばかりで、新しい記事が出るのをいつも楽しみにしています。

    ところで、研究4についてなのですが、図6のデータの内容との結び付きがいまいちよく分かりません。
    ひょっとして図6のデータは研究5に関するデータなのでしょうか??

    1. ice_boxさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      おそらくご指摘のとおり、記事の制作途中に挿入した画像がまちがって表示されていたのかと思います。
      公開前に挿し替えたのですが、記事を見る環境によって、うまく変更が反映されないことがあるようです。
      根本的な問題がどこにあるのか突き止められていないのですが、とりあえず再修正しました。
      もし、おかしな表示が続くようであれば、改めてお知らせいただけるとありがたいです。

  2. Metal Taikist Hiroshi

    いつも興味深く拝読しております。
    今回も非常に参考になる記事で、朝食を摂らない自分にとってはより確信を持つことが出来て良かったです。

    気になった点をひとつだけ。
    文中、図3の上の文章

    ・朝食あり:朝の2回分の食事を摂らずに、1日に4回の食事を摂る
    ・朝食なし:1日に6回の食事を、朝から2時間おきに摂る

    は、内容が上下逆だと思いますが(^^;
    細かくてすみませんm(_ _)m

    今後も興味深い記事を楽しみにしております。

    1. Metal Taikist Hiroshiさん、コメントありがとうございます。

      ご指摘のとおりでした。まったく気付けていませんでした。修正いたしました。ありがとうございます!

  3. この話は相関関係と、因果関係がごっっちゃで語られる事が多いので
    日本では混乱が生じている気がします。
    (朝食を食べる人は、成績が良いなどの話の場合)

    アスリートやウエイトトレーニングを行う人の場合でも
    上記と同じ結果なのかは気になりますね。
    体重も気になりますが、(厳密には脂肪量ですが)
    パフォーマンスが上がるのか、下がるのか、変わらないのかについてですが。

    1. わっふるさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      まず、なにを目的とするかによって変わってくるところだと思います。
      体組成改善が目的の場合は長いスパンでの取り組みなので、続けやすいことを重視するのが良いと思います。また、長いスパンで見たパフォーマンスも体組成改善が効くという部分もあると思います。

      1回1回のトレーニングでのパフォーマンスという意味では、全体での栄養状態とトレーニング量によって変わると思います。
      特にカロリー制限をしていなくて、前日からしっかり食事を摂れていれば、朝食抜きで、午前中にトレーニングをするような場合でも大きな影響はないかもしれません。特にトレーニング量が少ない場合は影響も小さくなると思います。

      カロリー制限中だったり、前日からあまり食べられていなかったり、トレーニング量が多い場合には、なにか食べてからの方が力が出やすいという場合もあると思います。特に午前中のパフォーマンスを重視したい日には、なにか食べてからの方が良いかもしれません。

      細かいことを言うと、食べたあと短時間で動けるタイプの人か、どのくらいの時間を置くか、なにをどれだけ食べるかといったことも出てくるので、ケースバイケースで考えることかなと思います。

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