ダイエットの大敵「別腹」の正体にせまる

投稿者 : 八百 健吾

ダイエットの大敵「別腹」の正体にせまる

Image credit: Apple

炭水化物は太らない」の記事の中で、減量が成功するかは炭水化物を摂るかどうかではなく、長いスパンでカロリー収支をマイナスに保てるかに掛かっているという話をしました。

逆に体重や体脂肪が増えるのは、消費する以上に摂取していて、カロリー収支がプラスに振れている状態が続くからで、私たちは基本的にこのルールから逃れることはできません。

普通の食事をしっかり摂って、もう空腹ではないのに、なぜか食べてしまうということが起こります。いわゆる「別腹」です。どういうことなのか?対策できることはあるのか?3回シリーズで取り上げていきます。

食欲はどこからやって来る?

私たちは毎日の生活の中で、ごく自然に食欲を感じて食事を摂っていますが、実は食欲にはとても複雑なメカニズムが働いています。
「満腹中枢」という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。多数のホルモンや神経を介して食べた物や体内のエネルギー状態に関する情報が脳に集められ、私たちが実際にどのくらいの食欲を感じるかが決められています。
そして、実際の食生活の中で食欲につながる要因は、以下のように大別することができます。(細かな生理的な仕組みに興味のある方は、この論文が詳しいです。)

図1 食欲を決める生理的な要素 AthleteBody.jp

食欲を決める要素1:短期的なエネルギー状態

私たちは何かを食べると、食べ物から得られたカロリーや各栄養素の情報が消化器から脳へと送られます。十分にエネルギーが摂れていれば食欲は落ち着き、逆にエネルギー不足の場合は食欲が強くなります。
細かく見ていくと、同じカロリー摂取量でも、たんぱく質は食欲を抑える効果が大きかったりしますが、大きな視点で見ると毎日の食事量が食欲の感じ方に影響していると言えます。
例えば、「今日は忙しくてまともに昼食を摂れなかったからお腹ペコペコ!」という状態や、「昨日は食べ過ぎて今日は食べる気がしない」という状態を思い浮かべてもらうと分かりやすいかと思います。

食欲を決める要素2:長期的なエネルギー状態

毎日の食事とは別に、体重の重さや体脂肪の量が食欲の強さを決める大きな要因になります。体重や体脂肪が増えたり減ったりするのはカロリー収支で決まるので、体重や体脂肪の変化は、長いスパンで見た体内のエネルギー状態を反映しています。特に体脂肪から分泌されるホルモンが、そのときの体脂肪レベルを脳に伝えています。
私たちの身体には、できるだけ体重や体脂肪を一定に保とうとする働きがあり、体脂肪が少なくなってくると、脳は食欲を強めて体脂肪レベルを回復しようとします。

減量で大きく体重と体脂肪を落としたあとは、何日も続けていくらでもドカ食いできてしまうという経験のある人もいると思います。カロリー収支が大きくプラスに振れていても満足することができず、体重や体脂肪が戻るまで脳が食欲レベルを引き上げてしまうということが起こります。

つまり、上に書いた要素1よりも要素2を優先して食欲が決められるということです。

食欲を決める要素3:別腹はどこにある?

特に体重や体脂肪を落としたわけでもなく、毎日しっかり食べていて、身体の機能を保つのに必要なエネルギーは十分摂っているはず。つまり、要素1も要素2も問題ない。実際、特に空腹というわけではないけど、それでもついつい食べてしまうということがあると思います。

今日はこの「別腹とは一体何なのか?」ということを考えていきます。

食品依存症

特にお腹が空いているわけではないのに、ついつい食べてしまうのは、「特定の食品への依存状態」なのではないかという考え方があります。Food addiction(食品依存症)という言葉が使われます。

食品依存症を感覚的に言うと、食べることで「気持ちよくなる」ことが背景にあります。さらに、この気持ちよくなる感覚には、次の2種類のメカニズムが働いているのではないかという考え方があります。

  • 特定の食品が食べたい
    特定の食品を「無性に食べたくなる」感覚と言うと分かりやすいかもしれません。
  • 特定の食品が好き
    好きな食べ物は「手をつけたら食べ過ぎてしまう」感覚と考えると分かりやすいかもしれません。

この2つの感覚は誰でも持っているものだと思います。脳の中で関連する部位や神経伝達物質に一部違いがあり、異なるものだと考えられています。どちらがどう食事の摂り方に影響するのかを検証する研究も行われていますが、実生活ではこの2種類を切り分けることは難しく、両方が影響し合って「食べることで気持ち良くなり、空腹ではないのに、ついつい食べ過ぎてしまうこと」につながっていると考えられます。

特定の食品が食べたい

依存症とドーパミン

食品依存症を考えるのに、まずカギになるのがドーパミンです。よく「快楽ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質で、欲求が満たされたり、欲求が満たされることを期待するときに放出されます。
これが脳の中の「報酬系」や「快楽中枢」と呼ばれる部分を刺激して、快感につながります。食事の他には性行為や昇給などでもドーパミンが放出されます。野球でホームランを打っても放出されるという研究者もいます。
「動機付け」と言われますが、ドーパミンによって気持ちよくなることが、その行動を「またしたい」という欲求につながります。

これはヒトが進化の過程で身につけた、生存や種の保存のためのメカニズムで、食事や性行為でドーパミンが放出されるのは自然なことだとされます。しかし、ドーパミンの放出量が自然な範囲を超えると、動機付けも自然な範囲を超えて強くなり、ドーパミンを放出する行動(快感を得られる行動)への異常な欲求につながります。これが薬物やギャンブルなどの依存症のきっかけであり、特定の食品への依存症もメカニズムは共通しているのではないかと考えられています。

研究1:食事とドーパミン

私たちは、食事を摂るとその食品に関する情報が脳に送られ、ドーパミンが放出されます。ただし、食べ物を摂ったときにドーパミンが放出されるのには、「快感」の他に「学習」という要素があると考えられています。
一般的に初めて食べる食品に対してドーパミンは多く放出されます。初めて食べる物は、その食品が安全か栄養があるかといった判断が重要になるので、「学習」のための反応としてドーパミンが放出されるのだと考えられています。そして、その食品を食べ慣れてくると、通常はドーパミンの放出が落ち着いていきます。

しかし、食品によっては、長期間摂り続けてもドーパミンの放出が落ち着かない場合があります。
この研究では、ラットに砂糖と通常のエサを与えて21日間でのドーパミンの放出量の変化を比較しました。通常のエサを食べたラットは21日で、食後30分時点でのドーパミンの放出量が下がったのに対して、砂糖を食べたラットではほとんど変化が出ませんでした。

図2 ラットの摂食前後のドーパミン放出量 AthleteBody

ラットを使った研究結果がヒトの食生活にどれだけ当てはまるかには疑問の余地がありますが、ヒトの薬物依存症やアルコール依存症では、ドーパミンの放出量が下がらないことが確認されているようです。

現在、食品依存症について調べると、砂糖とドーパミンの関係に焦点を当てた情報がたくさん見つかります。これは現在までの研究では砂糖が主に用いられてきたので、砂糖について分かってきたことが多いという状況のようです。砂糖でのみ異常なドーパミン放出が起こるということではなく、今後の研究で他の食品とドーパミンの関係が明らかになる可能性はありそうです。

食べ過ぎてしまう原因を砂糖だけに求めるのは早計だと言えそうです。

研究2:ドーパミン受容体と刺激への耐性

ヒトが快感を得るには、ドーパミンが放出されているだけでは不十分で、ドーパミンが特定の受容体に結合することが必要になります。ドーパミン受容体には種類があり、「D2受容体」と呼ばれるタイプが特に食品依存症に関連していると考えられています。そして、体重の重い人は脳内のD2受容体が少ないことが研究で見られています。

図3 BMIとD2受容体の相関関係 AthleteBody

BMIは身長に対する体重がどのくらい重いかを示す指標です。上記のグラフはアメリカの肥満者のデータで、BMI60という人を日本で見かけることは珍しいですが、体重は基本的にカロリー収支で決まるので、BMIが高いということは、長期間カロリーを摂り過ぎていたということを示唆しています。そして、グラフ内に示した「r=−0.84」という数字は、体重とD2受容体の間に非常に強い反比例の関係があることを示しています。

薬物依存症アルコール依存症の人でもD2受容体の減少が確認されています。アルコール依存症で飲酒量が増えてしまうのは、D2受容体が少なくなりドーパミンが放出されていても快感を得られず、少量のアルコールでは満足できなくなることが原因ではないかと考えられています。

食べ物の場合もたくさん食べて体重が増えるにつれて、同じ量を食べても快感を得にくくなり、同じだけの快感を得るために食べる量を増やしてしまうというシナリオが考えられます。

特定の食品が好き

好物に手をつけたら止まらないというのは誰しも経験することだと思います。おいしい物を食べたときの喜びにはオピオイドという物質が主に関連していると考えられています。

ただ、ひとくちに「おいしい物」と言っても、例えば「セロリやブロッコリーが止められない」という人はあまりいないと思われます。砂糖についての研究を紹介しましたが、砂糖以外に食べ過ぎにつながるリスクの高い食品はなにがあるのでしょうか?

研究3:クセになる食品

この研究では、35種類の食品を用意して、120人の被験者に対して、それぞれの食品がどの程度クセになるか答えてもらうアンケートを行いました。35の食品の中には加工されていない低カロリー食品もあれば、加工されたジャンクフードもあり、炭水化物、脂肪、食物繊維の含有量もさまざまな食品が選ばれました。

図4 クセになる食品と選ばれた平均回数 AthleteBody

6位以下には、ポテトチップス、ケーキ、チーズバーガーなどが入りました。自分の好物が上位に入っている人も少なくないのではないでしょうか?
この研究で上位に選ばれたのはすべて加工食品でした。さらに各食品の特徴と順位を分析すると、脂肪の含有量とグリセミックロードの高い食品(血糖値を上げやすいとされる炭水化物)が、クセになる傾向があるという結果が出ました。

いまでこそ日本のように経済的に恵まれた国では、食べ物に困るということは無くなりましたが、ヒトは長い歴史の中で生存のためのエネルギーを効率的に確保できる食べ物を探す必要があったことから、高脂肪で高炭水化物の高カロリー食品を好むように味覚が進化してきたと考える研究者が多くいます。このアンケートの結果はそれに一致する形になりました。

研究4:おいしさと満腹指数の関係

グリセミックインデックスに関する記事の中で少し触れましたが、各食品でどれだけ満腹感を得られるかを示した満腹指数という指標があります。

この指標を作るために行われた研究では、38の食品を被験者に240kcal分食べてもらいました。カロリーを基準に量を決めているので、実際に摂られた重さ、体積、三大栄養素の内訳は食品ごとに異なります。
その2時間後に2度目の食事を用意して、今度は被験者に好きなだけ食べてもらいました。そこでの食事量から、はじめに食べた240kcal分の各食品でどの程度満腹感が得られていたかを調べました。

そこで得られた情報から、白パンを100として、他の食品で得られる相対的な満腹感が数値化されました。例えば、ポップコーンの満腹指数は154とされました。同じカロリー分だけ食べた場合、白パンよりもポップコーンの方が満腹感が得られるという形です。この研究で使われた食品の内、クロワッサンの満腹指数が47と最も低く、ジャガイモが323で最も高くなりました。

この研究では、エネルギー密度、脂肪、でんぷん質、糖類、食物繊維、水分、おいしさといった要素と各食品の満腹指数に関連が見られるかも調べられました。その中で特に強い相関関係を示したのが、「エネルギー密度」と「おいしさ」でした。

図5 満腹指数との相関関係 AthleteBody.jp

図5のグラフは、エネルギー密度とおいしさの評価が高い食品ほど、満腹感につながりにくいということを示唆しています。エネルギー密度が低い食品は、同じカロリーあたりの体積が大きくなりがちです。水分や食物繊維の多い食品は、満腹指数が高くなる傾向が見られました。(エネルギー密度という言葉がピンと来ない方は、本橋が書いた記事(日本語)をご参照ください。)

研究5:塩分とおいしさの関係

満腹指数の研究でエネルギー密度に並んで大きな要因だったのがおいしさでした。この研究では、塩分と脂肪の量を変えたパスタの昼食を以下の4種類用意しました。

  • 低塩分・低脂肪のパスタ
  • 高塩分・低脂肪のパスタ
  • 低塩分・高脂肪のパスタ
  • 高塩分・高脂肪のパスタ

被験者48人に1日1種類ずつ好きなだけ食べて、おいしさの評価をしてもらい、実際にどれだけ食べたかを確認しました。図6のグラフは、低脂肪で塩分を抑えた場合と塩分を十分に入れた場合での比較です。

図6 塩分含有量による食事量の違い AthleteBody.jp

塩分を十分に入れた方がおいしさの評価も高く、実際の摂取量が平均11%多くなりました。

次の図7は、塩分と脂肪を抑えた場合と、塩分も脂肪も抑えなかった場合の比較です。

図7 塩分と脂肪によるカロリー摂取量の違い AthleteBody.jp

塩分も脂肪も控えなかった場合の方がカロリー摂取量は平均60%多くなりました。

まず、塩分を制限しなかったことで「おいしさ」が上がり、実際に食べる量が増えました。さらに脂肪を制限しなかったことで「エネルギー密度」が上がります。エネルギー密度の高い食品をたくさん食べると、もちろん全体のカロリー摂取量が上がります。

この研究で使われた4種類の食事には同じパスタが使われており、砂糖や糖質に違いはありません。4食とも「好きなだけ食べていい」という条件でしたが、塩分と脂肪の量を変えることで実際のカロリー摂取量に60%もの違いが生まれました。やはり、食べ過ぎたりカロリーを摂り過ぎたりする背景には、「おいしさ」と「エネルギー密度」があり、砂糖や精製糖だけに原因を求めるのは早計だと言えるでしょう。

研究6:飽きないバラエティ

さらに「飽きてしまわないか」も重要な影響がありそうです。

この研究では、2グループに分けた被験者にポテトチップスとチョコレートを食べてもらい、そのあと通常の昼食を摂り、さらにもう1度ポテトチップスとチョコレートを食べて、それぞれのお菓子をどれだけおいしいと感じるか、どれだけ食べたいと感じるか答えてもらいました。

図8 各食品を摂る前後の摂食欲の変化 AthleteBody.jp

ポテトチップスを食べたグループでは、2回目に食べた後、ポテトチップスへの摂食欲が落ちていたのに対して、チョコレートへの摂食欲にはほとんど変化がありませんでした。
ポテトチップスを食べて、昼食を食べ、もう1度ポテトチップスを食べた後でも、「チョコならまだイケる」と感じていたということです。チョコレートを食べたグループでは、同じように「ポテチならまだイケる」という結果になりました。

チョコレートとポテトチップスに限らず、アイスクリーム、ピザ、クッキーと図4で上位にランクされたようなあらゆる種類の加工食品がカンタンに手に入る環境では、飽きるということが難しくなっていると言えるかもしれません。

加工食品 = おいしさ × エネルギー密度

おいしさの正体

私たちがついつい食べ過ぎたり、カロリーを摂り過ぎたりしてしまう背景には、飽きないおいしさとエネルギー密度があることが見えてきました。さらに細かく切り分けていくと以下のような要素が挙げられます。(興味のある方には、このトピックに関する研究を集めたレビュー論文が参考になります。)

  • 炭水化物(砂糖を含む)
  • 脂肪
  • 甘味(砂糖を含む)
  • うまみ
  • 匂い
  • 香辛料
  • 食感
  • 食品の見た目(色や形)
  • エネルギー密度

加工食品メーカーや飲料水メーカー、外食レストランは、こういった要素を組み合わせて、いかに「ついつい食べたくなる食べ物」を作るか絶えず試行錯誤しています。厳しい競争の中で食品を売ることをビジネスにしている企業は、巧みに消費者の気を引く商品を作り出します。

図9 加工食品 清涼飲料水 AthleteBody.jp

例えば、水を飲みながら角砂糖を食べるという組み合わせで砂糖を大量に食べられる人は少ないでしょう。しかし、ジュースの形になるとグイグイいける人はずっと多いでしょう。

図10 加工食品 フライドポテト AthleteBody.jp

他には、ジャガイモにサラダ油と塩をかけておいしく食べられる人がいるのは想像しにくいですが、フライドポテトになると手が止まらなくなってしまう人は少なくありません。

広まる加工食品

下のグラフは、農林水産省が発表したデータです。食料品支出の中で、加工食品・調理食品・外食の占める割合が徐々に大きくなっていることが分かります。

図11 日本国民の食料支出割合の推移 AthleteBody.jp

このデータは日本国民全体の傾向を示すもので、社会全体の傾向として、食べ物の誘惑があちこちに広がっていることを表しているとは言えるでしょう。

しかし、もちろん個人の食生活はさまざまです。AthleteBody.jpのオンラインコーチングのクライアントさんでも、毎日自炊をして、昼食にはお弁当を作って栄養管理をされる方もいれば、コンビニ食に頼らざるを得ないという方もいます。上のグラフに当てはめると生鮮食品が50%を超えるような人もいれば、10%にも満たない人もいるかもしれません。

さらに、食べ物に対する報酬系の反応には遺伝的な影響があり、生まれ持って食べ過ぎてしまうリスクの高い人や低い人がいることを示唆する研究もあります。図3に示した体重とドーパミン受容体との関連だけで、各個人の感じる欲求の強さを一概に語ることは難しいところです。

今回のまとめ

食品依存症=砂糖ではない

いろんなデータを見てきましたが、ついつい食べ過ぎたりカロリーを摂り過ぎてしまう背景には、「おいしさ」と「エネルギー密度」があります。砂糖を多く含む加工食品は、結果的においしくなり、エネルギー密度も高くなりがちですが、「砂糖を避ければ問題ない」というわけではありません。

個人の食生活や食への反応はさまざま

私たちが実生活で何をどれだけ食べるかは、純粋な空腹感や食欲だけでなく、いろんな外的要因が影響しています。
例えば、自炊の習慣がある人や、家族が食事を用意してくれる人は、加工食品を食べる割合が少なくなるかもしれません。逆に、お仕事の都合で外食に頼らざるを得ない人や、付き合いでお酒の席の多いサラリーマンは少なくありません。毎日自炊していても、職場や自宅にお菓子がたくさんある環境にいる人はついつい手が伸びてしまうかもしれません。
そして、加工食品を同じだけ摂ったとしても、BMIや遺伝的要因によっては、クセになる度合いに個人差が出てきます。自分の体質や自分の生活する環境を考えることが重要になるでしょう。

自分が食品依存症かどうか

動物実験から始まった研究が進み、2009年には食品依存症の診断基準(英語)が策定されています。ただ、この診断基準に関する研究をまとめたレビュー論文によると、食品依存症は過食症などの摂食障害との関連性も見られ、現時点では何をもって依存症とするか正確な定義付けは難しいようです。

依存症と診断されるかどうかは別にして、ついついクセになって食べ過ぎてしまうというのは誰にでも起こりうることです。最終的には、どのくらいコントロールができるのかという「程度の問題」になると考えられます。よくお酒を飲む人がすべてアルコール依存症ではないのと同じようなことかもしれません。

もちろん、食事を楽しむことそのものに問題があるということではありませんし、好きな食べ物を完全に断ってしまうような食生活は、多くの人にとって非現実的で、精神的にも健全とは言えないでしょう。
ただ、エネルギー密度やおいしさが過度に高い加工食品には注意が必要で、「どうしてもヤメられない」と深刻な問題を感じている場合は医師に相談するべき事柄です。

次回の記事では、減量成功のヒントになりそうな研究を紹介しながら、もう少しこの話題について掘り下げていきます。掲載時にはFacebookやメールマガジンでご案内します。メールマガジンは、以下のフォームからメールアドレスをご登録の上、特典eBookをダウンロードしていただくとメールリストに登録される形になっています。興味のある方はチェックされてください。

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八百 健吾

サイト内で紹介する外国人トレーナーなどの記事の日本語訳を担当しています。
語学分野で5年、フィットネス翻訳者として5年、英語に携わる仕事をして10年になります。英語で得られる情報はとても幅が広いです。言葉の置き換えではなく、多くの人にメッセージを届ける架け橋になるべく日夜あたまをひねっています。
アンディと本橋とチームで内容充実のサイト作りをしていきます。ご期待ください^^

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コメント

  1. 内容が濃い記事をいつもありがとうございます。
    加工食品が苦手なのにも関わらず過去に体重が減らなかったのは、食べ過ぎてたのにも関わらずコントロールが出来てなかったんだな。
    って改めて実感してます。
    今は大分コントロール出来るようになったので、大幅な体重増加はしなくなりました。
    ここで学んだ事が日常生活で習慣化したおかげだと思ってます。
    残り2回も日常生活で習慣化出来たらもっとカッコよくなれるかもしれない。
    なんて期待をしながら記事待ってますね。

    1. Rocketさん、いつもありがとうございます!

      >今は大分コントロール出来るようになった
      >日常生活で習慣化したおかげだと思ってます。

      Rocketさんが習慣化して良かったと思うことや、習慣化するために工夫したことがあれば、お聞きしたいです。

      よかったら時間のあるときお返事ください^^

      1. 参考になるかどうかわかりませんがコメント残します。

        運動面ではジムに通う習慣がついた事ですかね。BIG3+懸垂、OHP、ヒップスラストを分けて週2〜3回継続的に行ってる事。

        食事面ではCPFの計算をここのサイトを参考にして計算し、色々な食事メニューを考えて自炊の頻度が増えた事。と外食が多い時でもその週全体で調整すれば、問題がないとわかった事かなと思います。

        後は体重計の数字に惑わされなくなった事も大きかったなと思います。メジャーで測ってサイズが減っていたら、体重計の数字が変わらなくても慌てなくなった事かなと思います。

        一番大きいのはここのサイトでどの事に関しても正しい知識を教えてもらった事。
        それが殆どです。

        間違った知識じゃ求めていた結果に繋がらなかったと思ってます。

        結果が伴うってこんなに楽しいんだって思い出せました。

        これからは変化のスピードが遅くなると思いますが、辞めずに続けて行きます。

        もう過去の自分に絶対戻らないって決めたので。

        1. Rocketさん、ありがとうございます。

          ウチのコーチングでクライアントさんにお伝えしようとする部分をしっかり押さえられているように思いました。
          Rocketさんのスタイルに合わせて毎日の生活に取り込めたのが良かったんでしょうね。

          参考になりました。ありがとうございます^^

  2. 長年ダイエットに挑戦しては減量後のリバウンドに苦しんで、何か手掛かりがないのか模索しておりましたところ、やっとこちらのサイトにたどり着きました。当方女で筋肉ムキムキを目指しているわけではありませんが、健康的な体型を目標としております。

    「摂取カロリーを決めて、減量のためにやることは全てわかっているはずなのに、ついつい食べ過ぎてしまう。だから減量に成功しない。」
    →まさにこの通りで、自分にとって最適なPFCバランスも摂取カロリーも把握しているので一定期間は我慢できても、減量が進むと脳が壊れたようにいくら食べても満足感がなくなり数日間どか食いをしてしまい結局リバウンドしてしまいます。

    「報酬系」という脳の仕組みでこのようなことが起こっているとわかっていても、うまく対処できず悩んでいます。「報酬系」はドーパミンが司っていると把握していますが、このドーパミンが人によって多い少ない(感受性が良い悪い)ということが鍵なのでしょうか?

    原因を突き止めうまく対処し、今後食欲に振り回されることのない安定した生活を送ることを望んでいます。何かヒントを頂けると有難いです。今後の記事も楽しみにしております。

    1. コメントありがとうございます。

      >原因を突き止めうまく対処〜何かヒントを頂けると有難いです。
      減量時に食欲が強まるのは、この記事の冒頭で紹介した「短期・長期のエネルギー収支」が影響しているのかもしれません。報酬系も無関係ではないかもしれません。
      いずれにしても、目標に向かって前進するには、継続できることが欠かせないので、おっしゃるようにご自身に合った食生活を確立するということになるかとは思います。

      次回からで結構ですが、せめてハンドルネームをご記入ください。お名前も分からない方に、コメント蘭の断片的な情報だけを見て個人の生活に合ったアドバイスをさせていただくというのは難しいです。ご理解ください。

      このシリーズはあと2回続くので、その中に役立つ情報があるかもしれません。よかったらまたチェックされてください。

  3. こんばんは

    半年前にダイエットの参考になるものはないかと探した際に、このサイトに出会えました
    トレーニングのやり方や栄養管理の重要度などなど、とても参考になりました。
    ありがとうございます
    おかげで月2kgずつ痩せて7ヶ月で14kg、体脂肪が25%から14%になりました
    年齢のせいか頬が痩けるらしく、周りの人から「ちゃんと食べてる?」とかなり言われるので、少し増やそうと思ってる所です^^

    僕は特に苦労なく痩せることが出来ましたが、ネットを見てると僕より頑張ってる人が失敗してるのを見ます
    この差は何なのだろう?と疑問に思っていたので興味があります
    あと二回楽しみです^^

    1. mさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      スムーズに減量ができたようで何よりです。減量中の食欲の出方は十人十色ではあるんですが、14kgの減量で苦労することがなかったというのは素晴らしいですね。mさんの体質的なことや、mさんに合った減量生活が送れたことが効いているのかなと思いました。

      あと2回頑張ります^^

  4. 本来、動物は必要な栄養を取れば満たされるのに
    人間は脳の構造が複雑になりすぎたため、「報酬系」と呼ばれる
    美味しいものを求める行動にでると聞いたことがあります。

    毎回思いますが、密度の濃い内容が本当にわかりやすくまとめられていますね。

    いつもこちらのサイトで勉強させていただいておりますが、今回の連載はとても楽しみです。
    八百さん、頑張ってください!

    1. 小森さん、いつもありがとうございます!

      >「報酬系」と呼ばれる美味しいものを求める行動にでる
      人間よりも脳の構造が単純な動物にも報酬系はあり、ここの働きは共通していることが多いようです。この記事では、研究1でラットのドーパミン放出に触れたのがそういう部分です。
      ただ、小森さんのおっしゃるように、人間の脳は他の動物と比べて複雑なので、摂食行動がラットと完全に同じではないという部分もあります。

      >今回の連載はとても楽しみです。
      前回の炭水化物の記事よりずっと手間が掛かるわりに、ずっとアクセスの少ないトピックなので、そう言っていただけるととても励みになります。
      よかったらまた感想をお聞かせください^^

  5. 摂取カロリーは消化率で変わってくるので、カロリー計算はあまり意味ないです。カロリーは食物を完全に物理的に燃やした推定値で、消化率が考慮されていません。毎日、一定時刻に体重を計れば、摂取カロリーが多すぎたのか、少なすぎたのか、はっきり分かります。それを食事にフィードバックすればよいのです。

    それと、私も食べ物中毒患者の一人ですが(美味しいと無限に食べたくなります)、美味しいお菓子などは傍に置かないことです。傍になければすぐに食べるということはありません。心理学ではこれを行動療法と言います。食べない状態に自分を条件付ける訳です。

    BMIの目標値は競技内容や体質によって違うでしょうから、最大パワーが発揮できる体格を目指せばよいでしょう。特定の競技の記録保持者の体格を調べれば、特定競技での体格の大体の目標値が分かると思います。もちろん、体格差、個人差を考慮にいれないといけません。

    1. 村上先生、こちらにまでコメントいただいて光栄です。ありがとうございます。

      先生のコメントの趣旨が誤解なく伝わるよう、読者の方に向けて少し補足をしながらお返事させていただきます。

      村上先生は、富山大学で教授をされていました。現在はリタイアされていますが、幅広い分野の科学的エビデンスに精通されています。ご著書の「あざむかれる知性」では栄養に関する研究レビューをされており、私も勉強させていただきました。

      >摂取カロリーは消化率で変わってくるので、カロリー計算はあまり意味ないです。
      先生がおっしゃる消化率とは、食べ物の持つエネルギーや栄養素を、実際にどれだけ消化・吸収し、体内で使うことができているかということです。特に同じ食べ物でも加熱することで吸収のされ方が変わることから、例えば、ゆで卵と生卵を同じようには扱えないという制約があります。

      これとは別に、実際の食事管理でカロリー計算をする場合の制約として、TEFと言って各栄養素を消化・吸収する過程で使われるエネルギーがあります。これはたんぱく質が最も大きく、たんぱく質の持つカロリーの内20〜35%が消化吸収の過程で消費されてしまうと言われます。同じたんぱく質でも約15%の開きがあるので、各食品から実際にどれだけのエネルギーを得ることができるかを厳密に求めることはできません。

      さらに、各食品に含まれる栄養素量を求めるには、このサイトのような政府発表のデータを使うか、加工食品であれば、メーカーが公表する成分表をチェックするのが一般的です。しかし、これらの数字は「平均値」なので、実際に自分が食べている物が平均から離れている可能性は十分にあります。
      以上はカロリー摂取量についてです。

      カロリー消費量を管理する際には、NEATや代謝適応が影響してきます。詳細は割愛しますが、どちらもカロリー制限をすることでカロリー消費量が落ちることにつながります。これも実生活で正確に落ち幅を求めることはできません。
      つまり、カロリー摂取量もカロリー消費量も完全に正確な値を知ることはできないということになります。(TEFとNEATに関して、ご興味のある方は本橋の記事を参考にご覧ください。)

      では、カロリー計算をするのが無意味かと言うと、AthleteBody.jpでは、必ずしも無意味とは考えていません。
      まず、食事量の自己管理というのはブレが出やすいもので、栄養学の研究でも自己管理の食事データは信頼性が低いので注意が必要とされています。
      実際にクライアントさんの栄養指導をさせていただく際には、ご自身のカロリー摂取量だけでなく、三大栄養素の配分もよく分からないという方が少なからずおられます。
      こういう場合には、数字でご自身の食事量(カロリーと三大栄養素の摂取量)を把握するようにしていただく期間を作っています。こうすることで、クライアントさんご自身が食べている物の種類や量、各栄養素の配分への気付きが多くあり、食生活の全体像が見えてくるということがあります。
      こういうステップを踏むことで、厳密な計算をしなくても「自分に必要は鶏肉はこのくらいのサイズ」という風に量の感覚をつかみやすくなり、クライアントさんご自身に合った食生活を組み立てるための価値ある学びになることが多いです。

      どの程度まで厳密な食事管理が必要になるかは各個人の目標によって変わってきます。例えば、試合を控えたボディビルダー、ボクサー、クライマーなどにはできるだけ正確な食事管理の重要度が高くなります。
      こういった制約のない一般の趣味トレーニーの方にとっては、継続可能なことの方が重要になるので、一定期間カロリー計算をして食生活のリズムがつかめた後には、先生のおっしゃるような身体の変化に合わせて食事量を微調整していくアプローチをオススメする機会が増えていきます。

      また、読者の方に誤解のないように念のため書き添えておくと、カロリー計算をするかどうかにかかわらず、体重や体脂肪が落ちるかはカロリー収支(エネルギー収支)によって決まるということに変わりはありません。あくまでも、細かく数字で把握しようとすることが、どれだけ有効かというのがポイントです。

      >美味しいお菓子などは傍に置かないことです。心理学ではこれを行動療法と言います。
      ありがとうございます。先生のような専門家からこのアドバイスをいただける意味は大きいと思いました。このシリーズ3回目の記事で、このことに触れるつもりです。普段からこのサイトで取り扱う栄養学や運動科学とは違う分野の研究になるので、3回終了時点で、お気付きのことがあればお聞かせいただけると幸いです。

  6. 普段目にする食事や肥満に関するフィットネスの情報は、栄養素の代謝などのように身体の働きに着目したものが多いです。しかし、この記事では同じ話題でも、脳の働きに着目しています。
    視点が変わると得られる情報がずいぶん違うことに気づかれると思います。

    カロリー収支や三大栄養素の摂り方が食欲に影響することは間違いありません。しかし、この記事内でご紹介しているように、それら以外にも食欲を大きく左右する要因があります。

    ここではご紹介していませんが、文化的な要素や社会的な要素なども食事の量に影響してきます。例えば、お正月や友人と一緒に食事をする時に食べ過ぎてしまうことを想像していただくとわかりやすいと思います。

    「摂取カロリーを決めて、減量のためにやることは全てわかっているはずなのに、ついつい食べ過ぎてしまう。だから減量に成功しない。」
    こうした悩みを抱える人は少なくありません。
    今回はそのような悩みにお応えすべく、この記事をまとめました。

    八百が相当頭を悩ませながら書いたこの記事は、合計3回に渡ってお送りするシリーズ物の第一弾です。あと2つの記事をご紹介していきますので、ぜひご期待ください!

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