ダイエット中の食事量の減らし方とタイミング

投稿者 : Andy Morgan

ダイエット中の食事量の減らし方とタイミング AthleteBody.jp

前回の記事「ダイエット中に食事量の調整が必要なワケ」からの続編です。

ダイエットを始めてしっかり計画通りの生活を送っているのに、もう2〜3週間ほど体脂肪が落ちていない。よく眠れているし、仕事や家庭で目立ったストレスもない。
ここからさらに成果を上げるには、食事量の調整を考えてみるタイミングかも知れません。詳細な調整方法も解説していきますが、重要な原則がひとつ。

「体脂肪が落ちていく範囲で、できる限りカロリー収支のマイナス幅を小さく保つ」

ダイエット中のカロリー摂取量をできるだけ高く保つのが重要なのは、大きく分けて三つの理由があります。

  • 健全な性生活を保つ
  • 食事量を減らしていく余地を保つ
  • リバウンドのリスクを下げる

1. 健全な性生活

重要性についての説明は必要ないですね。ダイエットはテストステロンの分泌に影響を与えます。その結果として性欲もある程度影響を受けます。悪影響を最小限に留めるように注意が必要です。

2. 食事量調整の余地を残しておく

どういうコトかを考えるのに例を使いたいと思います。
友だち同士のアンディとボブが、一緒にダイエットを始めました。6ヵ月間でどっちが大きく体重を落とせるか競争します。
二人とも体重維持に必要なカロリーは2500kcal。アンディは1日のカロリー収支を -500kcalまで、ボブは -1500kcalにしてスタートしました。

1週間後…

  • ボブはアンディよりも良いペースで体重が落ち始めます。
  • ボブはアンディよりも自分の経過に満足。すぐに結果が見えてきたので空腹感にもやりがいを感じます。
  • アンディはボブの成果がちょっとうらやましいですが、特に空腹感やストレスは感じていません。

6週間後…

  • アンディは良い感じで続けています。体重の落ち方は少し遅くなってきたものの、特にストレスも感じず、ジムでも調子がよく、トレーニング記録が維持できています。
  • 一方、ボブは肉体的にも精神的にもひどく苦しんでいます。
    1週目に体内の水分が減って大きく体重が落ちたことで、毎週こんなペースでどんどん体重を落とせるんじゃないかと期待を膨らませてしまいました。
    2週目以降、体重の落ち方はずっと遅くなりましたが、それでもアンディよりリードしているので空腹感もガマンできます。
    しかし、それから先、週を追うごとに体重は落ちにくくなっていき、トレーニング記録も維持できなくなりました。
    週末の飲み会の誘いを断るのが苦しくなってきて、セックスにも興味を持てなくなってきました。

6週間のダイエットを経て、さらに体脂肪を落とすにはアンディもボブも食事量を減らす必要が出てきました。
ダイエット中に食事量の調整が必要なワケで説明したポイントです。二人ともダイエットの影響で基礎代謝が落ちて、消費カロリーが下がっているのが原因ですが、ここまでの6週間でボブの基礎代謝はアンディよりもずっと大きく落ち込んでいます。

  • ボブはアンディよりも体重を落としましたが、かなり苦しんでいます。
  • アンディはここから食事量を減らすのも苦ではなく、ストレスなく先に進みます。
  • ボブはさらに食事量をカットする余地があまりありません。さらに食事を減らして、有酸素運動を足すことも考えないといけない状況です。さらにストレスが掛かって、ボブが限界に達するのは時間の問題です。

3. リバウンドのリスクを下げる

リスクの有無という意味では、アンディにもリバウンドのリスクはあります。ただ、程度を比べるとボブの方がずっと深刻です。

8週目を終えて…

アンディとボブは数ヶ月前から友だちと計画していた野外音楽フェスティバルに行きました。土曜日の夜、みんなお酒を飲んで盛り上がります。
アンディとボブはケバブの屋台を見つけました。遊びにきて気持ちの緩んだ二人、アンディはケバブをひとつ食べて寝ることにしました。
一方、何週間も厳しいカロリー制限を続けてきたボブは、自分を抑えられずタガが外れたように食べてしまいます。
さらに次の日曜日、二人はダイエットを忘れて好きに飲み食いすることにしました。

そして月曜日、ボブが体重を量ってみると4kgも増えていました。ガッカリしているところに、アンディから「2kg体重が増えた」というメールが来て、すべてがイヤになってしまいます。負けを認めてダイエットを止めることにしてしまいます。

ボブの行く先

二人とも週末に炭水化物と塩分の摂取量が増えたので、増えた体重には水分も含まれています。しかし、体脂肪の増え方はボブの方が大きくなります。何週間も厳しいカロリー制限でホルモンが影響を受け、体脂肪が増えやすくなっているのです。
ダイエットを止めてしまったいま、ダイエット前ほど食べなかったとしても2週間ほど体脂肪は増え続け、じきにダイエット前と同じ体形に戻ってしまいます。

こういうパターン、身近にありませんか?

最良のダイエットとは、長期間継続できるモノ

ボブはただの例え話ですが、実際に同じようなことがあちこちで繰り返されています。
みんなゆっくりじっくり進めることになんか興味を持たないし、ダイエット法やダイエット商品を売る企業はリバウンドのことなんて考えません。

コンテストに出るようなボディビルダーの多くが、大会のあと大きく太ってしまうのもこういうことです。極端なペースで減量をして、ダイエット終了後のカロリー摂取量に注意しないのが主な原因ですが、多くの場合、コンテスト前の極端な減量で精神的な限界に達して、その後は気持ちが切れてしまいます。

では、どのくらいのペースで進めれば「じっくり」なのか?

ペース設定の指標

私たちの体は、カロリー収支がマイナスになると、筋肉(アミノ酸)と体脂肪(遊離脂肪酸)が体に蓄積されている比率に応じてエネルギー源として燃焼しようとします。
筋肉に関しては、たんぱく質の摂取量を高くして、ウェイトトレーニングをすることで分解されるのを抑える努力をします。
体脂肪に関しては、1日に脂肪細胞から使えるエネルギー量には限界があり、体脂肪率が低い人ほどこの限界も小さくなります。つまり…

  • 絞れている人ほど1日に燃やせる体脂肪量は少なくなる。
  • 1日のカロリー収支のマイナス幅が、体脂肪から取れるエネルギーよりも大きくなると筋肉が減ってしまう。

もっとカンタンに言うと、肥満の人は絞れた人よりもカロリーのマイナス幅を大きくしても大丈夫で、速いペースで体脂肪を減らすことができます。
実際のペース設定ですが、下表の数字の沿ってダイエットを進めると、筋肉が落ちる心配は無いだろうと思います。

体脂肪率体脂肪減 / 週
30% 以上〜 1.1kg
20 〜 30%〜 0.9kg
15 〜 20%0.45 〜 0.7kg
12 〜 15%0.45 〜 0.6kg
9 〜 12%0.35 〜 0.45kg
7 〜 9%0.2 〜 0.35kg
7% 以下〜 0.2kg

この数字は私の経験を基にしています。体脂肪を落とせるペースの理論上の限界はもう少し上になると思いますが、その計算は複雑ですし不必要です。

注意するポイント

  • 体脂肪率が低くなるほど、我慢づよさが大事になっていきます。
  • 体脂肪率30%を大きく超えるような肥満体形の人は、筋肉を維持しながら、さらに速いペースで脂肪を落とすことも可能ですが、皮膚のたるみが出るリスクを考えるとオススメしません。
  • 上の表は平均的な数字なので、身長の低い人は低めに、長身の人は高めに設定するなど個人差は出てきます。
  • これまでにウェイトトレーニング経験の無かった人や、遺伝的に恵まれた人は、減量中にも筋肉量が増えるかも知れません。経過を見るときに、筋肉増と体脂肪減の影響で体重がアテにならなくなるので、体の各部のサイズとトレーニング記録の変化がさらに重要になってきます。

体脂肪の落ち方が目標のペースよりも遅い状態が2〜3週間続いたら、何かを変える必要があると考えましょう。

食事を減らす前にダイエット休み

冒頭のアンディとボブの話を思い出してください。
体脂肪の落ち方が鈍ったときも、基礎代謝が必要以上に落ちてしまわないよう、できるだけ小さな変更に留めたいところです。
食事量を減らす前にダイエット休みを考えてみましょう。ダイエットの影響で落ちた基礎代謝を完全にリセットできるワケではありませんが、少しでも高いレベルで維持することができます。
つまり、できるだけ食事量を減らさずに体脂肪を減らすことにつながります。

ライル・マクドナルドは2週間のダイエット休みを勧めています。

 

体脂肪率(男性)ダイエット休みの頻度
15%以下4 〜 6週間ごと
15 〜 25%6 〜 12週間ごと
25%以上12 〜 16週間ごと

 

▲ 女性は7%ほどプラスして考えてください

ダイエット休みの後、多くの場合、それまでの食事量のままでしばらく体脂肪が落とせるようになります。
ダイエット休みは良い作戦なのですが、あまり使われていません。たいていの人は我慢できず、あまり目を引く話題にもならないからでしょう。ダイエット休みについての解説記事もあわせて読んでみてください。

三大栄養素の調整の仕方

いよいよ実際に食事量を調整する方法についての解説です。ここでは、みなさん「リーンゲインズの三大栄養素計算」のページに沿って自分の初期設定を決められていると仮定します。
こちろん個人差は出てきますが、上記のページの内容に従っていれば、たんぱく質の摂取量は筋肉量維持のために高めに設定され、ホルモンバランスのために必要な量の脂肪も確保できていると思います。

1週間のカロリー摂取量

体脂肪を減らしていくのに、1週間あたりのカロリー摂取量を全体で5〜8%程度減らします。

たんぱく質はキープ

たんぱく質が一番腹持ちの良い栄養素で、筋肉の維持にも大切なので、できるだけ減らさないようにしましょう。難しく考えなくても分かる所ですね。

調整は炭水化物と脂肪

個人の好みの問題もありますが、炭水化物と脂肪を50/50の割合で減らしても大丈夫です。

脂肪の必要量

トレーニング日と休息日を平均して、脂肪の摂取量が除脂肪体重1kgあたり0.9gを下回らないようにしましょう。脂肪をここまで削ったら、その先は炭水化物で調整していくことになります。
実際どの程度の脂肪が必要かを計算するときには、体脂肪率を実際よりも低く見積もる人が多いので注意してください。最低限の脂肪の数字が必要以上に高くなってしまいます。

リーンゲインズ実践中の場合

リーンゲインズでなくても、トレーニング日に高炭水化物・低脂肪、休息日に低炭水化物・やや高脂肪の設定をされている場合、初めはトレーニング日・休息日両方で調整しましょう。
初期設定の数字にもよりますが、たいていトレーニング日の炭水化物と休息日の脂肪を減らす形になると思います。
休息日の食事量を減らす余地が無くなったら、トレーニング日のみで調整するようにしましょう。

ここまでのルールに沿って食事量を減らす場合、1回目の減らし幅は以下のようになるかも知れません。

  • トレーニング日:炭水化物 -40〜70g / 脂肪 -5g
  • 休息日:炭水化物 -25g / 脂肪 -10g

停滞時に考える対策の優先順位

基礎代謝の落ち込みを避ける知恵

摂取カロリーを減らすのは体にとってストレスなので、その前にできることを試すのが大切です。結果を急いで食事を減らしてしまうと基礎代謝が落ちて悪循環から抜け出せなくなる可能性もあります。
この長い記事をここまで読んでいるのは、体脂肪が減らなくなったとき何をすれば良いのか知りたいからに他ならないでしょう。
次の順番で問題がないか考えるようにしましょう。(食事量の調整が最後になっていることに注目してください)

  1. 睡眠不足:できるだけ途切れず深い睡眠がとれるように気を付けましょう。睡眠はすべてに影響を及ぼしますが、体脂肪減も例外ではありません。
  2. ストレス:ダイエット休みを考えるのも良いかも知れません。ストレスが原因で体脂肪が減らなくなることもあり得ます。
  3. ダイエット休み:上に書いた頻度を参考に休みを入れるようにしましょう。
  4. 三大栄養素配分:同じカロリー摂取量でも、体脂肪率の高い人は炭水化物を低めにした方が良い傾向があります。たんぱく質と脂肪を増やすのを考えましょう。
  5. 食事量調整:最後の手段です。上のガイドラインに沿って調整しましょう。

さいごに

体重維持もひとつのチャレンジ

長期間のダイエットでは、途中で体重の停滞が数週間続いたりするのはまったく自然なことです。こういうときは、イライラせず体重を一定に保つように意識するのが一番だったりします。
20kgや30kgと体脂肪を落とす場合には、途中2回や3回停滞期が出てきてもおかしくないでしょう。そういうものだと気持ちを落ち着けて、イライラしないようにしましょう。
みんな今すぐにでもバキバキに絞りたいと思っているのは分かりますが、ダイエットはレースではありません。最後に勝つのは、体形を維持できる人で、それは長い間食生活を継続できる人です。

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Andy Morgan

イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナーです。
日本に住んで12年。たくさんの人にお世話になり日本が大好きになりました。その恩返しに日本では情報の少ない欧米のダイエット方法と、数百人の英語圏のクライアント指導経験で得たノウハウを公開しています。
趣味はスノーボードと読書。コメントの返信は間違いのないように英語を使っていますが、東野圭吾の小説を読むのが好きです。テレビでは「相棒」と「クレヨンしんちゃん」のファンです。

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