遺伝的に生まれ持った筋肉量の限界とは?

投稿者 : Lyle McDonald

生まれ持った筋肉量の遺伝的限界とは? AthleteBody.jpインターネットの質問サイトや掲示板を見ていると、ウェイトトレーニングを始めたばかりの人から「筋肉を増やせる限界はどのくらいか?」という質問がよく出てきます。
こういう場合は決まって「筋肉量や運動能力には遺伝的に生まれ持った限界がある」という人と、「根性で頑張ればなんでもできる」という人の間で、答えのないやりとりが繰り返されることになります。


生まれ持った限界がどこにあるかズバリ言い当てられる人なんていないのは、わざわざ説明しなくても分かることでしょう。

ガタカというフィクション映画では、遺伝情報を読み取って、それが何を意味するのかを知ることができるなんて設定になっていましたが、そんな世界がやってこない限り現実には不可能です。なにかハッキリ言えるとしたら、「体重200kgでバキバキに絞れた身体」なんて極端な例がありえないということくらいです。

もちろんトレーニングを始めてもいない段階で、こんなことをあれこれ考えても意味のないことだと思います。根本的なことですが、まともなトレーニングと食事をして、身体がどう変わるかを見るのが第一で、自分が到達できるかどうかもよく分からないことを悩むのは本末転倒です。実際に行動する前から自分の限界を知ることなどできません。

何はともあれ、まともなトレーニングを始めるのが先決ということですが、私は人それぞれに生まれ持った遺伝的限界が存在すると思います。それが現実であり、限界をきちんと認識することで「とにかく頑張ればできるはず」という考え方に苦しめられるのは避けられます。

ダラダラと長い前置きになりましたが、「しっかりしたトレーニングと栄養管理を続けて筋肉を増やせる限界はどのくらいなのか」が今回のテーマです。いくつか違った角度から検証していきますが、だいたい同じような結論に行き着くと感じられると思います。

ここに書いている内容はウェイトトレーニングを行っている男性に当てはまります。女性向けのデータを出すのはもっと難しいのですが、一般的に女性の筋肉量の限界は男性よりも低くなることは認識しておいてください。

ライル・マクドナルドモデル

私自身で考えたのか、どこかで見つけて拾ってきたのかハッキリ覚えていませんが、今回に近いテーマで「筋肉を増やせるペース」という話をするときに、よく以下の数字を参考に提示しています。

トレーニング年数筋肉量の増え幅 / 年
1年目20 〜 25lbs(9 〜 11.3kg)
2年目10 〜 12lbs(4.5 〜 5.5kg)
3年目5 〜 6lbs(2.3 〜 2.7kg)
4年目2 〜 3lbs(0.9 〜 1.3kg)

上にも書きましたが、この数字は男性向けのものです。女性にはだいたい半分くらいの数字が当てはまるでしょう。(まともなトレーニングを始めて最初の1年間で4.5~5.5kg程度の筋量増。)
また、この数字は大まかな平均値であり、「まともなトレーニングと栄養管理」の定義は人によってまちまちです。さらに、若い人は年配の方に比べて筋肉が増えやすいので、年齢によっても数字は変わってきます。例えば、高校生がすごく速いペースで筋肉を増やせることは珍しくありませんが、こういう場合は体重が軽い状態からスタートしていることが多く、さらに成長期で自然と筋肉の成長が進みやすい環境ができています。

表の中のトレーニング年数は「まともなトレー二ング」を行った年数です。例えば、ジム通いを4年続けていても、あまり効果の上がらないトレーニング内容で実際に筋肉が増えていなければ、1年目と変わらない伸び代が残っているかもしれません。

「まともなトレーニングを4年以上」という時間は掛かりますが、上の表の数字を合計すると、40~50lbs(18~22.5kg)くらい筋肉を増やせるということになります。
例えば、体重150lbs(69kg)の体脂肪12%で、除脂肪体重130lbs(59kg)からスタートしたとしましょう。4~5年しっかりトレーニングを続ければ、除脂肪体重170~180lbs(77~82kg)くらいに到達できるかもしれません。もし体脂肪率が12%であれば、体重は190~200lbs(86~91kg)くらいになります。

繰り返しますが、これはだいたいの平均的な値です。これよりもう少し多く増やせる人や、低い結果に終わる人も出てくるでしょう。年齢やホルモンなど他の影響も出てきます。

アラン・アラゴンモデル

アランは彼のリサーチレビューの中でこのテーマを取り上げており、薬物を使っていない人の場合、おおよそ下の表のペースで筋肉を増やせるとしています。
私のモデルとは少し違ったアプローチで、体重に対する割合で筋肉量アップのペースを考えますが、結果的には似たような数字になります。
クレアチンのサプリメント摂取やグリコーゲン超回復があると、筋肉量が変わらなくても除脂肪体重が短期間で大きく変わることがありますが、この表ではそういった体重の波は無視しています。

カテゴリー筋肉量の増え幅 / 月
初心者体重の1〜1.5%分
中級者体重の0.5〜1%分
上級者体重の0.25〜0.5%分

例えば体重150lbs(68kg)の初心者は、1ヶ月に1.5~2.25lbs(0.7〜1kg)くらいのペースで筋肉を増やせる計算になります。これで1年に18~27lbs(8~12.3kg)です。
この人は、1年後に体重170lbs(77kg)の中級トレーニーとなり、0.85~1.7lbs(0.38〜0.77kg)のペースで筋肉量アップを続けられるということになります。1年で10~20lbs(4.5kg〜9kg)の計算ですが、実際に20lbs(9kg)が達成できれば並外れた伸びだと言っていいと思います。
さらに1年後には体重180lbs(82kg)の上級者となり、1ヶ月に0.5~1lbsの伸びということになります。実際に1ヶ月1lbsのペースで筋肉を増やせる上級者はそう多くないでしょう。
その後、1~2年トレーニングを続けると体重190~200lbs(86~91kg)あたりで伸びどまりを迎えるかもしれません。体脂肪が10%だと除脂肪体重は170~180lbs(77~82kg)です。途中の考え方は少し違っても、ほぼ上記の私のモデルと同じ結果になります。

ケイシー・バットモデル

私のモデルもアランのモデルもかなり簡略化した考え方をしていて、実際に最大筋肉量に影響する要素をすべて考慮しているわけではありません。そのひとつに挙げられるのが骨格のサイズで、手首・足首などを測って比べることができます。
ケイシー・バットはドラッグフリーのボディビルダーです。彼は、トップレベルのドラッグフリーボディビルダーを徹底的に分析し、身長・手首・足首のサイズを入力すると最大筋肉量の推定値を出してくれる計算器(英語)を開発しました。

手首7inch(17.8cm)、足首8.75inch(22.2cm)、体脂肪率10%の設定で身長を変えると推定値がどう変わるのか試してみました。

身長体重(体脂肪率10%)除脂肪体重
172cm85.7kg77.1kg
178cm89.8kg80.8kg
183cm93.4kg84kg

もちろん手首と足首のサイズによって結果は変わってくるので、自分自身の数字で試してみてください。やや控えめな計算結果が出る傾向で、私やアランのモデル内で提示している上限値に届くのは比較的高身長の場合に限られるようです。それでも大きく離れた数字ではなく各モデルともに射程圏内と言えるでしょう。

一部には「骨格のサイズなんて関係ない」と言う人もいるかもしれませんが、ケイシーの考え方を肯定する研究もあります。そして、ケイシーは実際のボディビルダーを分析してこの計算式を作っています。この対象になったボディビルダー達は「限界なんてあるんだろうか」と思わせるようなタイプの人たちだということを忘れてはいけません。

同じトレーニングプログラムを使っても、華奢な骨格の人は、ガッチリした骨格の人よりも筋肉量の増え方が少なかったという研究が少なくともひとつあります。
さらにもう少し基本的なこととして、テストステロンなどのホルモンは骨の成長や骨格の大きさに影響します。つまり、生物学的に見て骨格サイズとホルモンレベルにはつながりがあり、これがトレーニングをしたときの伸び代や、最大筋肉量の違いにつながっていると考えることができます。

また、トップレベルのストレングスアスリートは大きな骨格に丈夫な関節の持ち主であることが多く、骨格が小さい人は持久系スポーツに活路を見出すことが多いのも決して偶然ではありません。
単純に、それぞれのスポーツで必要となるトレーニングをこなすのに適した身体ということはありますが、おそらく身体全体のホルモンバランスの現れだとも言えるでしょう。

マーティン・バークハンモデル

リーンゲインズ考案者のマーティンも、コンテストレベルまで絞り込んだトップレベルのドラッグフリーボディビルダーを観察してきた経験を基に、ケイシーよりも若干シンプルな計算式を公開しています。

身長cm − 100 = 体重kg(体脂肪率4~5%)

つまり、自分の身長から100を引いた数字が、自分の遺伝的限界まで筋肉量を上げ、体脂肪4~5%くらいまで絞りこんだ時の体重ということになります。
ケイシーバットモデルの計算に使ったのと同じ身長で、体脂肪10%だとどのくらいの体重になるか見てみましょう。

身長体重(体脂肪率5%)体重(体脂肪率10%)除脂肪体重
172cm72kg76.0kg68.4kg
178cm78kg82.3kg74.1kg
183cm83kg87.6kg78.9kg

完全に一致するわけではないですが、ケイシーバットモデルとかなり符合する数字です。ひとつ注意する点を挙げると、コンテストレベルまで絞り込んだボディビルダーは、体内の水分やグリコーゲンが大きく減っていることが多いです。これが除脂肪体重を下げる要因になるので、水分とグリコーゲンが通常レベルだと5~10lbs(2.3〜4.5kg)程度増えると考えるのが現実的ではないかと思います。これを考え合わせると、ケイシーバットモデルとほぼ一致する数字になってきます。

現実を見るために

ここで紹介したような推定値のリストを見ると、動揺したり怒ってしまったりする人がたくさんいます。「ここに出てくる数字は、人によってヤル気が違うのを反映していない」という声が多いですが、それはナンセンスです。

ケイシーとマーティンのモデルは両方ともトップレベルのボディビルダーのデータを基にしています。どんな限界でも越えてしまうのではと思わせるようなタイプの人たちで、彼らのヤル気に疑いの余地はないでしょう。
私とアランのモデルは、この分野に長年携わってきた経験を基にしています。このページで紹介した内容に当てはまらない「例外」になる人がたくさん存在するとしたら、すでに誰かの目に触れているはずです。

実際どの程度の結果が実現可能なのかということに関して、プロボディビルディングの影響で、極端に現実ばなれした感覚が広がってしまっていて、それが話をややこしくしています。
プロボディビルダーがギリギリまで絞り込んで260lbs(118kg)の身体でステージに上がる一方で、ドラッグフリーのボディビルダーには180~190lbs(81〜86kg)が精一杯というとガッカリする人もいるでしょう。
もちろん一般人の感覚では、体脂肪の少ない状態で180~190lbs(81〜86kg)というのはスゴい身体です。ただ、プロボディビルダーの規格外のサイズに比べてしまうと、とても小さく見えるというのが現実です。

アーノルド・シュワルツェネッガーが現役のボディビルダーだったときには体重230lbs(104kg)でした。体脂肪5%と仮定すると、除脂肪体重220lbs(100kg)になりますが、これは(本人いわく少量の)アナボリックステロイドがあっての結果です。

ドラッグフリーのボディビルコンテストに行くと現実を見ることができますが、コンテストレベルのコンディションで体重200lbs(91kg)を超える人を見ることなどまずありません。例外が居ても片手で数えられるほどで、このレベルの身体に到達する人もごく稀です。
いつも選手層が厚くにぎわいを見せるのはもっと軽い階級で、階級が上がるごとに出場選手自体が少なくなり、特にコンテストレベルのコンディションで出てくる人は少なくなります。一部には200lbs(91kg)を超える体重でステージに上がる人もいますが、これは単純に絞り切れていないだけです。体重220lbs(100kg)でも体脂肪率10%なら除脂肪体重は200lbs(91kg)しかないわけで、実際にコンテストレベルまで絞り込むともっと軽くなることがほとんどです。

さらに、ドラッグフリーで体重270~280lbs(122〜127kg)あるようなストレングスアスリートを引き合いに出す人もいますが、28%~30%ほどある体脂肪を計算に入れると除脂肪体重は189~196lbs(85〜89kg)ということになります。もちろん筋肉量は多い方になりますが、飛び抜けているわけではありません。

トレーニング方法や栄養管理が進歩することで、筋肉量の限界も変わるはずだと考える人はたくさん居ると思いますが、そうもいかないようです。ヒトの遺伝子は変わっておらず、ドラッグフリーのボディビルダーやその他のアスリートが、このページで紹介する推定値を超えた除脂肪体重で試合に出てくることはありません。限界まで到達するのが早くなることはあるかもしれませんが、ドラッグフリーで到達できる最大筋肉量は、少なくともこの数十年変わっていないようです。

ケイシーのサイトからの引用です。

これまで何年にもわたって、たくさん人からメールがありました。私のサイトで公開している情報に対して、根拠のない主張や、ケンカ腰のコメント、個人を攻撃する内容までありました。たくさんの人が「こんな推定値なんかカンタンに超えてみせる」と言ってきました。
しかし、正当に証明できる数字で、実際にこの方程式を使って出せる推定値を有意に超えたという提示を受けたことは一度もありません。この方程式を作るにあたっては、トップレベルのドラッグフリーボディビルダーとのやりとりがありましたが、彼らも含めてです。

この記事は特にネガティブな話をしたくて書いているのではありません。冒頭でも話したように、自分の遺伝的限界がどうなのかということを心配する前に、トレーニングと栄養管理に力を注いで欲しいと思います。

ただ、筋肉を増やせる量には遺伝的な限界があるということを認識していないと、バカなトレーニングや食事方法を試そうとする人が出てきます。自分の遺伝的限界に近付いてきた人は、もう不可能なペースでもっと筋肉を増やそうとして、思い切り太ってしまうことがよくあります。思い切り食べて思い切り筋肉を増やそうという考えですが、そんなことは起こらないのです。

さいごに、このページで紹介した推定値に基づいて考えると、どの程度のカロリー摂取量が適切かなど、かなり現実的な栄養管理のヒントが得られます。

英語オリジナル記事

AtheleteBody.jpからの追記 その1

増量時にはカロリー収支をプラスにしますが、筋肉を増やせる伸び代に合わせてカロリー摂取量を考えます。ウチのサイトでは、以下のような範囲をオススメしています。

 初心者中級者上級者
筋肉量の増え幅1〜1.5kg 0.5〜1kg 0.2〜0.3kg
カロリー収支 +200〜300kcal+100〜200kcal+若干

 

AtheleteBody.jpからの追記 その2

エリック・ヘルムス

筋肉量の遺伝的限界というテーマで、このサイトで紹介しているエリック・ヘルムスがアラン・アラゴンのリサーチレビューに非常に詳細なゲスト記事を寄稿しています。
通常は毎月10ドルの購読料が必要になる出版物ですが、特に公益につながる情報だからということで、アランがこの記事のみ無料公開(英語リンク)してくれています。
すべてを翻訳すると必要以上に長く複雑になってしまうので、概要を紹介します。

Fat Free Mass Indexを使った研究レビュー

アナボリックステロイドの使用者と非使用者での筋肉量の違いを検証した研究を取りあげ、そのデータと解釈の仕方を紹介しています。

この研究では、筋肉量を比較するための尺度として、Fat Free Mass Index(FFMI)が使われています。一般的に知られるBody Mass Index(BMI)と同じようなシステムですが、BMIでは体重を基にするところを、FFMIでは除脂肪体重を使うので、身長に対する体重が同じ場合でも、脂肪と筋肉の区別が付かないというBMIの弱点を克服することができます。FFMIは以下のような計算式で求められます。

FFMI = 除脂肪体重kg ÷ 身長m ÷ 身長m

(この研究ではさらに身長180cmの男性を基準に正規化されています。)

遺伝的に非常に恵まれた人が薬物の使用なしで到達できるFFMIは最大で25前後と言われています。

この研究では、まずアナボリックステロイド使用者83人と非使用者74人を対象にFFMIを計算し、数字を比較しました。アナボリックステロイド使用者の平均値は〜25となり、非使用者の平均値は〜22となりました。

これをもう少し分かりやすい数字に置き換えると、両グループともに平均して身長は180cmで体脂肪率13%でしたが、使用者は体重のグループ平均が92kg、非使用者ではグループ平均82kgということでした。

両グループともに突出して高い数字を示した被験者もおり、非使用者ではFFMIが最大25、使用者では最大32という数字が得られました。

この研究の対象となったアナボリックステロイド非使用者は、ドラッグフリーのコンテストに出場するボディビルダー、ウェイトリフター、なにかしらの記録を保持しているストレングスアスリートなど、かなりレベルの高いデータを得られる被験者でした。

アナボリックステロイドが無かった時代のトップボディビルダー

この研究では、薬物の助けを借りずに達成可能な筋肉量の限界を知るには、上記のデータでも十分ではないとして、アナボリックステロイドが使われる以前の時代のデータもあわせて検証しています。

1939年〜1959年のミスターアメリカ優勝者のデータを基にFFMIを見積もり、以下のように一覧表にしています。

アナボリックステロイド ボディビル 筋肉量 Fat Free Mass Index

またエリック・ヘルムスによると、アナボリックステロイドの研究が進み、筋力増強に効果があるかも知れないと考えられるようになったのは1940年代であり、その後、量産が可能になって一般人にも手に入れられるまで普及していったことから、このデータも完全にドラッグフリーであると断言できない背景があるようです。

そこで、アナボリックステロイドの普及度合いと照らして、データの信憑性を年代によって分けて黄緑色とオレンジ色の枠で囲っています。

1944年までは、非常に厳しい基準で見て薬物使用があったと考えられないデータで、1953年までは少し基準をゆるめて見ると、薬物使用が無かったと考えるのが自然という範囲です。

1939年〜1944年の間では、優勝者のFFMIは平均24.9で最大27.3になります。

1939年〜1953年で考えると、FFMIの平均は25.6で最大値は28.0です。

これらの平均値は1939年〜1959年全体の平均と比べても大きくは違わず、実際この研究者は「FFMIに有意な上昇は見られない」と結論付けています。

グレッグ・ナコルズのコメント

このエリック・ヘルムスの記事を踏まえて、グレッグがコメントをくれました。

グレッグ・ナコルズ

まず、エリック・ヘルムスのレビュー記事の内容の繰り返しになりますが、ほぼ間違いなくアナボリックステロイドを使えなかった時代のデータで、FFMI27.3という人がいました。少し範囲を広げると28.0の人もいました。

FFMI25.0にしても28.0にしても、それが薬物なしで到達可能な絶対的な限界だと考えるなら、この数字が遺伝的に考えられる最高の条件を持った人を対象にして得られたものだと考える必要があります。

たしかに当時のミスターアメリカの優勝者たちは、現在のトップクラスのドラッグフリーボディビルダーと比べても遜色ない体格をしており、たとえばFFMI26.9とリストに名前があるGrimekは、いまの基準で考えてもすごい重量を挙げることができました。

しかし、1940年代、50年代と比べると、ウェイトトレーニングやボディビルディングはスポーツとして大きく成長しています。競技人口が増えることで、筋肉量を増やすという意味で遺伝的に恵まれた人が、当時よりも多くボディビルディングやストレングススポーツに関わっている可能性は十分に考えられます。

あらゆるスポーツで、より遺伝的に優れた選手が現れて新しく記録が塗り替えられていることを考えると、ボディビルディングに限っては1940年が絶対的ピークだったと考えるのはおかしいでしょう。

さらに上記の数字を現在にそのまま当てはめようとするなら、1940年代から、トレーニング、栄養、サプリメントといった分野でまったく進歩がなく条件が変わっていないと考える必要があります。

ちょっとうがった見方をすれば、筋肥大のためのトレーニングという意味では、たしかに大きな進歩がないと言えるかもしれません。筋肥大に関してはピリオダイゼーションは大きな意味を持たず、とにかくハードなトレーニングをたくさんこなすことが一番大きな要素のように思います。要はあまり難しく考えなくても、とにかく思い切りトレーニングしていればデカくなれるということです。

しかし、栄養とサプリメントに関しては間違いなく進歩があったと言えるでしょう。たとえば、クレアチンはいまでこそ当たり前になっていますが、1940年代にはサプリメントは存在せず、普段の食事から摂ろうと思ったら相当な量の肉を食べなければいけなかったことになります。これが劇的な違いを生むわけではありませんが、クレアチンが筋肉を増やすのに少し助けになることは認められています。

FFMI27.3がドラッグフリーで到達可能なことは上記の研究で分かっています。さらに、1949年の28.0もおそらくドラッグフリーでしょう。この1940年代のボディビルダーたちが遺伝的にエリート中のエリートだったと断言はできません。

さらに、現在のトレーニング、栄養、サプリメントでの進歩を考え合わせると、薬物を使わずにFFMI28台に到達する人がいてもおかしくないと思います。ただ、これは非常に限られたごく一部の人で、大多数の人はFFMI25にも到達することはできません。これは自分の生まれ持った遺伝を受け入れるしかありませんが、FFMI25を超えたら自動的に薬物を使っていると考えるのは早計でしょう。

マーティンのモデルをFFMIに換算した場合

ちなみに上記のマーティン・バークハンモデルの数字を基にFFMIを計算すると以下のようになります。(正規化は行っていません。)

身長体重(体脂肪率5%)除脂肪体重FFMI
172cm72kg68.4kg23.1
178cm78kg74.1kg23.4
183cm83kg78.9kg23.6

2018年1月追記

この記事は遺伝的に恵まれた人がドラッグフリーで筋肉を増やせる限界について取り上げました。どれだけ筋肉を増やせるかは体質の個人差も大きく影響します。こちらの記事では、体質的に筋肉を増やしやすい人と増やしにくい人ではどのくらい違いがあるのかを考えています。

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ライル・マクドナルドは、栄養学・生理学の深い知識と、独自の減量プログラムでアメリカのフィットネス界では広く認知されており、テーマの違った栄養管理の本を7冊執筆しています。
彼のサイトBodyRecomposition.comには栄養管理に限らず、トレーニング関連や、論文レビューなど、幅広い情報が掲載されています。
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