リバースピラミッドトレーニング解説
リバースピラミッドトレーニングとは?(以下RPT)
セット毎にレップ数と使用重量を変えるトレーニング方法です。リーンゲインズ考案者のマーティン・バークハンが使って広く認知されるようになりました。
メイン1セット目が最も高重量の設定になります。2セット目、3セット目と進むごとに、ピラミッドを降りるように重量を落とし、代わりにレップ数を増やします。メインのコンパウンド種目で使うのに特に適しています。
とても時間効率が良いですが、非常に高いトレーニング強度が求められるのが特徴です。
RPTのオススメ対象者
全体のボリュームを抑えつつ、高い強度でトレーニング効果を出す方法なので、十分な強度でトレーニングができるだけの経験が必要になります。初心者向けのトレーニング法ではありません。
RPTの使いどき
うまく使えば減量中・増量中どちらでも効果的ですが、ボリュームを抑えることができるので特に減量中に相性が良いです。
トレーニング経験の長い人が減量をする場合、筋肉量を維持しながら体脂肪を落としていくのが目標になります。カロリー収支がマイナスの状態では、身体の回復力が落ちているので、トレーニングのボリュームも合わせて抑えることがポイントになります。
あまりガンバリ過ぎると、疲れが抜けず、トレーニング強度(筋力)の維持が難しくなり、目標達成に逆効果になることがあります。不必要な補助種目もプログラムから外します。
RPT実践ガイド
RPT進め方の順序
- まずはウォームアップ。メインセットの80%くらいの重量まで段階的に上げる。
- メイン1セット目、最も重いウェイトで限界まで。
- メイン2セット目、少しウェイトを下げて限界1レップ手前まで。
- メイン3セット目、同じくウェイトを下げて限界1レップ手前まで。
- 次の種目へ。
RPTプログラム参考例
上記のように、リバースピラミッドトレーニングは「セット毎の重量とレップ数を設定する方法」なので、実際のプログラムはいろんな可能性がありますが、人気の型のような物があります。
週3日のスプリットルーティーンを使う場合、背中の日を例に挙げてみます。
ウォームアップ
1種目目:デッドリフト
2種目目:加重チンアップ
クールダウン
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重量設定ガイド
漸進性過負荷の原則に乗っ取って、少しでもトレーニング記録(挙上重量か挙上回数)を伸ばしていくのが目標ですが、RPTではその伸ばし方にちょっと独特のルールがあります。
重量の決め方のヒント
RPT導入初回のトレーニングでは、1セット目に設定の回数内(6〜8回etc)で自分が潰れると思う重量を設定する。
2セットには重量を10〜15%落とし、3セット目にはさらに10〜15%落として、それぞれの設定回数挙げるのを目標とする。
重量を上げるタイミング
- 例えば、6〜8回の設定回数で100kgで7回挙げられたとする。
- この場合、次のトレーニングでは、重量は同じ100kgで8回を目指す。
- 達成したら、次のトレーニングでは102.5kgで最低6回挙げるのを目標にする。
重量を下げるタイミング
- 設定の最低回数挙げられなかったら重量を下げる。
(上記の例では、102.5kgで6回挙げられなかった場合。)
スクワットの記録の推移の例を表にしてみました。(あくまでも例の数字です。)
トレ回数 | 1セット目 (6〜8回) |
2セット目 (8〜10回) |
3セット目 (10〜12回) |
1回目 | 150kg x 6回 | 135kg x 9回 | 120kg x 12回 |
2回目 | 150kg x 8回 | 135kg x 10回 | 125kg x 10回 |
3回目 | 155kg x 6回 | 140kg x 8回 | 125kg x 11回 |
4回目 | 155kg x 6回 | 140kg x 10回 | 125kg x 11回 |
5回目 | 155kg x 8回 | 145kg x 8回 | 125kg x 12回 |
6回目 | 160kg x 6回 | 145kg x 9回 | 130kg x 10回 |
- 各セット番号下の数字が目標挙上回数。
- 記録が1セット目で伸びたり、2セット目移行で伸びたり、バラつきが出るのは普通。
細かい注意点
- 10〜15%重量を落とすのは、あくまでもRPT初回に設定を出すための目安です。各セットの重量は、それぞれ設定回数に合わせて調節していきましょう。
- 「限界」とは、正しいフォームを維持してウェイトを挙げられない段階を指します。チンアップでは、身体を上まで挙げ切ることができない段階です。
思い切りハードに追い込むことは大切ですが、正しいフォームで安全にトレーニングしましょう。 - RPTはトレーニング経験者向けですが、場合によってはチンアップの負荷調整が難しいかも知れません。まずは、ゆっくりフルレンジで行うようにしましょう。楽にできる場合は加重ベルトを使って負荷を上げてください。苦しい場合は、負荷を下げるのにレジスタンスバンドが使えます。
- トレーニング強度が高いので、セット間休憩は長めの設定になっています。この通りでなくても構いませんが、一旦決めたら一定に保ちましょう。
RPTの長所と短所
良い所
- 時間が掛からず効果的。
- 高強度のトレーニングだが、低ボリュームなので、ガンバリ過ぎるタイプの人がムリせずに済む。
- 不必要な飾りがなく、一番効果的な種目に集中できる。
痛い所
- 初心者向きではない。
高負荷でのケガを避けるためにフォームが非常に重要で、十分な経験が必要になるが、「上級者向け」と聞くと「スゴいトレーニング法」だと思って試したくなる初心者が多い。(初心者にはBIG3ルーティーンなど他に効果的なプログラムがあります。) - 限界ギリギリのポイントは周囲の環境に影響される。
私自身の経験として、レッグ・プレスマシンに腰掛けたドリアン・エイツに見られながらスクワットした日は、最高に追い込むことができました。
自分をしっかり追い込むことができないタイプの人は、十分な強度を確保することができません。 - RPTは精神的にキツい。
毎セット潰れるギリギリ手前まで追い込まないといけないことが精神的に負担になることがあります。これがストレスになって逆に十分に力が出せない場合や、良いトレーニングができない場合は、5回x5セットなど一定回数をこなす設定の方が良いことがあります。
RPTのよくある質問
Q1. ウォームアップはどうする?
どんなプログラムにしても、ウォームアップで疲れてしまわないように最小限を心掛けましょう。セット数・レップ数・使用重量に決まったルールはありません。身体が温まって、メインセットに向けて集中力が高まっているのを感じるようにしてください。
ウォームアップについて分からないことがあればコメント欄で確認してもらえれば歓迎します。ただ、上記リンク先コメントを読んで実感がわかなければ、おそらくまだRPTに挑戦するだけの経験が無いのかも知れません。
Q2. どんな種目が使える?
BIG3を中心に、フロントスクワット、オーバーヘッドプレス、トップサイドデッドリフト、ディップス、懸垂、ロウイング系種目など、段階的に負荷を上げて行くことができるコンパウンド種目ならほとんどなんでもRPTで使うことは可能です。
Q3. 懸垂の代わりにラットプルダウンは?
ラットプルダウンでもRPTは可能ですが、種目として懸垂の方が効果的です。チンニングバーが使える環境なら、懸垂(チンアップ / プルアップ)をオススメします。
ご質問失礼します。
現在加重懸垂と加重ディップスの重量を上げる事を目的トレーニングしております。
リバースピラミッドを採用しておりますが
5×5や神経系を強化する目的でもっと低レップで重量を組む事もあります。
加重懸垂はMAX50kg
加重ディップスMAX75kgです。
体重は62kg
ただもっともっと重量を持ちたいためアドバイス頂きたいです。ちなみに少し伸び悩んでいます。
質問は3つ
1.リバースピラミッド法の頻度やセット
※現在は週に2回
※記述通り3セット
2.体重は軽い方がいいか、筋肉をつけるためにある程度増やした方が良いか?
※加重トレーニングを増やすため事にフォーカスして考えてます。
3.他に良いプログラムはあるか?もしくは良い補助種目はあるのか?
何にせよ、これが加重トレーニングで重量を上げる方法があればご教示頂きたいです。
目標は
加重懸垂70kg
加重ディップス100kg
です。よろしくお願い致します。
マッスルアームさん、コメントありがとうございます。
体重62kgで懸垂+50kg、ディップ+75kgという加重量は非常に大きいですね。
実際にこの重量を扱えるなら、少なくとも現在の筋量はフルに近い状態で活用できていると考えて良いのではと思います。
そこからさらに重量を大きく伸ばしたいと考えるなら、筋量を増やすことが必要になるかと思います。
その際のプログラムとしては筋肥大を目的としたものが合うかと思います。筋量が増えた後には重量アップに主眼を置くプログラムも良いかもしれません。
少しでも参考になれば^^
アドバイスありがとうございます。
やはり筋肉量を増やす事が最良の策ですよね😅
筋肉肥大トレーニングはどういったプログラムが有効でしょうか?
セット数の目安、懸垂ディップスの有効な補助種目があればご教示頂きたいです。
どういうプログラムが合うかはマッスルアームさんの条件によって変わるので、ここで答えを出すのは難しいですね。
トレーニング種目としては、懸垂とディップに使う筋群に刺激を入れられることが必要ですね。結局は上半身をまんべんなくカバーするのが良いのかと思います。
トレーニング量については、無料eBookをご覧いただくと参考になる情報があるかもしれません。eBookは要点をかいつまんだ形になっているので、不足を感じられれば紙版を読んでいただくと答えを出しやすくなるかと思います。
ご回答ありがとうございました。
確認してみます。
柔道をやっている減量中の者です。
メニューはスナッチ、クリーン、ハイプル、スクワットを中心に5×5法で行い、週三回ほぼ同じメニューです。
ここのところ、セット後半でバテてくるようになり、RPT導入を考えてるんですが、例えばスナッチ等ウエイトリフティング系の様な高強度低レップで行うような種目でも、3セット目の10~12レップ等、高レップで行っても効果はあるんでしょうか?
工藤さん、コメントありがとうございます。
>スナッチ等ウエイトリフティング系の様な高強度低レップで行うような種目でも、3セット目の10~12レップ等、高レップで行っても効果はあるんでしょうか?
工藤さんがどんな効果を目的として行っているかによって答えが変わってくると思います。
出来るだけ大きな重量を挙げられるようになることを目的とされている場合、重量を減らして回数を多く行うと、狙った効果を得にくくなるかもしれません。
また、セット中にフォームを保てるかどうかも回数設定に影響します。ウェイトリフティング種目のように複雑な動きをする種目では、回数が多くなると小さな筋肉が先に疲労してしまうことがあります。こうなると、セット後半にフォームを保つのが難しくなるかもしれません。
ウェイトリフティング種目を行う目的と合っていなかったりセット中にフォームを保つのが難しかったりするようなら、ウェイトリフティング種目だけ回数を少なめに設定して行っていただくのもいいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
こんにちは
今、私は減量中です。減量前は背中の種目としてデッドリフト2セット3-5レップ、加重チンアップ2×4-6、シールロウ2×6-8、クローズグリップチンアップ1×6 をすべてRPTで行っていたのですが、今回の減量ではRippedbodyのRPTを使用しようと考えています。
しかしRippedbodyのRPT例を使用すると、ロウイング種目を行わないことになります。ロウイングで使用する筋群は、チンアップですべてカバーできると考えてよろしいでしょうか?
ロードランナー松山さん、こんにちは^^
このページは、RippedBody.jpのRPTのページと同じ内容のはずなんですが、一部データが飛んでしまっているようです。コメントいただいて気付きました。ありがとうございます。
>ロウイングで使用する筋群は、チンアップですべてカバーできる
デッドリフトと懸垂でかなりの部分はカバーできると思いますが、ロウイング種目が入れられるなら、その方がベターですね。
トレーニングに掛けられる時間や、使える種目に制限のある場合には、、こういうシンプルな設定が便利なケースも出てくると思います。
すみません。
最近この記事を読んで疑問が残る点があったので質問します。
RPT法では2セット目と3セット目は限界までは追い込まないと書いてあるのですが、これはなぜでしょうか。
単純に限界まで追い込んだほうがいいだろうと考えてしまうのですか、明確な理由があれば教えて下さい。
よろしくお願いいたします。
冴木さん、コメントありがとうございます。
RPTはボリュームを抑えつつ高強度でトレーニングをしたいときに出番が多いですが、3セットすべてギリギリまで挙げるのはメンタル面での負担が大きいということが理由です。
強度を確保するには1セット目が一番有利なので、ここだけ限界までということにしています。
実際にどれだけ負担に感じるかは個人差のあるところなので、必ずこのままと考えなくてOKです。
お世話になります。
リバースピラミッドトレーニング(RPT)の、「セット間休息時間」に関して質問をさせて頂きたくコメントしております。
ウエイトトレーニングの教則本等で、「筋量増加を目的としたウエイトトレーニングでは、インターバルは1分程度が理想的」という記載をよく見かけます。その際、1分の根拠としては、「1分の場合に成長ホルモンの分泌が極大なため」との記載が多いように思います。
そこで質問ですが、RPTの場合でも、筋量増加優先であれば、セット間インターバルを若干短めに(あるいは1分程度まで短く)することが有効でしょうか?
インターバル短縮を優先(=成長ホルモン分泌を優先(?))すれば、trade offで、2,3セットの重量が落ちると思いますので、それらを総合した、
①筋量増加目的でも、規定のインターバル(3分→2分)で重量を落とさない方が良い。
②筋量増加目的であれば、2,3セットの重量が多少落ちても、インターバルを若干短めに(あるいは1分程度まで短く)することが有効。
③筋量増加目的であれば、RPT以外のトレーニングが有効。
等の可能性を考えております。
takaakiさん、コメントありがとうございます。
この記事で紹介しているような形でRPTを使う場合には、長めの休憩が必要でしょう。ギリギリの重量でやってみると実感をもって分かると思います。
一般的な傾向として、細かい補助種目類はそもそも挙げられる重量が小さくなるので、セットごとの回数を増やして、セット間休憩を短めに設定するプログラムは多いと思います。
ウチでクライアントさんにオススメするプログラム設定でもそういう考え方をすることが多いです。
その上で、セット間休憩を決めるのに重要なのは、毎回同じ条件でトレーニングすることだと思います。自分の変化を観察しやすくなったり、トレーニングにリズムができてダレにくくなったりするメリットがあります。
>八百様:
ご返信ありがとうございます。
現在、規定インターバルのRPTを実施しておりますが、回答頂いた通りで、インターバルを短くすれば重量が保てない実感が御座います。
話が少し逸れますが、RPTを実践してみて、ウォームアップの重要性を改めて感じております。ウォームアップの質が、1セット目の結果に如実に反映されるように感じております。
ご返信ありがとうございました。
初めまして!いつも読ませてもらっています。
あまり記事に関係のない質問なのですが、前から疑問に思っていたので質問させて下さい。
ここにある画像でもそうなのですが、筋肉の多い人って体の血管がすごく浮き出ていますよね、特に二頭筋や肩のあたりです。
体を鍛えていけば、いずれは血管が浮き出てくるようになるのですか?
ジムの仲間に聞いてみると体質、ステロイド、外国人だけ、体脂肪の量、筋肉の量など様々で要領を得ませんでした。
血管の浮き出た体に憧れているのでなにか方法や情報をご存知でしたら是非教えて下さい。
M.S. コメントありがとうございます。
When you develop your muscles and use them a lot it develops the arteries and veins too. So vascularity in general is simply about having more muscle and low body fat. We can just work on those things, the rest comes down to genetics.
M.S.さん、コメントありがとうございます。
アンディのコメント訳しておきます。
トレーニングで筋肉をたくさん使って鍛える中で、動脈静脈も発達します。
血管の浮き出た身体づくりのために実際できるのは、筋肉量を上げて体脂肪を低くすることですね。
他は遺伝的にどういう身体かということになるので努力できる範囲外ですね。