今回はゲスト記事のご紹介です。
サイト内のリンクページでも紹介している河森直紀S&Cコーチが、AthleteBody.jpの読者さんに向けて書いてくれました。
河森コーチは、国内でスポーツ科学を学んだ後、海外の大学院に留学され博士号まで取得されました。自身のブログで科学的研究の論文レビューなどを掲載される一方で、日本のトップアスリートのS&Cトレーニング指導を行う、まさに筋力トレーニングの「博士」です。
今回のテーマは「トレーニングの原則」です。少し長いですが、要点をまとめると以下のとおり。
- 少しずつ負荷を上げて、身体を適応させて行くことが不可欠。
- どういう能力を伸ばしたいかで負荷の種類や上げ方を考える。
- ずっと同じ負荷で続けるのは「運動」で、「トレーニング」とは呼ばない。
当たり前のように聞こえるかも知れませんが、しっかり実践できているかは別の話。トレーニングで結果を出したい人、身体を変えたい人は押さえて欲しいとっても大事な基礎の話です。
トレーニングの原則
レジスタンストレーニングを実施する目的は、筋肥大、筋力・筋パワー向上、傷害リスク低減、等々いろいろあるでしょう。
その目的が何であれ、レジスタンストレーニングを効果的かつ効率的に実施するために順守すべき「トレーニングの原則」というものがいくつか存在します。その中でも一番重要なのが「漸進性過負荷の原則」です。
エクササイズ・セット数・レップ数等のプログラム変数を設定する際に、この「漸進性過負荷の原則」にしたがって決断を下しておけば、誤った判断をする可能性は断然低くなります。逆に、「漸進性過負荷の原則」を無視して、見た目の派手さや最新の流行を追い求めてトレーニングを進めてしまうと、求めている効果を得られない可能性が高くなります。
今回は、この「漸進性過負荷の原則」について説明したいと思います。まず、「漸進性過負荷の原則」という言葉は、「漸進性の原則」と「過負荷の原則」の2つに分けて考えることができます。
後半部分の「過負荷の原則は、目的とする適応(例:筋肥大、筋力・筋パワー向上)を引き起こすためには、身体が日常的に受けている(慣れている)刺激を超える刺激(=過負荷)を身体に加える必要があることを説明しています。
例えば、日常的に週3回、スクワットを40kgの重量で3セットx5レップ実施している人がいるとします。この人にとっては、週3回、スクワットを40kgの重量で3セット×5レップ実施することは普段から受けている日常的な刺激なので、全く同じトレーニングを続けても過負荷が身体に加えられることはなく、さらなるトレーニング適応は望めないことになります。
そこで、この人に過負荷を与えるためには、プログラム変数(頻度・拳上重量・セット数・レップ数 etc.)のいずれかを操作してあげる必要があります。例えば、拳上重量を40kgから45kgに増やすとか。45kgという重量はこの人にとって新しい刺激(=過負荷)であり、そのような環境の変化に対応しようと身体が反応して、筋肥大や筋力・筋パワー向上等の生理学的適応が引き起こされるのです。
過負荷と適応のいろいろ
ここで注意が必要なのは、「過負荷を与えると言っても様々な方法があり、その方法により引き起こされる適応の種類が異なるという点です。レジスタンストレーニングにおいて、過負荷を与える方法をいくつか挙げてみると、
-
- 挙上重量を増やす
- 1セット当たりのレップ数を増やす
- セット数を増やす
- セット間の休息を短くする
- エクササイズの難度を上げる
- 可動域を広げる
- トレーニングの頻度を増やす
等があります。ここで挙げたもの以外にも過負荷を与える方法はありますが、その全てをカバーするのはこの記事の目的ではないので省きます。
繰り返しになりますが、ここで言いたいのは、どのプログラム変数を操作してどのような種類の過負荷を身体に与えるかによって、引き起こされる生理学的適応の種類も変わってくるということです。
例えば、1セット当たりのレップ数を増やすというのは過負荷を与える方法の1つではありますが、トレーニングの目的が例えば最大筋力の向上だとすると、効率の良い方法ではありません。
ベンチプレスを40kg×5レップから始めて毎週1レップずつ増やしていき、3ヶ月後に40kg×17レップできるようになったとしても、最大筋力(ベンチプレス1RM)が大幅に向上するかどうかは疑わしいでしょう。この方法で主に鍛えられるのは筋持久力だからです。
もちろん、トレーニング初心者であれば、この方法でもある程度の最大筋力向上が期待できますが、最大筋力の向上がメインの目的であれば、挙上重量を増やすという過負荷のほうがはるかに効率的です。
要するに、「過負荷の原則」にしたがって過負荷を与えることは重要ですが、過負荷の種類についても注意を払う必要があるということです。これは、「特異性の原則」と呼ばれる別のトレーニングの原則に関する議論につながってくる話なのですが、それについてはまた別な機会にしたいと思います。
少しずつ負荷を上げ続ける「漸進性」
一方、「漸進性過負荷の原則」の前半部分の「漸進性の原則」に関して、「漸進」という普段あまり聞き慣れない言葉を辞書で調べてみると、「順を追って少しずつ進んでいくこと」とあります。トレーニングに当てはめて考えてみると、トレーニング負荷を少しずつ増やしていく必要があることを示しています。
例えば、「過負荷の原則」に従ってベンチプレスの挙上重量を40kgから45kgに増やしてトレーニングをすると、この過負荷に対して生理学適応が起こり、筋力がアップしますが、その後もずーっと45kgを使ってトレーニングを続けていては、さらなる(継続的な)筋力向上は望めません。
なぜなら、筋力向上に伴い、45kgを用いてトレーニングをする事がもはや日常的なことになってしまい、さらなる適応を引き起こすための刺激(=過負荷)にはならなくなるからです。したがって、継続的なトレーニング適応を望むのであれば、体力が向上するのに伴いトレーニング負荷も少しずつ高めていく(漸進させていく)必要があるのです。
「運動」と「トレーニング」
たまに民間フィットネスジム等で毎回同じエクササイズを同じ重さで同じ回数だけ実施している人を見かけることがあります。
「あの人、1年前とまったく同じことをしているな〜。ある意味スゴイな〜。」なんて思いながら横目で眺めたりするのですが、この人のトレーニングには「漸進性」が欠けているわけです。
だから、そのようなトレーニングを続けていても、筋力等が大きく向上することは望めません。
ま〜、ジムに来て楽しく身体を動かして汗を流し、その後にビールを美味しく飲むことが目的であるのなら、それでも良いのでしょう。
この場合、この人がやっているのは「運動」であって「トレーニング」ではないのです。運動は身体を動かすこと自体が目的であり、楽しく身体を動かして一時的に気持ちよくなるのであれば、それはそれでまったく問題ありません。私もそれを否定するつもりは一切ありません。
一方、トレーニングは一時的な目的を達成するための運動とは異なり、中・長期的な目的(例:筋肥大、筋力・筋パワー向上)を達成するためのプロセスです。トレーニングにおいては、身体を動かすことはあくまでも手段であり、目的ではないのです。
運動をするのであれば、まったく同じエクササイズをまったく同じ重さでまったく同じ回数だけ実施し続けても構いませんが、筋肥大や筋力・筋パワー向上といった中・長期的な目的を達成するためには、「漸進性の原則」に従って計画的にトレーニングを行うことが必要なのです。
「漸進性の原則」に関して、ここまで説明した通り、いつまでも同じことを継続するのではなく、トレーニング負荷を増やしていく、という点は非常に重要で本質的な部分ですが、もう1つ忘れてはいけないのは、少しずつ増やすという点です。
外部から加えられた過負荷に対して適応しようとする身体の能力には限界があります。この限界を超えて過負荷を与えてしまうと、適応が引き起こされないだけでなく、一時的に体力の低下にも繋がりますし、この状態がしばらく続くとオーバートレーニング状態に陥る可能性もあります(実際には、そう簡単にオーバートレーニングにはならないと思いますが)。
そのようなマイナスの状態を避けるためにも、少しずつ負荷を増やしていくのが重要になります。この「少しずつ」が実際にどの程度なのかは、アスリートのトレーニング経験、遺伝的なポテンシャル、栄養、睡眠、休養、等の諸条件によって変わります。
例えば、トレーニング初級者の場合は、トレーニングをする毎にスクワットの拳上重量を2.5kgずつ増やしていくことも可能かもしれませんが(週に2~3回トレーニングするとして)、トレーニング中級者になってくるとそのような割合で負荷を上げていくのは現実的ではないので、例えば1週間毎に2.5KG増やすようにプログラムを変えてあげる必要があります。さらにトレーニング経験を積んでトレーニング上級者になると、拳上重量を2.5KG上げるのに数か月をかけるのが必要になったりします。
また、適切な栄養を摂取し、しっかりと睡眠時間を確保し、休養もちゃんと取っているアスリートと、それらを怠っているアスリートとでは、どの程度のスピードで負荷を漸進させていくのが適切であるか、は異なります。
さらに言うと、以上のようなアスリート自身に関する要因だけでなく、エクササイズの特性によっても適切な「少しずつ」の程度は変わります。例えば、多関節エクササイズでより多くの筋群・筋量を用いるようなエクササイズにおいては、単関節で小さな筋群を鍛えるエクササイズと比較して、適切な漸進の割合・スピードは速くなるでしょう。
これらの多様な要因を考慮に入れたうえで、漸進の度合いをうまく見極めて調節するのがストレングス&コンディショニング(S&C)コーチの腕の見せ所とも言えます。
アスリートの遺伝的なポテンシャルや、トレーニングセッション外でのアスリートの行動(栄養、睡眠、休養)等についてはS&Cコーチがコントロールできない部分なので、なかなか難しい作業ではありますが・・・。
迷ったら原則に当てはまるかどうか
以上の「過負荷の原則」と「漸進性の原則」を組み合わせたコンセプトが「漸進性過負荷の原則」ということになります。
私は、S&Cトレーニング指導をするうえでこの「漸進性過負荷の原則」を1つの軸と考えています。自分が作成しているトレーニングプログラムが適切なのだろうか、と不安になったりした場合は、必ず「漸進性過負荷の原則」に立ち返って、この原則に当てはまっているかどうかを確認する作業をおこないます。
また、新しいエクササイズやトレーニング器具を導入するかどうかを判断する時にも、「漸進性過負荷の原則」が適用可能かどうかを基準にしています。
最近は、見た目が派手でひと目をひくようなエクササイズやトレーニング器具が流行する傾向が見られますが、それらを用いてトレーニングをして、アスリートが適応するに従って負荷を少しずつ増やしていくことができるのかどうか。それが判断基準です。
この基準に当てはまらないエクササイズは、もはやトレーニングエクササイズではありません。単なるドリルという位置付けになります。S&Cプログラムのメインとなるトレーニングエクササイズを実施する上で役に立つのであれば、ウォームアップやエクササイズのセット間にこのドリルを導入しても良いでしょう。しかし、ドリルがS&Cプログラムのメインとはなりえません。あくまでも補助ドリルということで、モビリティドリルやウォームアップドリルと同じ位置づけです。
同じことはトレーニング器具にも言えます。ファンクショナルな動きを鍛えることができると謳っているトレーニング器具は多いですが、「漸進性過負荷の原則」を適用できるものは少ないと感じます。
そして、「漸進性過負荷の原則」が当てはまらないトレーニング器具の汎用性は極めて低いと言わざるをえません。
「いやいや、ファンクショナルなドリルやトレーニング器具の目的は“動き”を鍛えることだから、そこそこの重さを加えることができれば、それ以上重さを増やすことができなくても大丈夫なんです」という反論が聞こえてきそうですが、私から言わせればそんなものはトレーニングではありません。
競技コーチがスキル練習の一環として、そのようなドリルや器具を活用するのであれば、何の文句もありません。しかし、競技の素人であるS&Cコーチが「動きを鍛える」として、そのようなドリルやトレーニング器具を使ったトレーニングに貴重な時間を割くのは理解できません。
バーベルやダンベルを用いてベーシックなトレーニングエクササイズを実施すれば、「漸進性過負荷の原則」が適用できるので筋力や筋パワーを向上させることができるし、ベーシックな“動き”を鍛えることもできます。そっちのほうがよっぽど効率的です。
以上、「漸進性過負荷の原則」について説明しました。トレーニング論や運動生理学を少しでも学んだ人にとっては、聞き覚えのある用語だと思いますが、「そういえば教科書に載っていたな〜」程度の存在ではないでしょうか?
あるいは、あくまでも概念上のお話で、実際のS&Cトレーニングに活用するようなコンセプトではないと捉えている人も多いのではないでしょうか?私も最初はそのような考えでしたが、実際にアスリートを指導するようになり、このコンセプトは現場でもかなり使えると思い直しました。
トレーニング方法(エクササイズとかプログラム変数の操作の仕方)は、色々と勉強をして新しい知識を得たり、経験を積んだりするにつれて変わっていくものです。しかし、トレーニングの原則はいつまでたっても不変の存在です。その中でも特に今回紹介した「漸進性過負荷の原則」は最も大切なコンセプトであり、私にとっての軸となるものです。
読者のみなさんにも、S&Cトレーニングをするにあたって絶対にブレない軸を持っていただいて、流行りのインチキトレーニング等に騙されずに、適切なトレーニングを地道に継続していただきたいと思います。
河森コーチはブログとTwitterで情報発信されています。 ブログに掲載されている内容をしっかり理解するには、ある程度の予備知識が必要ですが、真剣にトレーニングに取り組みたい人は必見です。とても論理的にかつ真摯にトレーニングに向き合っているスタンスが印象的です。 今回は「一般ピープルが読んでそのまま理解できる記事」ということで、専門用語をできるだけ省いて書いてもらいました。 こういうコーチの指導を受けてトレーニングをすると、たまたまジムに居た力持ちのアドバイスを聞くのとは、まったく違う物を学べるんだと思います。 |
[…] 参考 レジスタンストレーニング「漸進性過負荷の原則」AthleteBody.jp […]
[…] 筋肉をより付けていくためには漸進性過負荷の原則(要は少しづつ重くして行かないと成長しないという事)が必要ですので、特定の重さだけだとすぐに限界が来て置物と化してしまいます。すべての重さを揃えると最も高額になります。 […]
[…] この「漸進性過負荷の原則」というのは、筋力をはじめとする体力を向上するためには非常に重要です。 […]
漸進性過負荷の原則というのは、若い頃からトレーニングしていて60歳になろうとする人には当てはまらないように思うのですが、どうなんでしょうか。負荷の掛け方にもいろんな方法あるものの、負荷をあげるのが難しくなっているのを実感します。老化に伴う筋肉減少には逆らえないのでしょうね。漸進性過負荷の原則をいつまでも実践できていたとしたら、トップビルダーは皆高齢者になってしまいますね。巷ではトレーニングはいつ始めてもつくと言われますが、やってなかった人の場合はそうでも、継続してきた人は成長速度が遅くなりやがてはマイナス成長というものなのではないでしょうか。やらないよりやった方がいいのでしょうが。
もうすぐ還暦さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
>負荷をあげるのが難しくなっているのを実感します。
ベテラントレーニーでいらっしゃるんですね。
漸進性過負荷の原則は、これに則っていれば無限に体力を伸ばせるというものではなく、体力を伸ばすには必要になるものと捉えるのがいいのかと思います。
原則として重要なものだと思いますが、漸進性過負荷を意識していても年齢、病気、体質などその他の要因で体力を伸ばせなくなる場面はありますね。
長くトレーニングを続けて非常に高いレベルに到達した人や年配の方は、体力レベルを維持すること自体が十分に価値ある目標だと捉える方が多いように思います。
[…] 参考 レジスタンストレーニング「漸進性過負荷の原則」AthleteBody.jp […]
[…] 「漸進性過負荷の原則」の観点からも、これは重要な特徴です。 […]
お疲れ様です。自分はスクワットでよく股関節の付け根辺りの筋を痛めてしまいます。そうすると治るのに1ヶ月くらいスクワットが出来なくて仕方なくレッグプレスのマシーンで我慢したりしてます。原因として考えられるのはフォーム 柔軟性 など自分なりに研究してますがどうでしょうか?ご指摘お願いします。
吉岡さん、コメントありがとうございます。
吉岡さんのスクワットを拝見していないので何とも言えないですね。ケガの治療という意味でも、フォームの修正という意味でもそれぞれ専門の方に診てもらうのが良いと思います。
お返事ありがとうございます。初心にかえってフォームを見直してみます。
お返事ありがとうございます。
つまり、筋力向上や体型改善ならばクロスフィットに頼らずとも済むという事ですね。
クロスフィットは野球やサッカー等、スポーツ競技の一種として考えた方が良いのでしょうか。
それとも筋力トレーニングで補えない何かがあるのでしょうか。
>クロスフィットは野球やサッカー等、スポーツ競技の一種として考えた方が良いのでしょうか。
そうですね。クロスフィット自体を楽しむという物かなと思います。
本当に興味があるなら実際にされている方や、クロスフィットのジムで話を聞かれるのが良いと思います。
実際にやってみると、筋力トレーニングとの違いについてもご自身の見方ができると思います。
なぜかコメントの通知が来ていなくて、お返事が遅れました<(_ _)>
ken 様、八百さん、
もう半年前のコメントに対する返信になりますが、先日、私が通っているジムにクロスフィットのトレーナーさんが来られるようになりましたので、あれこれ質問をしてきてました。
長くなりますが、ご参考になればと思い、コメントさせていただきます。
八百さん、もしサイトの趣旨にそぐわなかったり、こんなことはご自信のブログにでもアップして下さい!!など、有益でない情報だとご判断されましたら、ご遠慮なく本コメントを削除していただければと思います。
まず、クロスフィットのトレーナー資格は英語でしか受験ができないため、日本ではまだまだトレーナーの数が少ないとの事でしたので、なかなかトレーナーから直接、お話を聞くことも難しいと思います。
私も、ちょっと体験してみましたので、その感想も合わせてコメントさせてください。
<Q&A>
Q1 私は、基本的に筋トレはベースとなるBIG3が中心で、クロスフィットは、「鍛える」というよりも、BIG3で鍛えた筋肉を、いかに野球に使うか、サッカーに使うか、と同じように鍛えた筋肉をクロスフィットで使うだけで、スポーツの一種と捉えているのですが。
A1 NO。クロスフィットは、トレーニングの一種。理由としては、
①クロスフィットには、a)筋トレ、b)心肺系、c)ダイエット、などその人に応じたメニューが組めるので、a)を選択した場合には十分に基礎となる筋肉が鍛えられる。
②スポーツの一種とする誤解があるのは、Reebokが主催している「クロスフィットゲーム」があるからだと思う。これは、クロスフィットで鍛えた体がどれだけ使えるのか、いろんな種目に挑戦するもので、テレビ番組のサスケや筋肉番付みたいなものである。
Q2 クロスフィットは多種多様な、メニューを決まった時間でこなす。これは確かに、心肺系が鍛えられ、体の筋肉の動きも意識できると思うが、同様のプログラムは、どのフィットネスクラブにもスタジオプログラムに組み込まれていると思う。これらとどう違うのか?
A2 クロスフィットは、基本的には個人個人に合わせたメニューを作成するものである。スタジオプログラムは不特定多数の人、どんなレベルの人も対象になっているので、クロスフィットの方が個人の目標達成には近道になる。
Q3 単純なサーキットトレーニングと同じだと感じるが。
A3 そういわれると、そうかもしれないが、クロスフィットの特徴はA2で述べたとおり、個人個人の目的に適ったメニュー作りがシステムとして構築されているところにある。たとえて言うと、レストランで「白身魚を煮込んだ感じのイタリアンが食べたい」とオーダーがあると、こちらは「それでは、○○というメニューがあります」と応えることができる。
そして、大きな違いは、①時間を計って早くこなす、②決まった時間で何回こなせるか、がクロスフィットの特徴の一つである。なので、タイムが縮まる、もしくは回数がこなせるという風に、目に見えて自分の体の向上が分かる。
Q4 バランスボールに乗ったり、基本のデッドリフトやスクワットができてないのに、クリーンを急いでやらせるとか、デッドリフトを急いでやらせるのは、ケガのリスクが高まるのではないか。そもそも、バランスボールの上で腕立てすることで、ベースとなる筋肉のアップにつながるとは思えない。
A4 それはまさしくその通り。私はクロスフィットだけでなく、レジスタンストレーニングを主体にやってきた。
クロスフィットのメニューの中には、意味のない種目も多いと思う。それは、まだまだしっかり確立していないクロスフィットの歴史にも問題があると思う。
そしてそれを理解できない指導者にもあると思う。しかし、それは他のジムのインストラクター、トレーナーも同じだと思うのでクロスフィットだけの問題点ではないと思う。
私は、意味のないメニューは、クライアントにやらせない。
Q5 ネット上では、クロスフィットをHITTに取り入れて、ダイエット、減量効果を狙っている人もいるが、それについては。
A5 HITTの減量効果は6倍とも言われているが、それについては、なんとも言えない。私もメニューの中にHITTを入れることもあるが、確かに減量効果が見られる。
しかし、減量は食事管理だけの問題。クロスフィットをHITTに取り入れることで、変わるのは体のライン。絶対に引き締まる。その結果、体重が落ちることもあるが、それはあくまで付随的効果にしか過ぎないと思う。
<体験談>
私は、HITTにも興味があり、器具をあまり使わずに気軽にできるクロスフィットに挑戦させてもらいました。
メニューは
フルスクワット 30回
腕立て 25回
腹筋 20回
バーピー 15回
懸垂 10回
を3セット。何分でできるか、スピード勝負。途中、息が上がったり、筋疲労した場合は、回復するまで休んでよし。
私のタイムは26分(T-T).。。
ちなみに、トレーナーさんは9分を切るくらいでした。
クロスフィットゲームに出場する人は、7分くらいでするらしいです。
<感想>
HITTも兼ねてやったため、正直、かなりきついです。死にそうです。
①疲れが溜まってくると、フォームがバラバラになり、筋トレとしては向かないと思います。ケガのリスクも高まると思います。
②回復にも時間がかかるので、翌日以降の日常的なトレーニングに支障をきたしてます。
ただし以上のデメリットは、メニューの選択により回避できる可能性はあると思います。
しかし、筋力アップ、心肺アップはBIG3だけでも十分に目的の達成は可能かな、と思います。
ただ、メリットも感じる部分がありました。
③まず、一人運動会、体力測定みたいで楽しい。
④周りの人が応援してくれた(笑。
⑤最大の利点は自分の弱い部分が分かるといこうと。その結果、日常のトレーニングに反映できる、という点です。
つまり、私は、スクワット、腹筋、バーピーはなんの問題もなくできました。心肺系もそれほどゼーゼーハーハーすることはありませんでした。
これは、普段のスクワットやデッドリフトで腹筋、背筋、ジャンプ力が鍛えられ、BIG3だけでも心肺機能も鍛えられるということの証左であると思います。
ただ、腕立てと背筋が続きません。全然。情けないくらい。
このことは、私は基本的にスクワット、デッドに重点を置いてトレーニングしてきたことが理由だと思います。そのため、ベンチの記録があまりよくありません。それが今回のクロスフィットで露呈された形になりました。
また、ラットマシンなどのトレーニングも全くしてないので、懸垂に使う筋肉があまり鍛えられてないことも痛感しました。
別に、普通の状態では10回くらいの懸垂できるので、いいかな、と思いましたが、やはり悔しい気持ちはありますね(^o^;)。
長くなってしまって申し訳ありませんが、以上、クロスフィットをちょっとだけ味見した者の感想でした。
kiharaさん
レポートありがとうございます。
クロスフィットは、仲間との輪ができることが素晴らしいと聞きます。
アメリカでは競技人口が多く、指導をする側の人材育成が追いついていないのが問題として指摘されますが、競技者も指導者も人によって実践内容はまちまちではないかと思います。
クロスフィットをやったことがないボクは多くを語れませんが、楽しい仲間の居る環境で、実践内容が自分の目的と合致すれば良いでしょうね。
よくある「手段」と「目的」の話ですが、何か目的を持ってトレーニングをする場合、時間制限や目標レップといった設定が、自分の目標にすり替わってしまわないように注意が必要かなとは思います。
以前Facebookでレップ数設定の記事をシェアされていたのを見て、河森コーチのブログを知りました。
ところどころ英語も混じっていて私には少し難しいですが、本物なんだなというのは分かります。
栄養関係はこちらの記事を見て参考にさせてもらっていましたが、こんなコラボってすごいですね。
こんにちは。
そうなんですよ!すごいでしょう^^
ボクも河森コーチのブログのファンなので嬉しくて仕方ないです。
このサイトで紹介できてない物を含めて英語圏のコーチの記事なんかをよく読むんですけど、同じ人の記事が河森コーチのブログで紹介されてたりします。日本語の解説付きで。
英語がきっちり読める人で、さらに内容を正確に理解できる人じゃないとできないことです。こういうレベルの情報をブログに書いて誰でも読める形にしてくれてるってすごいことだと思います。
初めまして。
私はジム通いを考えておりまして、いろいろ調べるためにネットを彷徨っていたところこちらのサイトへたどり着きました。
一つ質問したいのですが、スポーツ雑誌等で見かけるようになった「クロスフィット」という、人間本来の動きを向上させるといったようなファンクショナルトレーニングは所詮流行りのトレーニングにしか過ぎないのでしょうか。 真剣に減量と筋力アップを目指すのならば、こちらのサイトで紹介されているようなトレーニングを指導してくれる貴サイトの通信指導や、ジムへ通うべきなのでしょうか。
kenさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ファンクショナルトレーニングってすごく定義があいまいで、最近はいろんな種類の物にファンクショナルって言葉が付いている感があるので、一概に言えないですけど、イイ加減な流行り物が多いのは間違いないですね。
体幹トレーニングと名前が付いているのも似たような物で、ほとんど眉唾物と思います。これに関して興味があればこの記事を見てみてください。
クロスフィットに関しては、上記の類とは少し違います。
ちょうどこの記事の言葉を借りると、ウチは「良い運動」として見ています。バーベルやその他のトレーニング種目に触れる入り口としては面白いかも知れません。
「真剣に減量と筋力アップを目指すトレーニング」という目標を考えると、ジムに通って、ウチのサイトで勧めている内容に沿って実践するのが手っ取り早く確実ですね。
お返事ありがとうございました! 流行に騙されず、ちゃんとしたジム施設を探そうと思います!
素人の質問にも丁寧に答えて頂き、恐縮です。
度々申し訳ありません。また質問させていただきます。
クロスフィットを良い運動として分類される根拠は何でしょうか。
また、クロスフィットはあくまで真剣な筋力トレーニングの入り口にしか過ぎないとお考えでしょうか。
>真剣な筋力トレーニングの入り口にしか過ぎない
こういう見下した感覚ではありません。
ただ、この記事にあるように「中・長期的な目的(例:筋肥大、筋力・筋パワー向上)を達成するためのプロセス」としてトレーニングを考えると、ちょっと違うかなと思います。
クロスフィットは(特に海外では)競技人口の多いスポーツで、取り組み方も人によって幅が出てくると思いますが。
kenさんの体形改善の目標だと、ウチのサイトの内容で結果は出せると思います。