今回は初めてのボディビルコンテストに出場されたクライアントさんの減量過程をご紹介します。(お名前はKTさんとします。)
減量に対して苦手意識があり、初めてのコンテストで失敗しないかと不安な気持ちとの戦いになりました。
しかし、期間内に確実に体脂肪を落とし、緊張しながらもご自身で納得のコンディションでステージに立たれました。
AthleteBodyのパーソナルコーチングにお申し込みいただく前、KTさんはすでにコンテストに向けてご自身で減量を始めていました。しかし、体重が思うように落ちていかず焦りを感じられていたそうです。
そこで、確実にコンテストまでに体脂肪を落とし切れるようにと、コーチングにお申し込みくださったとのことでした。
コーチング期間に入ってからは、途中で停滞することなくコンテストまで減量を進めることができました。そして、コンテストでは「自分史上最高の身体をつくれた」という自信を持ってステージに上がることができました。
ここからは、KTさんのコーチング期間中の取り組みを紹介してみたいと思います。
減量期間の方針
減量プログラムを作成するにあたり、コンテストに向けた大まかな方針を立てることにしました。
減量ペース
はじめに、どれくらい体重を落とすかを決めました。
コンテストまでの3ヶ月間で体重を5〜6kg、1週間あたり500〜600gくらいのペースで減量すると、コンテストまでに体脂肪を落とし切ることができるはずだと考えました。
コンテストに向けた減量幅としては大きなものではなく、減量ペースも一般的な範囲に収まります。
KTさんはすでに減量を始められていたので、お申し込み時点までの減量ペースと食事量をお聞きした上で、目標ペースに合うように食事設定を調整しました。
トレーニング
トレーニングに関して、コーチングにお申し込みいただいた時点では筋肉痛が長引いたり日中にダルさがあったりと、疲労がなかなか抜けないことに悩まれていたそうです。
まず、実際のトレーニング内容を伺ったところ、1回のトレーニングで各部位に対して15セットずつくらい実施されていたことが気になりました。これは1回のトレーニングでこなすセット数としてはかなり多いです。
また、ほとんどのセットにおいてウェイトを持ち上げられなくなるギリギリのところまで追い込んでいたことも気になりました。
全体のセット数が多いことも相まって非常にキツいトレーニングになっていたと思います。
このようなスタイルで筋肉を増やせる人はいるのですが、実際にうまくいくかは体質や食事内容などさまざまな条件によって変わってきます。
KTさんの場合、食事を制限した状態でキツいトレーニングをしていたことから、回復が追い付かなくなっている可能性があると考えました。
そこで、プログラムを次のように組み立て直しました。
- 1回のトレーニングでの各部位のセット数を6セットくらいまで減らす。
- 1回ごとのセット数を減らす代わりに、1部位あたり週2回トレーニングするようにする。
- セット終盤は限界まで追い込まず、1〜3レップほど余力を残すようにする。
このような内容で始めてみて、疲労が問題にならず減量を進められるか様子を見ていくことにしました。
はじめの1ヶ月
コーチング開始からはじめの1ヶ月では、KTさんの身体と挙上成績は次のように変わりました。
開始時 | 1ヶ月後 | |
体重 | 79.6kg | 77.3kg |
お腹まわり | 79.0cm | 76.0cm |
ベンチプレス | 90kg×6 | 87.5kg×7 |
はじめの1ヶ月間で体重は2.3kg落ちました。これは1週間あたり約600gの減量ペースで、コーチング開始時に立てた目標通りに進められています。
トレーニングに関しては全体として挙上成績を維持できていて、順調に進められているように思えました。
ただ、一部の種目において重量や回数が少し落ちていて、KTさんはそこに大きな不安を感じられていたようでした。
このときKTさんからは「回数が落ちた分だけセット数を増やして刺激を強くした方が良いでしょうか?」とご相談がありました。
実際にできるだけ挙上回数を維持しようと、限界ギリギリまで追い込むこともあったようです。不安な気持ちからプレッシャーを感じられていたのでしょう。
減量中、挙上成績が落ちるのにはさまざまな要因が関わっています。ある程度重量や回数が落ちていても、必ずしも筋肉が落ちているとは限りません。心配しなくて大丈夫なことも多いです。
KTさんの場合、重量と回数の落ち幅はコンテストに向けた減量ではよく見られる範囲に収まっていました。
ここで挙上回数にこだわって無理をすると、回復が追いつかなくなるリスクがあると考えました。実際に、筋肉や関節に違和感が出ている部位もあるようでした。
そこで、KTさんには「重量や回数が少し落ちても、筋肉が大きく落ちる心配はありません。回数を維持できないときは無理をせずに重量を落としましょう」とお話ししました。
このアドバイスは、重量を落として回数を維持することで、筋肉への刺激を少しでも維持したり、疲労が問題にならない範囲に抑える狙いがありました。
このやり取りで「挙上成績が下がっても、神経質にならなくて大丈夫だ」と安心していただけたようでした。
開始1ヶ月から2ヶ月
挙上重量が落ちる不安を乗り越えたあと、コーチング開始後1ヶ月から2ヶ月にかけて、KTさんの身体は次のように変わりました。
1ヶ月後 | 2ヶ月後 | |
体重 | 77.3kg | 74.8kg |
お腹まわり | 76.0cm | 74.8cm |
ベンチプレス | 87.5kg×7 | 82.5kg×8 |
この1ヶ月間で体重は2.5kg落ちました。写真をよく見ると、筋肉の輪郭も見え始めているのが分かります。
ただ、KTさんご自身はこの時点での体脂肪の落ち方に不安を感じているようでした。
実はこの頃、KTさんはコンテストでのポーズを練習するために、ボディビルの審査員の方に指導を受けたとのことでした。
このとき、「いまの状態からあと体重を2kg減らさなければコンテストで通用しない」と言われたそうです。
この一言によってKTさんは気持ちが焦ってしまい、「食事量を減らして減量ペースを速めなければいけないのではないか」と悩んでいたとのことでした。
コンテストに向けて減量をしていると、選手は自分の身体がどう見えているのか気にしてしまうものです。KTさんも減量が終盤に差し掛かり、そのような心境だったと思います。そんな中で、体脂肪を落とし切れていないと言われて動揺されたのは無理もないことです。
一方で、コンテストまでの残りの期間を考えると、このときのペースで減量を続けていけばコンテスト当日までに体脂肪を落とし切ることができるはずだと私は考えていました。この時点で体脂肪が残っているのは計画の内だったのです。
そこで、KTさんには「減量ペースは変えずに、今までやってきたことを続けていきましょう。そうすればコンテストまでに体脂肪を落とし切れるはずです。焦らなくて大丈夫」とお話ししました。
このようなやり取りを通して、KTさんはだいぶ心の落ち着きを取り戻してくれたようでした。コンテストまで残り期間、これまでと同じ食事量とトレーニングを続けてもらいました。
開始2ヶ月からコンテスト
コーチング開始から2ヶ月から2ヶ月半までの2週間、減量ペースを維持したまま体重を落とすことができました。KTさんの身体と挙上成績は次のように変わりました。
2ヶ月後 | 2ヶ月半後 | |
体重 | 74.8kg | 73.3kg |
お腹まわり | 74.8cm | 74.0cm |
ベンチプレス | 82.5kg×8 | 82.5kg×7 |
この2週間で体重は1.5kg落ちました。体脂肪は確実に落ち、筋肉の細かいところまで見えるようになりました。
この時点でコンテストは1週間後に迫っていましたが、いつでも胸を張ってステージに立てる状態になったと感じました。
ただ、この状態からコンテストまでにもう少し体脂肪が落ちると、見た目が改善する可能性があると考えました。そこで、KTさんにはコンテストの数日前まで食事制限を続け、減量してもらうことにしました。
そして、コンテスト2日前くらいからは炭水化物を増やし、水分や塩分は概ね維持としました。
これは、コンテスト当日に少しでも筋肉の張りが出やすくなることを狙っての調整です。(詳細に興味のある人は「肉体改造のピラミッド 栄養編」にて解説しています。)
こうして、ステージに上がる準備が整いました。
2021年7月31日、KTさんは静岡県ボディビル選手権の新人の部に出場されました。
コンテスト当日の朝、他の出場選手の写真をSNSで見て、かなりプレッシャーを感じていたようでした。しかし、「ここまでにできることは全てやった」という自信を持って、コンテストに臨まれたそうです。
コンテストでは4位に入賞することができました。あと少しのところで表彰台を逃したことへの悔しさはあったものの、「自分の人生で最高の身体をつくれた」と満足された様子でした。
初めてのコンテストで、体脂肪をしっかりと落としてステージに上がれたのは胸を張って良いことだと思います。
担当コーチ本橋の感想
KTさんのコーチング期間全体を振り返って強く印象に残っているのは、コンテストに向けた真面目な取り組み方です。
コーチング開始からコンテストまで、途中で停滞することなく減量することができました。スムーズに減量できた理由として、KTさんが生活や食事の詳細をしっかり記録に留めて管理されていたことが挙げられると思います。
KTさんのコーチングプログラムでは、トレーニング記録や身体のサイズといったデータを2週ごとに提出していただくことになっていました。
提出していただくデータはこちらから内容を指定させていただくのですが、KTさんはそれに加えて、ご自身で起床や就寝時間といった生活リズム、トレーニングの実施状況、食事内容などを詳細に記録されていました。
このように詳細に記録を取ろうとすると負担に感じてしまう人も多く、必ずしも全ての人にとって有効というわけではありません。しかし、KTさんは記録を取って資料を作るのに楽しみを感じていて、全く苦に感じていないとのことでした。
KTさんは、この記録をもとにして日々の生活でうまくいった部分とそうでない部分を把握し、カロリー計算のズレや生活リズムの乱れを抑えるように気をつけていたそうです。
このようにしっかりと自分自身を管理するのは簡単なことではありません。真面目に取り組んでいるからこそできることで、立派だと感じました。
一方で、コンテストに向けた不安やプレッシャーに苦しむ場面がありました。
減量中には、順調に進んでいても体重に波が出るものです。毎日の体重変化を見て計画どおりに進まないと気持ちが焦ってしまうことがあったようです。
他には、先に紹介したようにトレーニングの挙上重量や回数が落ちると、KTさんは何としても数字を維持しようとかなり追い込む場面がありました。
KTさんは日頃からしっかり記録を取っていたので、数値の変化に敏感になっていた側面もあったのかもしれません。
体重が停滞したり挙上成績が落ちたりするのはよくあることです。実際には深刻にならなくても大丈夫なことがほとんどです。
状況ごとに対処法があるのですが、それが分からなければ不安な気持ちになるのはよく分かります。
KTさんのコーチングでは、こういった問題が起こる理由やその意味をその都度ご説明しました。
こういったやり取りをすることで、KTさんの感じていた不安が和らいだ面があったと思います。気持ちを落ち着けて取り組めたことで、スムーズな減量につながったのだと感じています。
最後に、KTさんの体験談をご紹介します。
KTさんご本人の体験談
私は昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大会は中止になりましたが、大会に出場しようとして初めて減量を行いました。
昨年は、様々なメディアやSNSからの情報に踊らされ、過度なトレーニング・有酸素運動、食欲に任せたチートデイを行う等、無知ゆえの無茶な方法で減量を行いました。
その結果、身体的・精神的に過度な負担を与え、日常生活にも悪影響を及ぼしたため、減量に対しトラウマをもってしまい、今年ボディビルに出場するかも悩んでおりました。
ただ一度は大会に出場してみたいとの思いで、綿密に計画をたて、減量を1か月ほど進めましたが、予定通りに体重は減っていかず、焦り困り果てていました。
そこで、以前からAthleteBody.jpさんの科学的根拠に基づいた記事を拝見しており、専門家の指導を受けて、早いうちから正しい知識をつけることは今後の私のボディビルキャリアにプラスに働くだろうと考え、申し込みをしました。
申し込みにあたり、実際に対面せずメールのみでやりとりすることから、適切にこちらの状態を伝え、理解していただけるかとても不安でした。
しかし、結果的にお願いして大正解でした。
本橋さんのコーチングでは、疲労をためないよう追い込みすぎないトレーニングや果物を食事に取り入れて食欲を抑える等、これまでの自分の発想にない提案をいただきました。
特に私はトレーニングで扱う重量が落ちることに極度の抵抗があり、落ちた分は回数を増やす等、疲労が溜まっていく方法を行っていましたが、本橋さんがこちらの気持ちを汲んでくれつつも、丁寧に説明、説得してくれ、納得して減量を進めることができたことがとても印象に残っています。
また、痛みがあるトレーニングがある場合はすぐに代替種目を提案いただき、ケガもすることがありませんでした。
昨年度の苦しかった減量はなんだったと思えるほど、疲労もそこまで残らず、計画通り体脂肪が落ちていき、大会当日も満足いく体に仕上がり、しっかりパンプできるほどのコンディションで出場ができました。
大会結果は表彰台には届かず、とても悔しい思いをしましたが、今後に向けての課題を沢山発見できましたので、しっかり反省し、来年は優勝を目指していきます。
AthleteBody.jpさんのコーチングを受けて感じたこととして、まずメリットとしては以下のようなことがあったと思います。
- トレーニングや食事方法等を、科学的根拠やコーチの豊富な経験を自分に合った形で提供してくれるため、目的を達成しやすい。
- 様々な情報に踊られることなく、迷わず減量を進めることができる。
- こちらの悩みをいつでも解決してくれ、応援をしてくれる強い味方がいることで、減量中の孤独感や不安感がなくなる。
このようなことで特に安心感を得ることができました。減量中はこの方法であっているのか、大会に間に合うのか等不安がつきまといます。それは時として日常生活にも悪い影響を与えることもあるため、安心感は特に大切だと感じました。
今回ボディビルのキャリアが浅いこの段階から正しい知識をつけることができたことは、とてもよかったと感じています。減量に対してのトラウマもなくなり、ボディビルが好きになりました。本当にありがとうございました。
パーソナルコーチング
AthleteBody.jpではパーソナルコーチングを提供しています。
各個人の現状や目標に合わせてプログラムをお作りするサービスで、ボディビルコンテストに向けた指導も承っております。
パーソナルコーチングの詳細は申込みページでご確認ください。