大林さんはボディビルコンテストに向けてAthleteBody.jpが指導させていただいたクライアントさんです。
2020年に行われた2つのコンテストに出場され、どちらも準優勝を果たされました。コンテストでは大林さんご自身が満足のいく最高の仕上がりに持っていき、ステージに上がることができました。
以前から大林さんはボディビル競技者として活躍され、2018年に出場したコンテストでは優勝を果たすなど好成績を収めていました。2020年のシーズンではトレーニングや食事について少しでも理解を深めるために、指導者をつけて減量したいと考えていたそうです。そんなとき、AthleteBody.jpがコンテストに向けたパーソナルコーチングをしていることを知り、お申し込みくださったとのことでした。
コーチングを開始してからコンテストまで、大林さんは減量を順調に進めることができました。そして、大林さんが「過去最高の仕上がり」と満足される身体でステージに立つことができました。
ここからは、コンテストに向けたコーチング期間の取り組みを紹介していきます。
減量期間の方針
コーチングを始めるにあたり、大林さんのコンテストに向けた減量期間のおおまかな方針を決めました。
減量ペース
大林さんはコーチング開始から4ヶ月半後のコンテストに向けて体重を8〜10kg落としていくことを目標にしました。コンテストに向けた減量幅としては一般的な水準です。
大林さんが出場を予定していたコンテストは体重ごとに階級が分かれていて、規定の体重を超えるとステージに上がることができないルールでした。確実に減量を間に合わせられるよう、1週間あたり600〜700gくらいずつのペースで体重を落としていくことにしました。
トレーニング
コーチングにお申し込みいただくまでトレーニングに関してはおおむね順調に進められていたようでした。大林さんご自身の回復力を考慮してトレーニングプログラムを組み立てられており、挙上成績が伸びてきている部位もあったとのことでした。ただ、下半身種目は伸び悩みを感じていて、トレーニングの見直しが必要なのではないかと感じていたそうです。
そのときのプログラムを拝見したところ、全身に満遍なく刺激を入れられるように組み立てられていました。ただ、上半身と下半身を同じ日に鍛える構成になっていたのが少し気になりました。
こういうプログラムが決して悪いわけではありません。ただ、大林さんは各種目で使う重量が大きく、1セットごとの疲労が大きいのではと考えました。そのため、トレーニングのはじめの方に行う種目では力をしっかり出すことができても、後半に行う種目では疲労によって十分に刺激を得られていない可能性があると考えました。例えば、上半身の種目を先に行った場合、下半身の種目で全力を出しきれなくなるという形です。
そこで、大林さんのトレーニングを次のように組み立て直しました。
- 上半身と下半身のトレーニングは別の日に分けて行う
- 上半身と下半身をそれぞれ週2日ずつ鍛える
- 上半身は刺激にバリエーションをつけるため、2種類のトレーニングを行う
このプログラムを始めてもらい、様子を見ることにしました。
はじめの1ヶ月半
開始してはじめの1ヶ月半では、減量を順調に進めることができました。この期間、大林さんの身体は次のように変わりました。
減量開始時 | 減量1ヶ月後 | |
体重 | 83.8kg | 79.3kg |
お腹まわり | 80.3cm | 76.6cm |
はじめの1ヶ月半で体重は4.5kg落ちました。当初の目標どおり1週間あたり700gくらいずつのペースです。
ただ、大林さんは「以前コンテストに向けて減量したときと比べて、体脂肪がかなり多い感覚がある」と心配されていました。たしかに写真で身体を拝見したところ、このまま減量を続けて目標体重に到達しても、体脂肪が落ち切ってくれないリスクがあると思えました。
コンテストまでに体脂肪を落とし切れないリスクを少しでも減らすために、食事量の設定を減らして様子を見ることにしました。
開始1ヶ月半〜4ヶ月後
コーチングを開始してから1ヶ月半くらいが過ぎた頃、新型コロナウィルスが流行した影響で、各地のボディビルコンテストがつぎつぎと中止されてしまいました。
大林さんが出場を予定していたコンテストも中止が決まり、コンテスト出場を諦めるかどうか決断を迫られる状況に陥ってしまいました。しかし、大林さんのボディビルに掛ける想いは強く、私自身も大林さんの頑張りを無駄にしないよう、出場できるコンテストをどうにかして見つけたいという気持ちがありました。
2020年のコンテストに関する情報をかき集め、大林さんと相談した結果、出場できそうなコンテストを決めることができました。
このコンテストはもともと予定していたよりも開催日が1ヶ月先でしたが、その分減量に時間をかけて仕上がりを追及できると考えました。そこで、ペースを緩めずに、このコンテストに向けて減量を続けていくことにしました。
減量開始4ヶ月後までに、大林さんの身体は次のように変わりました。
減量1ヶ月半後 | 減量4ヶ月後 | |
体重 | 79.3kg | 75.7kg |
お腹まわり | 76.6cm | 72.6cm |
この期間で体重が6kgくらい落ちることを期待していましたが、3.6kgの落ち幅にとどまりました。しかし、写真を見ると体脂肪は確実に落ちてきているのが見て取れます。コンテストまで残り2ヶ月間と期限が迫っていましたが、このままの減量ペースで続けていけば、しっかり仕上げられるはずだと判断しました。
ただ、この頃からトレーニングに問題が出てきていました。
肩に痛みや違和感が出始め、胸と肩のトレーニングが実施しづらくなっていました。しかし、少しでも筋肉量を維持するには、どうにかしてトレーニングを続ける必要があります。
大林さんの状況を詳しく聞いて、肩に負担なく行えそうな種目をリストアップして試してもらったところ、問題なく行える種目がいくつか見つかりました。肩に違和感の出ない種目に置き換えてもらい、しばらく様子を見ることにしました。
また、食事面にも気になることがありました。
この時点までの大林さんとのメールのやり取りから、大林さんは食事量を抑えることに常に気を使っていて、それがストレスになっているように私には感じられました。
大林さんは以前の減量で、ストレスが大きくなると食欲をコントロールできなくなってドカ食いしてしまうことがあったそうです。
今回の減量ではこうした事態を避けられるように、ストレスを少しでも小さくしたいと考えました。そこで、食事の摂り方について次のような提案をしました。
- 週末2日間は食事の設定量を増やし、平日5日間は食事量を減らす。
- 1週間のスパンで、1日あたりの平均カロリー摂取量はこれまでと同じになるようにする。
これは、食事量を多くする日を設けることで、少しでも精神的に楽に感じられるようにと狙ったものです。
大林さんにはこの食事方法をコンテストまで続けてもらうことにしました。
開始4ヶ月後〜コンテストまで
新しい食事方法を取り入れてから、大林さんは食事面でのストレスが少し和らいで減量を進められるようになったとのことでした。また、肩の違和感は完全には無くなっていませんでしたが、トレーニングを続けるのには問題ないようでした。ひとまずは安心です。
コーチング開始4ヶ月後から5ヶ月半後のコンテスト直前までの期間、大林さんの身体は次のように変わりました。
減量4ヶ月後 | 減量5ヶ月半後 | |
体重 | 75.7kg | 72.7kg |
お腹まわり | 72.6cm | 71.0cm |
この1ヶ月半では、体重を3kg落とし、おおむね目標通りに減量を進めることができました。ここまでの減量で、すべての筋肉がハッキリと見えるところまで体脂肪が落ちています。
コンテスト1ヶ月前からは、身体の写真を毎日のように撮影していただきました。これは食事内容に対して身体がどのように反応するかを観察するのが目的です。
炭水化物や塩分の摂り方を変えると身体の見た目が変わることがあります。ただ、身体の変化には個人差があって、良くなることも悪くなってしまうこともあります。そのため、コンテスト前にその人に合った調整方法を探る期間を作ると良い場合があります。
大林さんの場合は、この期間で得た学びを基にコンテスト数日前から食事の摂り方を変えることにしました。最高のコンディションでステージに立つための準備が整いました。
大林さんは2020年9月13日に行われた「関西ボディビル選手権大会」で、フィジークとボディビルの2つのカテゴリーに出場されました。フィジークでは見事に優勝され、ボディビルでは準優勝を果たしました。この大会で好成績を収めたことから、2ヶ月後に行われる「全日本ボディビル選手権大会」への出場を決めました。
この大会で準優勝を飾られたものの、審査員の方からは、「まだ体脂肪を落とす余地が残っている」とコメントがありました。
そこで全日本ボディビル選手権に向けて減量をもう少しだけ進めることにしました。
開始5ヶ月半後〜全日本選手権まで
全日本ボディビル選手権では優勝を目指して減量を進めることにしました。減量を進めるにあたり、コンテストまでの残りの2ヶ月は体重を1〜2kg落とすことを狙いました。
最後の2ヶ月で大林さんの身体は次のように変わりました。
減量5ヶ月半後 | 減量7ヶ月半後 | |
体重 | 72.7kg | 72.2kg |
お腹まわり | 71.0cm | 70.5cm |
体重とお腹まわりのサイズは大きく変わっていませんが、下半身の体脂肪がだいぶ落ちたように見え、確実に身体が仕上がっていきました。
また、コンテスト1ヶ月前からは毎週身体の写真を送っていただき、コンテスト数日前の最終調整をどのように行うか入念に確認していきました。また、大林さんがステージに上がる時間に合わせてコンテスト当日の食事スケジュールを作成し、万全に準備を整えました。
大林さんは2020年11月8日に行われた「ANNBBF 全日本ボディビル選手権」に出場されました。
コンテスト当日のコンディションは非常によく、筋肉がしっかりと張っていて、それでいて体脂肪を絞り切った様子が遠くからでも見て取ることができました。コンテスト直前の最終調整と当日の食事スケジュールが狙い通りにハマったのだと思います。
大林さんはこのコンテストで準優勝を飾られました。そして何よりも、大林さんご自身が「過去最高の仕上がり」と称するほど素晴らしいコンディションに持っていくことができました。
この身体の状態に持っていくまで減量とトレーニングを続けて表彰台に上がったのは誇れることだと思います。
担当コーチ本橋の感想
大林さんのコーチングを振り返ると、コンテストのスケジュールが決まるまで私自身が不安を感じていたのを思い出します。
2020年は新型コロナウィルスが流行した影響で、春から夏にかけて行われる予定だったほとんどのボディビルコンテストが中止になってしまいました。大林さんが出場を予定していたコンテストも中止が決まり、ほかに出場できそうな競技会がなければ減量を中止しましょうと話し合うところまで追い込まれました。
コンテストが見つからないかもしれないという不安はありましたが、それ以上に、大林さんの減量に対するモチベーションが削がれていないかがとても心配でした。ゴールが見えないまま減量を続けるほどキツイことはないと私自身が感じているからです。
実際に、コンテストを探している間に「こんな状況ですが、モチベーションは削がれていないでしょうか。」と大林さんにお聞きしたくらいです。しかし、大林さんからは「モチベーションはしっかり保っています。大丈夫です。」という力強いお返事をいただきました。こういうやり取りから、大林さんのボディビルにかける熱意は本当に強いのだと感じ取ることができ、「この状況で心が折れないのはすげぇな」と心強く感じました。
当時を振り返ると、コンテストのスケジュールが延びたのはかえって良かったと感じています。減量指導を始めてから4ヶ月半後くらいまでには、大林さんが以前にコンテストに出たときと同じくらいまで身体を絞ることができていました。
しかし、そこからはじめのコンテストまで1ヶ月、全日本ボディビル選手権までに3ヶ月くらいの時間ができたことで、大林さんがこれまでに到達したことのないレベルまで体脂肪を落とすことができました。
また、減量期間に余裕ができたため、コンテスト直前に行った食事の最終調整を何度も実験できたのも良かったです。これが、大林さんがほぼ完璧な仕上がりでステージに上がることができた理由のひとつだと思います。
あらためて、コンテストに向けて減量するには時間的に余裕を持って進めることが大切だと感じました。そして何よりも、大林さんが強い熱意を持って減量に取り組まれたことが今回の成功につながったのだと思います。
最後に、大林さんの体験談をご紹介します。
大林さんの体験談
コーチングを受けるきっかけ
2015年にボディビル大会出場を目的としたトレーニングを始めたときからアスリートボディさんの記事を読んで勉強しており、科学的根拠に基づいた情報には絶大な信頼を寄せていました。
また、2017年に参加した抄読会で八百さんとご一緒しアスリートボディの情報発信や科学的根拠に基づいたトレーニングに対する考え方を知ったことで、一度オンラインコーチングを受けてみたいと考えるようになりました。
それから3年近く自己流で大会出場を続け幸いなことに一定の成績を残すことができましたが、「もっと効率の良い方法があるのではないか」「ここから選手として更に上を目指すのに自己流では限界があるのではないか」と考えていたところコンテストに向けたコーチングに関するメルマガを見て申込むことにしました。
コーチングを受けて良かったこと
1.迷いがなくなる
なんといってもこれがコーチングを受ける一番のメリットだと感じました。
トレーニングルーティンや食事内容など自己流でもおおむね正しい内容で進めることはできますが、大会に向けた減量中は迷う場面が多くあります。関節に痛みが出たとき、身体の変化が停滞したように感じるときなど…そんなときにプロのコーチが客観的な目で見て私に最適なプランを提示してくれるのです。
特に大会直前の最終調整は迷いながらいろいろ試しているという人も多いのではないでしょうか。今回のコーチングでは大会の数週間前からカーボアップによる身体の反応を見ていく方法と、それに基づいて自分に合った調整法をアドバイスしていただいたおかげで今まで一番迷っていた最終調整を迷いなく行うことができ、自己ベストの身体でステージに立つことができました。
自己流で試行錯誤するよりも効率が良いのはもちろんですが、余計な迷いなく「コーチを信じて自分はやるだけ」という状態で過ごすことによるストレスの軽減も大きなアドバンテージとなったように感じます。
減量中の迷いは大きなストレスとなりますし、「あれもこれも」とやることを増やしてしまいがちです。実際に私は2019年の減量でストレスによる浮腫みから大会直前にコンディションを崩した経験があり、最終調整でのストレスコントロールが課題でした。今回は迷い考えるという作業を外注することでストレスを緩和させることができ、最後まで安心してやり抜くことができました。
2.自分のやってきたことの答え合わせができる
コーチング期間中はメールで何でも質問できるため、自分が今までやってきたことが良かったのか悪かったのか、改善点がどこにあったのか知ることができます。
私の場合はトレーニングボリュームや関節に痛みが出た場合のアプローチに課題があったことが分かり、コーチングを終えた今でもより自分に合ったアプローチでトレーニングを続けられるようになりました。
また、日頃から気になっていたことや根拠は薄いけど良いと思っている仮説などについてコーチの見解を聞くことができたのも大きかったです。科学的根拠に加えコーチが様々なクライアントを見ていく中で経験則として感じていることやコーチ自身の身体づくりの中で得た気づきなどをシェアしていただき、貴重な財産となっています。
3.新しい考えを取り入れることができる
常に新しい情報を取り入れようとはするものの、失敗への不安からつい今までと同じようなトレーニング・食事内容に落ち着いてしまいがちです。コーチングを受けて半ば強制的にコーチのメニューをこなすことで(もちろん相談や質問には親切に対応してもらえます)、自分ひとりでは思いつかないようなトレーニング方法や食事プランに出会うことができます。
私の場合、関節に痛みが出た場合の種目チョイスや週末にリフィードを入れる食事法、果物を食べることなどは自己流でやっていては試すこともなかっただろうと思いますし、実際にやってみるとどれも自分に合っておりストレスを減らしながら上手く減量を行うことができました。
もちろんコーチングを受けたから無条件でボディメイクに成功するというわけではなく、与えられたメニューをきちんとこなすだけの自己管理や規律が必要となります。
マメに記録をとり、月2回のチェックインを欠かさない。楽をしたいがために言い訳をしてコーチからの指示を勝手に曲げない。毎回のトレーニングでベストを尽くす。簡単なようで難しいことです。
それに加えて大会直前はコンディションチェックのため頻繁に写真を撮る必要もあります。食事もなるべく無理のない摂取カロリーや栄養バランスをアドバイスしてもらえますが、体脂肪を極限まで削る過程では空腹に耐えることも必要となります。
これらの障害をクリアしてこそコーチングで最大限の成果を得て自己ベストの身体でステージに立つことができます。簡単なことではありませんが、本橋コーチという心強いパートナーのおかげでやるべきことをやり切り、無事にシーズンを終えることができました。
自分ひとりでは達成できなかったレベルまで引き上げてくださったコーチには本当に感謝していますし、値段以上に価値のあるコーチングでした。ANNBBF全日本選手権でのリベンジのために来年の減量もお世話になりたいと考えています。
パーソナルコーチング
AthleteBody.jpではパーソナルコーチングを提供しています。
各個人の現状や目標に合わせてプログラムをお作りするサービスで、ボディビルコンテストに向けた減量指導も承っております。減量には数ヶ月を要するもので、今年のコンテストに向けた減量を開始するなら、そろそろギリギリのタイミングになります。
パーソナルコーチングの詳細はこちらでご確認ください。