「パワー」を正しく理解しよう

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ヒース
ヒース
2018年9月8日 11:25 pm

すいません。少し時間が経っているようなのですが、樋上さんのコメントを読んでどうしても放っておけないのでコメントさせてください。

まず最初に、河森さんのこの記事は素晴らしい内容です。パワーについては本当に誤解が多くて、パワーについてきちんと科学的に解説した記事は本当に貴重です。
ただ樋上さんの「地面反力から身体に加わる重力を差し引いた上で力積を求める必要がある」というのは正しい指摘ですし、いちゃもんでも何でもありません。突っ立っているだけでも力積は得られるので。

「地面反力-体重」を時間積分すればジャンプ高は正確に求まるので、そのように記事を修正すればよいだけではないかと思います。力積でジャンプ高が決まる、というのは大雑把な説明、というより単なる間違いではないでしょうか。多分うっかり間違えたのだと思うので、できれば著者の方に連絡を取ればよいのではないかと思います。少しのやりとりで解決すると思いますよ。

樋上さんの「垂直跳びの高さを決めるのは離床までの力積である。
垂直跳びの高さを決めるのは力の大きさである。
垂直跳びの高さを決めるのはパワーである。
垂直跳びの高さを決めるのは離床時の運動エネルギーである。
垂直跳びの高さを決めるのは離床時の速さである。」が全て成り立つ、というのも本質的な指摘かと思います。
私も最初この記事に「ジャンプ高を決めるのはパワーでなく力積」と書かれているのを読んだとき、「あれ?」と思ってコメントを書こうと思いました。そうしたら樋上さんという方が既に指摘されていたので、このコメントを書かせていただきました。

もう一度強調しますが、河森さんのこの記事は素晴らしいです。ほとんどの部分で合意できます。ただ「力積がジャンプ高を決める」という部分と、「パワーより力積が大事」という部分は引っ掛かります。
樋上さんの言われる「パワー、力、速度、力積、運動エネルギー」それぞれ単独で垂直跳びの高さを決められる、というのは正しいですし、その方が実地に応用がききやすいと思います。力積だけだとどうしても「時間」を考えるのが難しいことがあります。研究だと「時間」は計りやすいと思いますが、実際のトレーニングに応用しずらい面があります。運動エネルギーで考えると、力と移動距離で考えられるので、トレーニングにも応用しやすいです。この辺りはいずれ本でも書こうと思っているので、詳しいことは省略しますね。

あと、本当に喧嘩するつもりはないので「イチャモン」とか「的外れ」とか批判的な言葉はやめてくださいね。メンタルが弱いので泣きそうになります。

八百 健吾
八百 健吾
管理者
返信先:  ヒース
2018年9月10日 7:18 pm

ヒースさん、コメントありがとうございます。

河森コーチはコメントにお答えにならないので、私が代わりにお答えできるものではありませんが、ご著書が出版された際にはぜひともお知らせください。

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#520 ゲスト記事投稿「『パワー』を正しく理解しよう」 | S&Cつれづれ
2018年7月13日 8:02 am

[…] 「パワー」を正しく理解しよう […]

樋上正美
樋上正美
2018年4月23日 1:55 pm

ちょっと気になる点だけ指摘しておきます。

「垂直跳びにおけるパフォーマンス、すなわち「ジャンプ高」は、足が地面から離れる時の身体重心の(鉛直方向の)速度によって決まります。」というのは間違いではありませんが、これは比例関係ではありません。

ジャンプ高と比例するのは「足が地面から離れる時の身体重心の(鉛直上向きの)運動エネルギー」です。ジャンプ高は「足が地面から離れる時の身体重心の(鉛直方向の)速度」の2乗に比例します。

したがって、図6は間違いで、このような直線関係にはなりません。

「足が地面から離れる時の身体重心の速度は、地面反力の(鉛直方向の)「力積」によって決まります」という部分も少し問題があります。地面反力から身体に加わる重力を差し引いた上で力積を求める必要があります。

八百 健吾
八百 健吾
管理者
返信先:  樋上正美
2018年4月24日 9:57 am

樋上さん、コメントありがとうございます。

図6は「相関関係」という言葉を知らない人にイメージを掴んでいただくために制作したものでしたが、ご指摘のとおり正確でないので、相関関係の記述と共に削除いたしました。

樋上正美
樋上正美
返信先:  八百 健吾
2018年4月25日 12:26 am

「パワー」と「力積」のどちらが重要かというのは不毛な議論だと思います。

垂直跳びの例で考えてみましょう。話を簡単にするために剛体を鉛直上向きに投げ上げる問題に置き換えて考えることにします。垂直跳びのフォームが一定だとすると、力を加えて加速する「距離」は一定になります。また物体の質量も一定ですね。さらに単純化のために加える「力の大きさ」は加速している間変化せず一定としましょう。

ここまで条件を単純化すると、力の大きさを与えられただけで、加速中に物体が受ける力積、加速中の平均仕事率、物体が射出される瞬間の速さ、物体が射出される瞬間の運動エネルギー、物体の最高到達点の高さ、これらは全て計算で求まります。これらの値のどれか一つが与えられれば残りの他の値はすべて計算できます。

つまりどういうことかというと、

垂直跳びの高さを決めるのは離床までの力積である。
垂直跳びの高さを決めるのは力の大きさである。
垂直跳びの高さを決めるのはパワーである。
垂直跳びの高さを決めるのは離床時の運動エネルギーある。
垂直跳びの高さを決めるのは離床時の速さである。

いずれも成り立つのです。力積がよく使われるのは単に測定しやすいという研究上の都合でしかなと私は思います。

樋上正美
樋上正美
返信先:  河森直紀
2018年4月30日 9:14 am

建設的な方向に話が進まなかったのは大変残念です。

>そもそも垂直跳び中の力の大きさが一定という前提が現実としてありえないことがおわかりいただけるはずです。

そんなことはもちろん重々承知です。ですから最初に「単純化のために」と断り書きを入れているのです。始めは計算式を書くつもりだったので、力の大きさが変化する条件だと複雑になりすぎると思ったからです。

運動中の力の大きさが変化するという条件でも、

垂直跳びの高さを決めるのは離床までの力積である。
垂直跳びの高さを決めるのは力の大きさである。
垂直跳びの高さを決めるのはパワーである。
垂直跳びの高さを決めるのは離床時の運動エネルギーある。
垂直跳びの高さを決めるのは離床時の速さである。

これらはいずれも成り立つのです。

つまり、「したがって、そもそも成立しない前提にもとづいてご説明いただいた内容は、まったく的外れです」というご指摘は全くの間違いです。

樋上正美
樋上正美
返信先:  河森直紀
2018年4月30日 12:56 pm

揚げ足取りの応酬のような不毛な議論が続きましたが、ちょっと方向転換します。

私がコメントしたきっかけはタカレオさんの、力積に注目してもそれがトレーニング方法に結びつくとは思えない、という趣旨のコメントでした。

私が最初のコメントで

「足が地面から離れる時の身体重心の速度は、地面反力の(鉛直方向の)「力積」によって決まります」という部分も少し問題があります。地面反力から身体に加わる重力を差し引いた上で力積を求める必要があります。

と、重箱の隅をつつくようなことを書いたのは、タカレオさんの

極端に言えば、変位の生じないアイソメトリック運動を限界まで続けるトレーニング(いわゆる空気椅子)が力積を稼げるトレーニングとなると考えられます。

というコメントが念頭にあったからです。空気椅子では地面反力と身体への重力がつりあって合力ゼロなので、力積を問題にしても意味がないのです。こういう誤解を避けるためにも力積を求めるときには「重力を差し引く(合力で考える)」というただし書きが必要であったと考えています。

タカレオさんのコメントを読んで、力積に注目するのは運動の説明としては正しいのだがなにか本質を外した的外れの話だなぁ、と私も感じたのです。
それでまず「垂直跳びの高さ」を説明するのは力積だけではなくて運動エネルギー、力、仕事率、速さ、どれでもいいのだということをまず示しました。
不毛と思えるやり取りの中で、ようやく「力積に注目するのはなにかおかしい」と感じた理由が私にもはっきりしてきました。

垂直跳びの高さを説明できる量として、力積、力、パワー、運動エネルギー、速さ、とさまざまな物理量を示しましたが、どれに注目するのが適切かは目的次第です。

運動パフォーマンスに直結する量は力積、運動エネルギー、速さですが、これらはある意味運動パフォーマンスそのものです。そしてこれらはトレーニング方法に直結しません。「垂直跳びを高く跳ぶには力積を大きくするようなトレーニングをしなさい」というのは、「100m走のタイムをよくするには速く走れるようトレーニングしなさい」というのと同じようなもので、正しいけれども役に立たないのです。

これに対し、力とパワーは身体の基本的な運動性能を表す量であって、運動パフォーマンスを直接は説明しないけれども、筋力トレーニングの指針としては適切なのです。

つまり「力積」と「パワー」はそもそも視点の異なる量であって、力積はパフォーマンス(運動の結果)を示す量であり、パワーは運動を生み出す体の基本性能を示す量だということです。

機械の性能を示す諸元表にトルク(力)や仕事率(パワー)は載っていますが、力積が記載されることはありませんね。性能とパフォーマンスは違うのです。

八百 健吾
八百 健吾
管理者
返信先:  樋上正美
2018年5月2日 11:30 am

樋上さん

前回のコメントで最後ということだったので、河森コーチから返信はないかと思います。
はじめのコメントからは読み取れない部分がありましたが、お考えを整理してくださってありがとうございました。

やまぼうし
やまぼうし
2018年4月20日 5:12 pm

いつも拝見しております。運動能力には仕事率ではなく力積が重要とのこと。人間には変速機もなく、自分でアームの長さを変えることもできないので作用点での力×速度がパフォーマンスに直結するものと理解しました。変速機があればあくまでパワーが重要になるのでしょうけれど。その意味で、自転車競技では如何でしょうか。その点に興味を覚えました。
貴サイトのおかげで一般的レベルでは「スゴい体」と言われるようになり本当に感謝しております。これからの記事にも期待しております。

yamaboushi
yamaboushi
返信先:  やまぼうし
2018年4月22日 12:24 am

ご返信不要ですが、「力積に合わせてジャンプ高が伸びる」というのは、物理的に極めて当たり前のことですよね。足が地面を離れる瞬間までに一定の質量を持つ物体(体)に与えられた力積≒運動エネルギー(E=1/2×m×V^2)が、重力に逆らって上昇するその跳躍の最高点を決めるのは当然です。
しかし、「まず、「パワー」の大小そのものによって直接的に勝ち負けや順位が決まる競技はありません。1000Wのパワーを発揮したアスリートが999Wのパワーを発揮したアスリートに勝つ、なんて競技は存在しないはずですから(少なくとも私の知る限りでは)。」
とのことですが、自転車競技ではギア比を変えられますからそれは間違いです。0.3kWを出せる競技者は0.25kWしか出せない競技者に勝てるはずです。
少々外れるかもしれませんが、琵琶湖の鳥人間、明らかに最後は人力クラスは運動能力の勝負です。1000Wが999Wに勝つのは当然のように思います。

八百 健吾
八百 健吾
管理者
返信先:  yamaboushi
2018年4月24日 9:55 am

yamaboushiさん、コメントありがとうございます。

私が河森コーチに代わってお返事できることではありませんが、強いご意見をお持ちであれば、どこかにご自身のお考えを詳しくまとめて発表されるといかがででしょう?

タカレオ
タカレオ
2018年4月20日 7:21 am

河森先生、素晴らしい記事をありがとうございます。
S&Cつれづれの方でも、毎回勉強させていただいています。

記事におけるパワーと力積について質問させていただきます。
質問内容は、力積という要素をどのようにトレーニングに利用するのか?という点です。

運動量の変化=力積であることから、速度変化=力積÷質量となり、河森先生の記事の中で「動きのパフォーマンスにおいては、「パワー」ではなく「力積」が重要になります。 」と述べられていますとおり、「速度を変化させる能力」を測る指標として力積が適しているということが理解できました。

一方、力積が測定できるようになったとして、それをどのようにトレーニングに活かすべきなのか、イメージが湧きません。
例えば、垂直飛びのパフォーマンス向上を目的としたトレーニングとして「スクワット」を取り入れる場合を考えてみます。力積=力×時間ですから、同じ力(負荷)であるならば、なるべく動作速度を抑えて、動作時間が長くなる方が力積が大きいスクワットができます。極端に言えば、変位の生じないアイソメトリック運動を限界まで続けるトレーニング(いわゆる空気椅子)が力積を稼げるトレーニングとなると考えられます。
ただし、このようなトレーニングは直感的に垂直飛びには向かないと感じるところであります。一般的に、垂直飛びのパフォーマンスを向上を目的とした場合、クイックリフトの様に爆発的に挙上させる方が良いと言われていると思います。つまり、トレーニングにおいては、力積よりパワーを重視した方がよいとなってしまします。

パワー、力積について理解が不足しているため、このような混乱を生じてしまっているのかもしれません。トレーニングにおいて力積という要素をどのようにとらえればよいのか御教授願います。

八百 健吾
八百 健吾
管理者
返信先:  タカレオ
2018年4月20日 9:43 am

タカレオさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

河森コーチはインターネット上での質問にお答えにならないので、私からお返事させていただきます。

まず、今回のゲスト記事の構想の段階で、具体的なトレーニング方法について取り上げることができるか河森コーチに相談したところ「網羅的にカバーすると本1冊書けるくらいのボリュームになるので現実的でない」ということでした。そこで「パワー」という言葉に関する一般的な誤解に焦点を絞って書いていただきました。

河森コーチは「個別コンサルティング」という形で質問に答えるサービス提供をされています。また、今回ご質問いただいた内容に関しては5月20日のセミナーに出席されれば理解が深まるかと思います。

おそらくですが、疑問がひとつ解消すると次の疑問が出てくるというテーマかと思います。そういう意味でも今回のセミナーは貴重な機会になるのではと思います。

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