体形改善のための有酸素運動の使い方

投稿者 : Andy Morgan

体形改善のための有酸素運動の使い方 AthleteBody.jp有酸素運動は時間効率の悪い運動です。ほとんどの男性は腹筋が見えるまで絞るのに有酸素運動は必要ありません。なにか趣味でスポーツをしているような人も、体脂肪を落として筋力を上げることで大多数の人が十分満足できるフィットネスレベルに到達できます。やみくもに有酸素運動を取り入れると身体の回復力を削ることになったり、本来の目的を見失うことにつながったりしがちです。

体形改善がメインの目的なら、筋力トレーニングと食事管理に専念するのが先決です。有酸素運動が使える場面もありますが、それでも運動量を限定して行うもので、思い付きで取り入れるべきではありません。

今回は過去に書いた記事にバラけていたポイントをまとめて、さらに英語圏のコーチ仲間のアドバイスも加えて有酸素運動の関する決定版ガイドにしたいと思います。

体脂肪を落とすための有酸素運動

時間対効果が低い

体重を落とすのに最も重要な要素はエネルギー収支です。カロリー収支をマイナスにして体脂肪を減らすには、食事から摂るカロリーを制限するか、運動でカロリー消費を上げるか、その両方を組み合わせるかになります。

ダイエット 重要度ピラミッド

一般的にジョギングやサイクリングを1時間すれば、400~500kcal程度のカロリー消費になります。これは例えばスターバックスでケーキやマフィンを1個食べるのと同じくらいです。
体脂肪を1週間に500gのペースで落とそうと思うと、カロリー収支を1週間で約3500kcalマイナスにする必要があります。実際の生活では毎日ちょっとずつ食べる量を減らすか、有酸素運動を週に7時間するかということです。こうやって考えると、体脂肪を落とすのに有酸素運動に頼るのは時間効率が悪いというのが分かると思います。

さらにダイエットの開始時点でいきなりたくさん有酸素運動を始めると、体重が落ちたとしても、自分の食事がどれだけ影響しているのか分からなくなります。運動量を増やしてヤセようと考える人は特に気を付けないといけないポイントです。

長い目で考えると、将来的にもずっと有酸素運動に多くの時間を割ける人は少ないはずです。ヤル気があって時間を確保できるいまの内に、運動に掛ける時間を最小限に抑えても体形を維持できるトレーニングや食事管理の仕方を学ぶことが大切だと思います。

ギリギリまで絞るのに有酸素運動は必要か?

有酸素運動が必要かどうかは、どこで満足するかによって変わってきます。ボディビルの大会で上位を狙うような場合には別ですが、大多数の一般の方が満足する「引き締まった」体脂肪レベルであれば、特に男性は有酸素運動をまったく使わずに到達できます。

下の画像の男性は私のクライアントさんです。かなり絞れていて、3人とも写真の時点で十分満足していましたが、まだコンテストに出場して勝てるレベルではありません。もし、ここから先を目指すのであれば、下腹部とお尻まわりの脂肪を落とすのに有酸素運動を取り入れたり、1日の食事やトレーニングの時間割を細かく考えたりする必要が出てきます。
まだここまで絞れていない人、もっと絞り込んでコンテストに出るつもりのない人にとっては有酸素運動はほぼ無関係で、まして「必要」ではありません。

有酸素運動とガンコな脂肪 AthleteBody.jp

メノ・ヘンゼルマンズというボディビルコーチが話していることが、有酸素運動なしでギリギリまで絞る指導をしてきた私の経験とうまく噛み合ったのでご紹介します。

有酸素運動は食事制限と比べて効果が高いということはありません。逆に筋肉を落とす結果になったり、オーバートレーニングを招いたりするリスクがあります。
筋肉が落ちるのは、有酸素運動が筋力トレーニングの効果を抑えてしまうためです。持久力トレーニングと筋力トレーニングの適応は生理的に見て相反するので、ヒトの身体は両方を同時に高いレベルで行うことができないのです。身体は両方のバランスが取れるところに落ち着くので、たいてい持久力も筋力もちょっと伸びるという結果になります。筋力レベルの高いトレーニーが、減量でカロリー収支をマイナスにしているときには、有酸素運動が筋力トレーニングの効果を抑える影響だけで筋力の伸びが止まってしまったり、筋力が落ちるのを助長することになったりします。

ちなみに私のクライアントは、ほとんどがコンテストに出場する選手か、それと同じレベルの身体を目標にしているトレーニーなので、上の話はコンテストレベルの身体づくりを前提にしています。
一般的なフィットネスファンでそこまで筋肉量を増やすことにこだわらない場合には、有酸素運動を取り入れる余地は広がります。カッコいい身体づくりが目的の場合、真剣にトレーニングしている人ほど有酸素運動は「必要悪」であり、減量法として積極的に取り入れるべきではありません。

ただ、ドラッグフリーの女性選手の場合は、コンテストレベルのコンディションまで持っていくのに食事制限がかなり厳しくなります。
特に他のクラスに比べて筋肉量の少ないビキニの選手に顕著ですが、私はコンテストを控えた女性クライアントのカロリー摂取量を1日1500kcal以上に設定をすることはほとんどありません。ここまで来るとバランスの取れた健康的な食事を摂るのはほとんど不可能になってしまいます。そこで、健康的な食生活を維持しつつ減量を進めるために有酸素運動が必要になることがあります。
こういう場合には、高強度のインターバルトレーニングよりも、一定のペースを保って低強度で行う方が有効です。さらに言うと、どっちつかずの中途半端な内容になるより高強度か低強度どちらかハッキリした方がベターです。

有酸素運動による悪影響を最小限に抑えようと思うと、筋力トレーニングに似た刺激を得られる高強度インターバルトレーニングか、たいして適応の必要が出ない低強度の運動ということになります。筋力トレーニングの効果が阻害されるのをできるだけ抑えるよりも、阻害されるのを完全に避けられる方がダメージが小さいので、ここでは低強度の有酸素運動に軍配が上がります。

女性は生理的に持久系トレーニングで脂肪燃焼しやすくできており、男性以上に低強度の有酸素運動でいい結果が出せることが多いです。
さらに、高強度インターバルトレーニングでは、オーバートレーニングや怪我のリスクが高くなります。メリットがあるとしたら、低強度の運動に比べて時間を節約できることくらいでしょう。

まとめると、筋力レベルの高い男性トレーニーには有酸素運動は必要ないことが多く、女性はコンテスト前の減量の最後の何週間か、食事量を削りすぎるのを避けるために有酸素運動が必要になるケースがあります。その場合は、高強度よりも低強度の方が有効です。

低強度は高強度にまさる

メノの話の後半部分は、マーティン・バークハンの考え方に共通します。以前に別の記事でも紹介しましたが、抜粋して掲載します。

有酸素運動が筋力トレーニングの効果に悪影響を及ぼし、両方同時にできない以上、どちらかを優先する必要があります。
筋力アップや筋量を上げることが目的なら、ダイエット中の有酸素運動は最小限に留めましょう。
例えば、ウェイトトレーニングを週3回しているところに、週2〜3回の高強度インターバルトレーニングを足したとすると、ほとんど週2〜3回のウィエトトレーニングを足すのと同じような負担になります。
ダイエット中、週に5〜6日ウェイトトレーニングをするのが良いことだと考える人はそれで構いませんが、私は減量中はトレーニング暦を問わず週3回以上のウェイトトレーニングが必要だとは思いません。
まとめると、筋量を保ったまま体脂肪を減らすことが目的で、コンディション作りが不可欠というワケでなければ、ダイエット中は中〜高強度の有酸素運動を制限するか、完全に止めてしまうのをオススメします。
カロリー収支がマイナスになる期間は身体の回復力が落ちています。赤字状態での出費は避けて、食事制限で回復力が制限されていないときまで待ちましょう。

有酸素運動と身体づくり

持久力トレーニングは筋力トレーニングの効果を阻害する

ミトコンドリア生合成を促し、持久力を高める仕組みであるAMPキナーゼは、筋たんぱく質合成を促すmTOR経路を阻害します。
注意すべきなのは、すべての要素を同じにして、筋力トレーニングと持久力トレーニング両方行った場合と、筋力トレーニングのみ行った場合を比べると、持久力トレーニングが筋力アップや筋肉の成長を阻害するのに対して、筋力トレーニングは持久力向上に悪影響を及ぼさないということです。
トレーニング初心者なら、控えめながらも筋力トレーニングで持久力向上の効果が得られます。

有酸素運動が筋力トレーニングの助けになることも

両方を追いかけると、両方とも中途半端になってしまいがちですが、有酸素運動にまったく出番がないわけでもありません。世界トップレベルのパワーリフターであるグレッグ・ナコルズの話を紹介します。

有酸素運動をすることで、トレーニング中やトレーニングをしていない時間の身体の回復を促すことができます。セット間休憩を短くしてトレーニングの密度を上げたり、ボリュームを上げたり、頻度を上げたりすることで、より効率的にトレーニングができることにつながります。
これまで以上にキツいトレーニングや、より多くのボリュームをこなして身体が回復できるようになれば、シンプルにこれまで以上の結果につながります。
ただ、これはトレーニングから回復するのに十分なだけ食べていることが前提です。

これに関してはまた別の記事を掲載するかもしれませんが、減量中にトレーニング記録が伸びないからと言って有酸素運動を取り入れるのは避けましょう。

ランニングは下半身の筋力強化の妨げになる

ランニングでは、足が地面に着くたびに筋肉がエキセントリック収縮しています。これが筋肉により大きなダメージを与えることになり、下半身の筋力トレーニングからの回復に影響します。自転車では筋肉へのダメージは大きくならない特徴があります。
低強度の有酸素運動を取り入れる場合、大きな衝撃のない運動(例:水泳・ロウイング・ウォーキングなど)を選ぶと筋肉へのダメージは心配しなくていいでしょう。

健康のための有酸素運動

私は医者ではないので、健康に関する懸念事項は病院で相談してもらうのを前提に、個人的に感じることを書いておきます。

健康のために有酸素運動をしたいという人はたくさんいます。よくある心配ごとは大きく分けて次の2パターンになると思います。

  • 心臓疾患で早死にするのを避けたい。
  • 仲間から登山旅行に誘われたけど、道中息があがって周りについていけず恥ずかしい思いをしたくない。

肥満ぎみで血中脂肪の数値を改善したいと思ったら、まずは体脂肪を落とすべきです。有酸素運動で心臓が強くなったとしても、血管が汚れて詰まっていたら良いことはないでしょう。

筋力トレーニングをしながら、体脂肪を落とすと持久力は上がります。
体脂肪が15kg落ちて、さらに筋力が上がると、ただ有酸素運動をするよりもずっと関節への負担や毎日の生活が楽になります。リュックサックに重たい荷物を詰めてジョギングをして、次に同じ距離をリュックサックなしで走ってみるとよく分かるはずです。

これまでに軍隊、消防、警察などの採用試験にある体力テストに合格することを目標に立てたクライアントさんを何人か指導してきました。出身国はいろいろですが、最初のステップはほぼ例外なく体脂肪を落として、体重に対する相対的な筋力を上げることです。心肺機能強化のための有酸素運動はずっと後で考えます。

なぜ筋力を上げて体脂肪を落とすことから手をつけるのかと言うと、筋力を上げるのには時間が掛かり、心肺持久力は短期間で伸ばすことができるからです。心肺持久力は、ほとんどが代謝に関する化学的な変化です。筋力を上げるには身体の構造的な変化が必要で、これはゆっくり長い時間を掛けて積み上げていくものです。

有酸素運動そのものに反対というわけではなく、まず目標達成になにが必要かを考えるのが大切だと思います。トレーニングの目的は、汗をかいたり苦しい思いをすることではなく、身体がトレーニングに適応して前進していくことです。
それでも、とにかくクライアントがジムに来るたびクタクタになるまで走らせるパーソナルトレーナーが絶えないのは、「ガンバっている感」に訴える方がずっとカンタンだからでしょう。目標を立てて、それを達成するためのトレーニングの考え方を説明して分かってもらうのはカンタンではありません。

筋力を上げて体脂肪を落とすことに専念するだけで、どれだけ身体が軽く感じられたり、リュックを背負った登山が楽になるか、体験すると驚く人も多いんじゃないかと思います。

カッコいい身体づくりのための有酸素運動の使い方まとめ

減量中

  • カロリー収支は食事制限で調整して体脂肪を落とす。コンテスト前の選手でもなければ、ほとんどの男性は体脂肪を落とすのに有酸素運動は必要ない。
  • もし有酸素運動が必要な場面が出てきたら、ウォーキングなど低強度の運動を一定のペースで行うのが良い。ランニングは避けよう。

増量中

  • 筋力を伸ばすことに専念して身体をつくっていく。
  • 筋力トレーニングの記録を伸ばすための補助ツールとして有酸素運動を使うことはできるが、筋力トレーニングのプログラム内容を考える方が先決。有酸素運動を取り入れるのは、なんらかのピリオダイゼーションが必要になる中級レベル以降から考えてもおそらく遅くない。
  • 有酸素運動を取り入れる場合には、低負荷、低強度のサイクリング、ロウイング、水泳あたりがオススメ。ランニングはエキセントリック収縮が多いので避けた方が良い。
  • スポーツ競技力のため心肺機能の強化が絶対不可欠という場合を除いて、高強度インターバルトレーニングは避けた方が良い。クロストレーナー、サイクリング、水泳など、ここでもできるだけ低負荷のものを選ぶとヒザに必要以上に負担が掛かるのを避けられる。
  • 有酸素運動の消費カロリー分だけ炭水化物を追加してバランスを取ろう。ただし、消費カロリーを大きく見積もってしまう人が多いので注意。

持久系競技のアスリートで、体形を変えることにも興味がある場合

自分にとって必要最低限のスタミナを保てるレベルまで持久系トレーニングの量を落として、筋力を上げることに専念しましょう。持久力は後で取り戻していけますし、筋力が上がることでこれまでの以上のパフォーマンスができるようになる可能性も高くなります。

ボディビルダー、フィジークアスリート、パワーリフター、その他ストレングススポーツの選手など、ウェイトトレーニングを行っている人が知っておくべき有酸素運動の使い方のポイントをひとまとめにしたつもりです。
カバーし切れていないこと、疑問に感じることがあればコメント欄で聞かせてください。

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Andy Morgan

イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナーです。
日本に住んで12年。たくさんの人にお世話になり日本が大好きになりました。その恩返しに日本では情報の少ない欧米のダイエット方法と、数百人の英語圏のクライアント指導経験で得たノウハウを公開しています。
趣味はスノーボードと読書。コメントの返信は間違いのないように英語を使っていますが、東野圭吾の小説を読むのが好きです。テレビでは「相棒」と「クレヨンしんちゃん」のファンです。

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