誤差だらけの体脂肪率 Part2 水中体重測定法

投稿者 : James Krieger

誤差だらけの体脂肪率 Part2 水中体重測定法 AthleteBody.jp

体脂肪測定法シリーズの第2弾です。初回記事に用語の解説があります。

水中体重測定法は、長い間2コンパートメントモデルのゴールドスタンダードとされてきました。
これは水で満たしたタンクの中で、体重と身体の体積を計測する方法です。(身体が押しのける水の量で身体の体積が求められる)
除脂肪量は脂肪よりも密度が高く、同じ体積なら重くなります。そして、脂肪は水に浮く傾向がありますが、除脂肪量は沈む傾向があります。
この原理を使って身体の密度を計算し、この数値を基に脂肪量と除脂肪量を推定します。

ゴールドより、むしろブロンズスタンダード

水中体重測定法を試されたことのある人に聞くと、心地いい体験ではないという感想が返ってくると思います。
水着に着替えて、水に入ると水着からできる限り空気を追い出し、肌に付いた空気をできるだけ無くし、空気をできる限り吐き出します。そして、完全に水中に潜るとブランコ状の物に乗ります。測定をする間は水中で静止していなければいけません。
うまく息を吐き切れていなかったり、髪の毛に空気が付いていたり、ちょっとしたことが誤差につながるので、ちゃんと測定できるまでこのプロセスを何度も繰り返さないといけないこともよくあります。

完璧な条件で測定ができたとしても、誤差を生む要素が残っています。消化器官内にある空気量を推定する必要があります。肺には残気量といって肺がつぶれるのを防ぐため、必ず一定量の空気が残ります。この残気量は直接測定可能ですが、ほとんどの場合測定値が使われます。こういった空気量が、水中での浮力になり、それが測定値の誤差につながります。

平均すると小さな誤差、個別に見ると…

では、水中体重測定法と4コンパートメントモデルを比べると、どうでしょうか?ここでは、平均値と、個別の測定結果を分けて考える必要があります。
半数が+10%の誤差で半数が-10%の誤差でも、平均すると誤差0%という結果もありえます。

水中体重測定法に関する研究を見ると、平均値では4コンパートメントモデルと比べて小さな誤差に留まります。平均すると4コンパートメントモデルよりも0.1〜1.2%低めの体脂肪率を示しました。ただし、若い女性を対象に2.1%高めの数値が出た実験もあります。
全体としてはなかなかの結果です。もちろん、これは人種に合った方程式を使っていることが重要です。シリーズ初回の記事で紹介したSiriの式は白人にのみ使える物です。黒人女性アスリートを対象にした実験では、白人用の方程式を使った場合は誤差が2.6%まで上がりました。黒人用の方程式を用いると、誤差は0.5%となりました。

しかし、個別の測定結果に目を向けると、最大5〜6%と誤差はかなり大きくなります。つまり、水中体重測定法で体脂肪率測定をして20%という結果が出た場合、本当の体脂肪率は15%かも知れないし、25%かも知れないということです。これは非常に大きな幅で、実際に自分の数字がどのくらいなのか知ることはできません。

一定期間での経過を調べようとする場合にも問題が出てきます。体重の変化によって除脂肪量の密度も変わるという話をしましたが、もともとの精度に問題のある測定方法にこの要因が加わると、さらに時間をはさんだ測定結果の比較は信頼性が下がります。体脂肪率の変化を測定・比較する際の水中体重測定法の精度は、決して良い結果とは言えません。実験結果のチャートを見てみましょう。

体脂肪測定 水中体重測定法 AthleteBody.jp

X軸は水中体重測定法での体脂肪率の変化の測定値、Y軸は4コンパートメントモデルでの測定値です。それぞれのマル印は各被験者を示しています。被験者の中には、測定方法によってかなり違う数値が出ていることが分かります。
4コンパートメントモデルでは10%の体脂肪減という結果なのに対し、水中体重測定法では0%(変化なし)と出ている人が居ます。
他には、4コンパートメントモデルで10%の体脂肪増なのに対し、水中体重測定法では20%近い体脂肪増が出た人もいます。

つまり、実際にはかなりの体脂肪が落ちていても、水中体重測定法では測定値に変化が出なかったり、実際には大して変化がなくても、大きく体脂肪が落ちたという測定値が出たりする可能性があるということです。
全体的には、水中体重測定法と4コンパートメントモデル間でそれなりに一致する結果を示した人が多かったですが、一部の人にはハッキリとした誤差があり、水中体重測定法を使って1人の体脂肪率の変化を調べる場合には注意が必要だと言えるでしょう。

結論

水中体重測定法は、グループの平均値を見る場合には、それなりに良い結果を得ることができますが、個人の測定値に関しては信頼性が高いとは言えません。
残念ながら2コンパートメントモデルの中では、水中体重測定法が最良の計測方法で、他の生体インピーダンス方式やBOD PODなどは、さらに大きく精度が落ちてしまいます。

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James Krieger

ジェイムス・クリーガーは栄養学と運動科学の修士号を持ち、自身のウェブサイトWeightology.netで情報発信をしています。
年間400人以上が参加する体重管理プログラムの監督を務めるなど、豊富なダイエット指導経験を持っています。
またエビデンスに基づいた健康へのアプローチを重要視しており、栄養・体重管理に関する研究が有名科学誌に掲載されています。

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