【名詞 / 病名】
読み方:ばるくあっぷ むちゅう しょう
英語:Dreambulkeritis
冬期、ウェイトトレーニングに熱心なヒト(通常男性)の間で流行するカン違いの症状。
筋肉量を増やすためにトレーニングをして、ガンガン食べて増えた体重はほとんど筋肉であり、若干増える体脂肪は春になって少し減量をすれば、フィットネス雑誌のモデルのようなバキバキの身体が手に入ると考えている。
用例①:アイツ、かなりバルクアップ夢中症がキツいな…(¬_¬)
発症すると、一般的に可能とされている筋肉の増量ペースを無視して体重を増やす事に専念しようとする。
根拠として、人並み以上にトレーニングに励んでいると考えたり、新発売のサプリメントを摂っていることで、自分は例外的に速く筋肉量を増やせると信じ込む傾向がある。
用例②:よー(・Д・)/最近バルクアップの調子どう?
症状】
バルクアップ夢中症には以下のような症状が見られる。
- 細身・普通・ゆったりとサイズの違うスーツを所有し、季節によって使い分けられるようにしている。もしくは、使い分ける必要がある。
- 目標体重を設定して「増量⇔減量」のサイクルを繰り返す。ここでの目標体重は、同じ身長のコンテストボディビルダーよりも高く、非現実的な設定が多く見られる。
- 上腕二頭筋と腕の太さへの執着が強く、腕の脂肪には無頓着なことが多い。筋肉のカットが見えなくなると、腕にバンドを巻いて対応しようとするケースもある。
注意点】
感染者は、そのことを指摘されることを嫌う傾向がある。
長年に渡ってフィットネス雑誌や、サプリメントメーカーの広告などにあるデタラメに晒され、最近ではYouTubeなどネット上でステロイドユーザーと一般人がごちゃ混ぜにされている状況で、増量ペースへの忠告は耳に届かない。
盲目的になっているので、言い方を間違えると友人関係にヒビを入れるだけになる可能性をはらんでいる。
認めることが治癒の始まり】
私自身、かつてバルクアップに夢中になったことがあります。 少し考えてみてください。
- 自分はいままでバルクアップ夢中症に掛かったことはない。
- いまも上に書いてあるような考え方はしていない。
- 友だちにもこんな人はいない。
1〜3まで当てはまりますか?良かったらコメント欄で教えてください。
現実的な増量ペース & 筋肉量の限界
筋肉とはどのくらいのペースで増やせるものなのか、どの程度まで筋肉は増やせるものなのか、よく分かっていない人が大多数のようです。いまの残念なフィットネス業界の現実を見ると仕方ないことかも知れません。
何が問題かと言うと、この知識不足が不必要な体脂肪増や、何年もひたすら増量&減量を繰り返して結局どこにもたどり着けないというサイクルにつながっていることです。
現実的な目標設定をして、バルクアップ夢中症に掛からないようにしましょう。
現実的な増量ペース
どのくらいのスピードで筋肉を増やす事ができるかは、トレーニング経験(筋力レベル)によって変わります。
筋力レベル | 筋量増/月 | カロリー収支/日 |
初心者 | 1〜1.5kg/月 | +200〜300kcal/日 |
中級者 | 0.5〜1kg/月 | +100〜200kcal/日 |
上級者 | 0.2kg/月 | +若干 |
この数字は体重ではなく、筋肉量の増加ペースです。今後の記事でもう少し詳細に説明しようと思いますが、もちろん個人差があるので、目安として捉えてください。
筋肉量の限界
プロレスラーや力士のような身体の大きな人も含めて、誰でも遺伝的な筋肉量の限界を持っています。これには個人差がありますが、どんなにトレーニングや食事管理をガンバっても超えられない「生まれ持った限界」があります。
筋肉量を増やすという意味で遺伝的に恵まれた男性が、薬物を使わずに増やせる筋肉量の目安を出す公式があります。とてもカンタンな計算なので、自分の夢中症チェックに計算してみてください。
身長cm - 100 = 体重kg(体脂肪5〜6%のギリギリまで絞れた状態)
これはマーティン・バークハンが経験を基に作った計算式です。個人差や状況に合わせて細かな調整をするための考え方もありますが、上の計算式でだいたいの目安を出すことはできます。
現実的な目標設定ができているかや、薬物を使っているかを判断するのに使えますが、自分の体脂肪率がどのくらいかをある程度正確に認識しておくのが不可欠です。これは現在一般的に使える体脂肪測定マシンについて回る誤差を考えると注意が必要なポイントです。
生まれ持った筋肉量の遺伝的限界とは?という記事の中で筋肉を増やせるペースや限界について詳しく紹介しています。
おまけ:友だちと温泉で…
今年のお正月休み、私はスノーボードに行きました。友だちと1日楽しく滑ったあと、温泉に入っていて今年の身体づくりの話になりました。
彼は身長175cmで現在の体重が約70kg。体脂肪は15〜20%程度です。彼は今年85kgまで増量してから、78kgまで減量してバキバキの身体になるという計画を立てていました。
この記事をここまで読んでくれれば分かると思いますが、例えば「バキバキ」を体脂肪10%だとしても、これは現実的ではありません。
今年の増量シーズン、夢中症にならず実現できる目標設定を考えましょう。
友だちに夢中症の疑いありと思ったら、この記事を見せてあげてください。コメント欄で話を聞かせてもらえると嬉しいです。
トレーニングは一年ほどダラダラと減量を続けつつ行っており、体脂肪率は40→20くらいで体重は80→65です。デッドリフトはまだ教えてもらっておらず(来月あたり先輩に教えてもらう予定です)、スクワットは40キロ、ベンチはサボっており30キロです。本来ならコーチング契約を結んで相談すべきなのでしょうが、何分金銭的余裕があまり無く、こうしている次第です。
sugiuraさん、コメントありがとうございます。
ここまで減量を頑張ってこられたのですね。減量を続けるかの判断はご自身が減量を苦痛に感じているかや現在の体脂肪量に満足されているかを基準に考えると良いかもしれません。
トレーニングに関しては、各種目のフォームを覚えてしっかり取り組むと、必ずしも増量しなくてもある程度の伸びは期待できるかもしれません。
状況を詳しく把握できていないので、確かなことは言えませんが、少しでも参考になれば幸いです。
トレ初心者です。
現在体脂肪率は20±3%です(アメリカ海軍式)。私は新高2で、来年の4月からは受験勉強漬けの毎日を送らなくてはなりません。
まだ減量を続けるか、それともこの一年は増量に注力し、来年の4月から受験が終わるまでは減量に専念するか。迷っています。
馬鹿な質問かもしれませんが、回答していただけると幸いです。
こんにちは。
はじめて増量(リーンゲインズを使った-10/+20)にチャレンジしている私は、この記事の「バルクアップ夢中症」というキーワードを思い出しつつ、食事管理をしています。
増量をはじめて2週間ぐらい経過しました。ダイエット直後より、スクワットRPTトップセットのレップ数が3repから5repに増えました。しかし、皮下脂肪も少し増えた気がします。
エクレアさん
初めまして、コメントありがとうございます。
食事量が増えると身体の水分量が増えて、ちょっと太ったような感じを受けるのはよくあると思います。ここで「やべ!太り過ぎ?」と思って食事カットに走ると、十分なカロリーを確保できずに増量が進まず堂々巡りってパターンもあります。
食事量を注意していれば2週間で増える脂肪の量は多く無いので、ここはじっくり進める気持ちも大事かなーなんて思いました。
ガンバってください^^
お返事ありがとうございます。
水分の可能性もあるんですね、ありがとうございます。
下腹部の血管が皮膚の上から確認できるので「そんなに脂肪も増えてないかな…」と、自分に言い聞かせています。
もし、お時間がありましたらマーティン・バークハン氏のチーズケーキとFuckarounditisに関することも、記事にして欲しいです。私の基礎代謝ではチーズケーキを食べることは無理ですが…。
あ、Leangains.comの読者さんですか。
Fuckarounditisは翻訳しようかと思ったんですが、長くなるので、BIG3の記録目安を抜粋してこちらに載せています。
こんばんは。私もウエイトトレーニングを始めたころには知識がなくて、かなり遠回りしていました。
私の場合は、バルクアップより、重量に夢中症でした。ベンチプレスでMAX80kg周辺で停滞を始めたころにピリオダイゼーションを導入しましたが、導入までかなり悩みました。今まで扱っていた重量を落とすのは始めたころの私にはかなり抵抗があったもので・・・。
やっぱり「きっかけ」って大切なんだなと思います。歩みを省みるのも結局自分にしか出来ないものですから。
と、たいそうな事を言っても、私自身まだまだです!
こんにちは^^
「重量に夢中症」っておもしろい言い回しですね。ボクもときどき発症してる気がします(ー ー;)
しばらくトレーニングを休んだ後や、フォーム確認なんかで重量を落とすのも前進なんですけどね。
Yasumotoさんのピリオダイゼーションはどんな内容ですか?
今はばっきぃびーんさんが紹介してくださった5/3/1のトレーニングサイクルで週2,3のトレーニングを行っております。
5/3/1は人気のプログラムですね。アメリカのトレーニーの間ではホントによく話題に上がってます。
ばっきーさん、タコライス研究日誌の更新再開して欲しいですねぇ。
こんにちは!
個人的にとてもタイムリーな記事でした!ありがとうございます。
半月後から増量を始める予定です。危うく、バルクアップ夢中症にかかるところでしたが、記事を読んで、僕自身、気を付けるべき点、疑問に思っていたけど解決した点がいくつかありました!ありがとうございます!この記事がワクチンになりました!
これから初めての増量を始めるので増量のペースに関してどれくらいまでが許容範囲なのかわからず、不安なのですが、1か月の増量ペースとして脂肪も含めた量の目安はどのくらいなのか教えて頂けませんか?
トレーニング量や食事摂取量など個人差もあると思いますが、トレーニング歴2年目で初の増量ということなので、脂肪も含めて1.5kg/月 位なら許容かな?と考えています。
また、タンパク質摂取量についてですが、増量期に除脂肪体重×2.5~3gは少ないでしょうか?
現在は減量中で160g(除脂肪体重1kg当たり2.8gくらい)摂取してます。
本当に、毎回為になる記事、ありがとうございます!
こんにちは!
>この記事がワクチンになりました!
やー、何よりです^^
リーンゲインズ日誌の記事見ました。減量うまく行って良かったですね!
時系列で書かれてて粘り強く進めたのがよく分かりました。
増量は、主にトレ記録に注目して進めるのが良いと思います。食事量を少し増やして、記録が伸びる内はそのままを維持、伸び悩んだらそこでもう一段階食事量を増やす。階段を上るようなイメージですね。
体重に関してざっくり言うと、脂肪と筋肉が1:1の比率で増えるくらいが目安になります。
実際には、どのくらいの割合で増えているか正確に数字を出せるものではないので、細かい数字にとらわれないコトも大事です。
全体の傾向として、ドカドカ体重が増えていくならペースダウンした方が良いかも知れないし、筋力は伸びているけど体重があまり変わらないなら、少しペースを上げても良いかも知れないって感じです。
増量中はたんぱく質の摂取量を多少落としても大丈夫です。
減量中はたんぱく質が筋肉の材料よりもエネルギー源として使われやすいので高めの設定なんですよね。
近い内にもう少し具体的な数字も入れた記事を上げようと思うので、そこで確認してください。
あ、読者体験談どうですか?
お返事ありがとうございます!
読者体験談、ありがとうございます!リーンゲインズ実践中の方(特に日本人)のために、させていただきたいです。
1月末に写真撮って、それから体験談を書いてもいいですか?
アドバイスに沿って、来月から増量したいと思います!
とりあえず(+25∼30%)/(-10∼-15%)くらいの配分から始めて、様子見つつ調整していこうと思います!
アドバイス、ありがとうございます!
今月末ですね。ぜんぜん大丈夫です。
ご自身の写真と、トレーニング環境の写真なんか見れたら嬉しいなーと思います。
文章はもう思いつく事を好きなように書いてください。
楽しみにしてます^^