誤差だらけの体脂肪率 Part1 推定値のカラクリ

投稿者 : James Krieger

体脂肪率 測定 精度ダイエットに興味のあるなしに関係なく、体脂肪測定をされたことのある人はたくさん居ると思います。
体脂肪の測定方法はいろいろあって、測定結果の正確性もまちまちです。手間もコストも違ってきます。
これまでの記事でも市販の体組成計は頼りにならないという話をしてきましたが、それでもクライアントさんや読者さんから日常的に体脂肪率の話が出てきます。
そもそも体脂肪率の数字にとらわれない方が幸せになれるかなと思いますが、今回はいろんな測定方法の誤差を徹底的に検証した記事を日本語訳してご紹介します。

「ジムで測ったら体脂肪率19.8%で基礎代謝は1552kcal、何kcal食べれば良い?」というような質問をネット上でよく見かけますが、その数字は本当に信じていいのか?
「ある程度の誤差は承知の上。ダイエットの経過チェックに使うだけ。今月は0.8%下がった」なんて話もよく聞きます。ある程度の誤差とはどの程度なのか?

専門用語も混じって少し難しい話も出てきますが、一般的な物から精度をウリにしている測定方法までシリーズで掲載していきます。体脂肪率の数字をスッキリ忘れるキッカケにしてもらえれば嬉しいです。

:::::::::::::::::::: ここから本編 ::::::::::::::::::::

ほとんどの人がこれまでに一度は体脂肪率を「測定」したことがあると思います。しかし、実際のところ、体脂肪に関しては「測定」をしているのではなく「推定」しているに過ぎません。それもかなり曖昧な推定です。

天気予報は予測でしかない

あたりまえのことですが、テレビの天気予報では、気象予報士は天気を「予測」しています。「測定」しているワケではありません。
体脂肪率をチェックするときにもまったく同じで、体脂肪率の「測定値」ではなく「推定値」を出しています。天気予報が100%当たらないのと同じように、この推定には、どうしても誤差が付いてまわります。
実際には、体脂肪率測定に関しては100%どころか、70%の正確性もないのです。

だれも体脂肪測定に命を捧げない

唯一、体脂肪を実際に測定する方法があるとすれば、死体解剖です。死体からすべての脂肪を取り除き、その重さを量るワケですが、そんな研究目的に命を差し出す人は現れないでしょう。

生きたヒトの体脂肪量を直接量ることができない以上、なんらかの方法で体脂肪量を推定するしかありません。いろいろな体組成の測定方法が使われますが、どの方法でも基本的に、生きたヒトの身体で何か実際に測定できる物をはかり、その測定値を基に体脂肪率を推定します。
タニタ製品など、よくある生体インピーダンス方式では、身体の電気抵抗を測ります。水中体重測定法では、身体の体積と体重を測定します。DXAの場合には、2種類のX線の吸収率を測定します。
どの方式を使っても、最終的に出てくるのは実際の体脂肪を「推定」した値です。この推定値には誤差があり、誤差の程度は測定方法によって変わりますが、最高の技術をもってしても、ほとんどの人が考えるよりも大きな誤差が残ります。

ほとんどの体脂肪測定技術は「2コンパートメントモデル」という方式を用いています。これは、ヒトの身体を脂肪量と除脂肪量に分けて見るという考え方です。除脂肪量とは、脂肪以外の部分すべてで、内臓、筋肉、骨、体内水分などが含まれます。カン違いの多いところですが、除脂肪量の変化は筋肉量の変化とは限りません。2コンパートメントモデルでは、「脂肪でない部分」を推定しているに過ぎず、体内水分量が変わっただけでも除脂肪量の変化として現れてしまうので、除脂肪量と筋肉量を混同しないように注意が必要です。

しかし、誤差を生む一番大きな要因は、身体の密度を体脂肪率に換算する段階にあります。一般的には、この計算にSiriの式という方程式が使われます。この方程式は除脂肪量の密度は一定であることを前提にしていますが、除脂肪量の密度は人種間で違いがあることが研究によって分かっています。つまり、ここで生まれる誤差は人種によって変わるということです。
これに加えて、単純に体重が変わっただけでも除脂肪量の密度は変わります。体重が増えたり減ったりするだけでも誤差につながるということは、期間を開けて変化を測ろうとするときに問題になります。さらに、体内水分量の変化だけでも最終的な数字が変わってくるということになります。

要するに、除脂肪量の密度が一定だと仮定してしまうことで、2コンパートメントモデルには大きな誤差が出てしまうということです。では、実際にはどのくらいの誤差なのでしょうか?
この疑問に答えを出すには、結果を比べる基準が必要になります。人を殺して脂肪量を量ることはできないので、他の方法ということになりますが、「4コンパートメントモデル」が比較対象に使われます。
4コンパートメントモデルとは、ヒトの身体を「ミネラル、水分、脂肪、たんぱく質」の4成分に分けて考える方式です。水中体重測定で身体の密度を、重水素希釈法という技術で体内水分量を、骨のミネラルをDXAでそれぞれ求めたあと、方程式を使って推定値が計算されます。
4コンパートメントモデルは、除脂肪量の密度を仮定する問題を避けられるので、2コンパートメントモデルよりも優れていますが、非常にコストが高く、一般に普及はしておらず、臨床実験でのみ用いられています。
測定結果はやはり「推定値」になりますが、圧倒的に高い精度を持っているので、他の方式の誤差を調べるには、4コンパートメントモデルの結果を基準に考えることになります。

Part2以降で、各種の体脂肪率測定方法を斬っていきます。2コンパートメントモデル、除脂肪量、密度などの言葉が多用されているので、このページの内容を踏まえて読み進めてもらうと分かりやすいと思います。

Part2 水中体重測定法
Part3 市販の体組成計(生体インピーダンス方式)
Part4 DXA(3コンパートメントモデル)

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James Krieger

ジェイムス・クリーガーは栄養学と運動科学の修士号を持ち、自身のウェブサイトWeightology.netで情報発信をしています。
年間400人以上が参加する体重管理プログラムの監督を務めるなど、豊富なダイエット指導経験を持っています。
またエビデンスに基づいた健康へのアプローチを重要視しており、栄養・体重管理に関する研究が有名科学誌に掲載されています。

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