AthleteBodyで減量指導をさせていただいたクライアントさんです。お名前を粕谷さんといいます。
今回、粕谷さんは初めてのコンテストに挑戦されました。もともとボディビルやフィジーク競技に憧れていて、これからは競技者として頑張っていきたいという想いがあったそうです。
ただ、粕谷さんは体脂肪をギリギリまで落とす減量をしたことがなく、ご自身の取り組みがどれだけ通用するのか分からないという不安を持たれていました。
そこで、コーチをつけて本格的な減量を経験することで、今後の競技人生の土台となるような実践ノウハウを身に付けたいとパーソナルコーチングに申し込んでくれました。
AthleteBodyで指導させていただいた期間を振り返ると、ご自身では経験したことのない状況に何度か直面されました。
そういった課題にひとつずつ対処していく中で、どのように考えて答えを出していくのかを体験してもらうことができました。
結果的にしっかり体脂肪を落とすことができたのですが、それだけでなく「知識を使えるようになった」という手応えを得てもらえたのではと思います。
そして迎えたコンテストでは、ご本人も納得のコンディションでステージに上がっていただくことができました。
ここからは、粕谷さんのコンテストに向けた取り組みを紹介します。
減量期間の方針
減量プログラムを作成するにあたり、コンテストまでに向けた大まかな方針を立てることにしました。
トレーニング
はじめにトレーニングプログラムを作成することにしました。
コーチングにお申し込みいただく前、粕谷さんは次のようにトレーニングされていました。
- トレーニング頻度は週4日
- コンパウンド種目を中心にトレーニングする
このとき粕谷さんは挙上重量を伸ばすことを目標にされていて、実際にスクワットやベンチプレスなどで大きく挙上重量を伸ばすことができたそうです。粕谷さんご自身もこのトレーニングに手応えを感じていました。
コンパウンド種目の挙上重量が伸びているのはプラスなのですが、ボディビルでは細かな部分まで余すことなく発達させられるとベターです。
そこで、腕やふくらはぎなどの小さな筋肉に直接刺激を入れやすいアイソーレーション種目を追加してもらうことにしました。
目標体重と食事
目標体重と減量期間を決めていきました。
お申し込み時に粕谷さんから伺った内容から、コンテストまでにかなりの体脂肪を落とす必要があり、減量期間もある程度長めに取る必要があると考えました。
そこで、粕谷さんと相談し、減量開始から6ヶ月後のコンテストに出場していただくことにしました。
そして、コンテストまでに確実に減量が間に合うように、カロリーと三大栄養素の摂取量を設定しました。
はじめの3ヶ月
減量期間に入り、はじめの3ヶ月で粕谷さんの身体は次のように変わりました。
開始時 | 3ヶ月後 | |
体重 | 86.5kg | 75.3kg |
お腹まわり | 89.0cm | 75.8cm |
スクワット | 125kg×7回 | 115kg×8回 |
ベンチプレス | 82.5kg×8回 | 77.5kg×8回 |
体重は11kg落ち、腹筋がうっすらと見えるところまで体脂肪を落とすことができました。
粕谷さんがコンテストまでに体脂肪を落とし切るためには、体重を18kgほど落とす必要があると見積もって計画を立てていました。
この時点では減量期間のちょうど半分が過ぎたところでしたが、かなり良いペースで進み、すでに目標の減量幅の半分以上落とすことができました。
はじめの3ヶ月、減量ペースが速めだったのは計画通りでした。これは、コンテストが近づいてきた段階で、減量を急がなくても済むようにするのが狙いです。
ここまでは順調に進められていると言えます。
体脂肪は確実に落とせていたものの、粕谷さんは挙上成績が少しずつ落ちていることを気にされていました。
減量中、体重が落ちるにしたがって、挙上成績が落ちていくことは少なくありません。特にコンテスト前の選手は、粕谷さんのように不安に感じる場合が多いですが、筋肉を維持するのに問題になるようなことはほとんどありません。
実際に、粕谷さんの体重の減り幅を考えると、挙上成績の落ち方は問題ない範囲に収まっていました。
粕谷さんには、挙上成績が落ちても気にせずに、できる範囲で重量の維持に努めてもらうことにしました。
開始3ヶ月から5ヶ月
2ヶ月が経ち、粕谷さんの身体は次のように変わりました。
3ヶ月後 | 5ヶ月後 | |
体重 | 75.3kg | 71.1kg |
お腹まわり | 75.8cm | 70.4cm |
スクワット | 115kg×8回 | 110kg×8回 |
ベンチプレス | 77.5kg×8回 | 75kg×8回 |
体重は4kg落ち、筋肉が浮き上がって見えるくらいまで体脂肪を落とすことができました。
この時点でコンテストは1ヶ月後に迫っていましたが、このまま減量を進めていけば、時間に余裕を持って身体を絞り切ることができそうです。
ただ、トレーニングに関して少し問題が生じていました。トレーニングするとき、部位によっては筋肉や関節に違和感が出るようになっていたのです。
減量中、食事から摂るエネルギーが少なくなると、身体の回復が遅くなることがあります。疲労が抜け切らない状態でトレーニングを続けると、身体に不調が出てくることは少なくありません。
粕谷さんの場合も、減量を長く続けていくうちに疲労が抜けにくくなり、身体の痛みや違和感に影響している可能性があるのではと考えました。
そこで、1週間ほど各種目のセット数を減らし、ユル目にトレーニングしてもらうことにしました。これは、筋肉への刺激を確保しながらも、トレーニング量を減らして少しでも疲労を抜くための作戦です。
また、コンテストまでの残り期間、粕谷さんが痛みや違和感を感じる種目を別の種目に換え、トレーニングを続けてもらうことにしました。
コンテストまでの1ヶ月
コンテストまでの最後の1ヶ月間、粕谷さんの身体は次のように変わりました。
5ヶ月後 | 6ヶ月後 | |
体重 | 71.1kg | 69.6kg |
お腹まわり | 70.4cm | 69.0cm |
スクワット | 110kg×8回 | 115kg×8回 |
ベンチプレス | 75kg×8回 | 72.5kg×8回 |
体重は1.5kg落ち、いつでもステージに上がれる状態にまで身体が仕上がりました。
粕谷さんがトレーニング時に感じていた関節や筋肉の違和感は、コンテストまでの1ヶ月間でほとんどなくなりました。トレーニングのやり方を変えてもらったのが効いてくれたのだと思います。
コンテスト直前の数日間、食事に関しては塩や水分の量は変えずに炭水化物の量を増やしてもらいました。これはコンテスト当日にピークを持っていくための最終調整です。
こうしてステージに上がる準備は整いました。
コンテストを直前に控え、粕谷さんは「自分なんかボディビルのステージで通用しないのではないか」と不安を感じられていました。
コンテスト前に緊張したり不安になったりする人は多いです。特に、初めての挑戦であれば、自分の力が通用するのか不安に感じない人はいないでしょう。粕谷さんが不安な気持ちを抱いていたのは無理もないと思います。
ただ、コンテストでどういう成績がつくかはさまざまな条件によって変わります。ほかの出場選手のレベルのように、自分ではコントロールできない部分で決まってしまうことも多いです。
この時点で粕谷さんにとって本当に大切なのは、トレーニングと食事をこれまで通りに続けることでした。
そこで粕谷さんには、コンテストでどんな結果になるかを恐れずに、自分がいまできることに集中してもらうようにお話ししました。
このやり取りを経て、粕谷さんはコンテストまで自分ができることに全力で取り組もうと前向きな気持ちになれたようでした。
2021年7月、粕谷さんは神奈川オープンボディビルに出場されました。
当日は筋肉の張りも良く、粕谷さんご自身も納得のコンディションでステージに上がってもらうことができました。
残念ながら決勝に進むことはできませんでしたが、初めてのコンテストを存分に楽しまれたようでした。
コンテスト直前の不安な気持ちを乗り越えてステージに立たれたのは、本当に素晴らしかったです。
担当コーチ本橋の感想
粕谷さんの減量期間を振り返ると、少しでも知識を吸収しようとされていたように感じます。そして、実際に体験しながら学ぶことで、自分の生活の中で知識を使えるようになろうと努められていたように思います。
特に私の印象に残っているエピソードをご紹介してみたいと思います。
あるとき、体重が大きく落ちた週がありました。直前の週から体重は2kgくらい落ち、そこまでの減量ペースと比べても大きな落ち幅でした。
粕谷さんは「何か間違ったことをしてしまったのではいか」と不安に感じられたのと同時に、なぜこういうことが起きたのかに興味を持たれていました。
減量中、トレーニングや食事などを変えていなくても、短期間のうちに体重に波が出ることはよくあります。これは、体水分の影響によるところが大きいです。
粕谷さんはこれまでに体重の波を経験したことがなく、自分の身体に何が起きているのか不思議に感じられたのだと思います。
このように、粕谷さんは疑問を持たれたときには、その都度、私に質問を送ってくれました。
こうやって質問が出てきたのは、粕谷さんご自身に「実際に使える知識を身に付けたい」という気持ちがあったからだと感じています。
この学ぼうとされる姿勢に、私は本当に立派だと感じました。
この減量期間、ひとつひとつ疑問を解消していった経験が、粕谷さんの今後の競技人生に少しでも役に立ててもらえるならば、私としては嬉しい限りです。
最後に、粕谷さんの体験談をご紹介します。
粕谷さんご本人の体験談
初めてのボディビル挑戦にあたって、AthleteBodyのコーチングを受けることを決めたのは次のような理由がありました。
- 今後の長い競技人生における大事な基準がこの一回目の減量体験になるであろうことが考えられました。
自己流ではなく信頼できるコーチのもとで学び、最後まで基本に忠実に減量をやり遂げたいと思ったからです。 - これまでBIG3の動画教材等、AthleteBodyが発信する情報に触れて学ぶことも多く基本に忠実な方法でコーチングしていただけると思ったからです。
実際に本橋コーチのもとでコーチングを受けていくなかで感じたことは以下の通りです。
1つ目は必要最低限の指示が与えられるため、言われたことをただ言われたままにこなすのではなく、主体性や自主性にゆだねられる部分がかなり強いと感じました。
例えば食事にしても食材を指定されたり、時間帯を指定されたりすることがありませんでした。
これは私にとても合っていて、守るべき枠の中で自分のスタイルに合う方法を工夫したり、模索したりすることができ楽しく減量生活を送ることができた一因です。
この主体性・自主性に任せていただいたおかげもあり、多くのスキルが身に付きました。
例えば、野菜や果物のおいしさのすばらしさに気づいたり、季節ごとの旬の食材を味わったり、食事やトレーニングを自分の仕事やプライベートのスタイルに合わせてうまく溶け込ませることができるようになったり、体のケアやトレーニング動作を洗練させることであったり、です。
突き放したようなコーチングなのか?とこの文章を読まれた方が誤解するのを避けるため念のため補足すると、もちろん疑問点や違和感等は都度コミュニケーションをとって解消することができるため納得して進めることができました。
2つ目は、体づくりにおいて、薬物を使用するといった方法を除いては魔法のようなメソッドは存在せず、基本的で地味なことを日々淡々とこなすのが近道ということです。
もともとコーチングを申し込む動機として先に挙げたように基本に忠実に最後までやりきることを目標の一つにしていたにも関わらず、長い減量期間で苦しい時は、「何か特別な近道をコーチなら知っていて、ズルができるんじゃないか?」と思ったりしたものです。
そんな時にも本橋コーチは基本に忠実であることが大事だと何度も背中を押されたことを思い出します。
3つ目は、正しい減量をすれば、楽ではないが、決して減量はきつ過ぎるものではないということです。
減量を始める前、最後は断食に近い状態にならないと絞れない、だとか、とても仕事どころではなくなる、といったイメージを漠然といだいていました。
しかし、実際には決してそのようなことはなく最後まで食事はとれ、なんとか仕事やプライベートなどボディビル以外の時間もほとんど元気に過ごすことができました。
これは本橋コーチのもと正しい減量を進めることができた、という面もありますが、「本橋コーチの指示に沿って元気に過ごしてさえいればいつか勝手に絞れているだろう」というある意味で楽観し、リラックスした精神状態を作ることができたことが非常に自分の中では大きかったです。
特に、減量後半では、本橋コーチを信じていれば結果はついてくる、というようなメンタル面での支えを強く感じました。
最後に、ボディビルは結局トレーニングするのもできるのは自分ひとり、生活の管理もできるのは自分ひとり、ステージ上でも自分ひとりです。誰かが代わりにやってくれることなど結局のところ一つもないのかもしれません。
いくら優秀なコーチがついていようと結局私が強い意志を持って実行しなければ何も成し遂げられません。そのブレない強い意志を自分の中に持ち続けることの大切さを本橋コーチのコーチングから学びました。
また一方で、全く逆のことを申し上げますが、ボディビルはひとりではできない、ということも学びました。
最初から最後までサポートいただいた本橋コーチをはじめ、減量中、常に励ましてくれた友人、家族、会社のみなさん、といった存在が私にはありました。
数多くの人に応援していただき、時には気持ちを奮い立たせてもらい、時には気持ちを楽にさせてもらい、私は元気にステージに立つことができました。本当に感謝しています。
このコーチング期間は自分自身成長した部分が多く、最後までやり遂げることができ、かなり納得が出来ました。
今年は歯が立ちませんでしたが、いつの日か日本選手権の舞台で戦うボディビルダーを目指し、これからもトレーニング楽しんでいきたいと思います。
そして是非ひと周りふた周り、いや4周り5周り大きくなった私をまた本橋コーチに指導していただき、この長い夢を一緒に追いかけることができたなら何よりの幸せです。
大変お世話になりました。
パーソナルコーチング
AthleteBody.jpではパーソナルコーチングを提供しています。
各個人の現状や目標に合わせてプログラムをお作りするサービスで、ボディビルコンテストに向けた指導も承っております。
パーソナルコーチングの詳細は申込みページでご確認ください。