「トレーニングが終わったら30分〜45分以内にプロテインシェイクを飲まないといけない」とよく言われます。しかし、なぜプロテインシェイクを飲むのか、どんな効果があるのか、ハッキリ説明されていないのも事実。
アメリカでは泣く子もだまる(?)スポーツ栄養学の専門家アラン・アラゴンがこのテーマにメスを入れています。
日本語で読んでも難しい記事になってしまいましたが、結局のところ「筋トレ直後のプロテインシェイク」の効果はまだハッキリしておらず、トレーニングの後あわててプロテインシェイクを作るより、一日の必要量を確実に摂る方がずっと大切ということです。
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トレーニング後すぐにプロテインシェイクを摂ると良いという話は、実際にしっかり効果が検証されたワケではありませんが、一般人だけでなく専門家の間でも、万人に有効な必須のものとされてきました。
トレーニング後に筋肉の合成が進むという「ゴールデンタイム」の考え方は、トレーニング後の炭水化物の摂取タイミングが、グリコーゲン枯渇後の再合成に与える影響を調べる研究から始まったものです。
ここでは、炭水化物の摂取が遅れると、グリコーゲンの回復量が大きく下がったという結果が出ましたが、これは数時間の観察に限ってのことで、その後の研究では24時間にわたって観察するとグリコーゲンの回復には違いが無かったという結果が出ています。
このトレーニング後の魔法の時間帯の考え方が生まれ、たんぱく質も一緒くたにされてしまいました。
たんぱく質と炭水化物を一緒に摂ると(炭水化物量が少ない場合は特に)グリコーゲンの再合成が促進されるという研究や、トレーニングの刺激によって筋肉の合成が活発になった状態でたんぱく質を摂ると相乗効果があると示した研究もありました。
しかし、これらの研究には欠陥が2点あります。まず、被験者たちはトレーニング前夜から絶食状態でトレーニング前には何も食べていない状態でした。
また、トレーニング直後のたんぱく質摂取の有効性を示す研究のほとんどは短期間の結果を見たものです。数週間など長期間にわたって行われた研究では、同じように有効性を確認することができませんでした。
この業界の知識の豊富な人たちも含めて、多くの人がこのことには気がついていないようです。
このテーマについての研究が「たんぱく質の摂取タイミングは重要ではない」と断言できるだけ進んでいるわけではありませんが、一日に必要な摂取量が摂れていれば、摂取のタイミングには幅があっても構わないと考える材料にはなります。
十分なたんぱく質を摂れる食事内容で、なおかつたんぱく質の摂取量(サプリメントでの摂取も含め)を揃えたグループを用いて、炭水化物と比較的多くのたんぱく質を同時に摂り、そのタイミングの違いによる影響を比較する研究が今後進めば良いと思います。
現在のところ、このテーマに関する研究結果は十分ではありませんが、一日のたんぱく質の必要量を摂ることが最も重要で、タイミングや一日の中での摂り方による影響はずっと小さいと言えます。
せいぜいケーキの上の飾りのような存在で、ケーキそのもの(一日の摂取量)がしっかりできていないと飾りを乗せることもできないワケです。
ハ百さん アンディさん たびたびど素人の初歩的な疑問に、ご丁寧にお答えくださって感謝してます。プロテインについてなのですが、私はホエイプロテインはWBC.WBIともに合わないらしく(そもそも動物性タンパク質を取りすぎると身体の調子が悪くなります)お腹を下してしまうので、今はソイプロテインを食事で足らない分を摂取してます。やはりソイプロテインでは、ホエイプロテインのような動物性タンパク質ほどの効果は期待できないのでしょうか?またソイプロテイの効果についてはどのようにお考えなのでしょうか?お答えできる範囲で結構なので宜しくお願いします(^ ^) あっそれから、デッドリフトの件もありがとうございました!(何故か返信できなかったので、こちらで失礼します)
MADさん、こんにちは。
筋肉を付けるという意味では、肉・魚・乳製品などの動物性たんぱく質の方が有利ではありますが、体調が悪くなるならソイプロテインを使われるのも良いと思います。
細かいことを言えば、全体でのたんぱく質の量を増やしたり、BCAAのサプリメントを摂ったり対策できることはありますが、体調と長い目で見て続けやすいかというバランスを考えて調整してもらうのが良いかなと思います。
はじめまして。
確かに、研究ではそうなんでしょうが、これは一般人にとってのことであり、アスリートには当てはまらないですね。現実的には、数週間で見ようが数年で見洋画というスパンでは、一週間に数試合もあるような野球やサッカー、私がやっているラグビーなどには、あなたのいうサプリメンテーションは全くあてはまりません。
こういう万人が見ているような場所では、きちんとそういう区別をやらないと、いい加減な情報となってしまいます。
初めまして、コメントありがとうございます。
著者紹介に書いていますが、オリジナルの英語記事を書いたアラン・アラゴンはトップアスリートの栄養指導も行っていて、現場と科学的研究の両方を知るスペシャリストです。
AMONさんのおっしゃる「一般人」と「アスリート」を分ける定義や、どこが当てはまらないと考えられるのか具体的にしていただくともう少し建設的なお話ができるかなと思います。
スイマセン、どこかで言及されていらっしゃるのかもしれないのですが
記事が見つけられなかったので質問させてください。
カゼインプロテインをお勧めしているのにはなにか理由がありますか?
また、プロテインよりも赤身の肉からタンパク質をとった方が筋肉になりやすいということを聞いたことがあるのですが、本当ですか?
すいません、コメントに気付くのがおそくなりましたm(__)m
カゼインをお勧めしているのは、消化がゆっくり進むという理由です。1日の最後の食事(夕食時)にはカゼイン、昼食時にはホエイでもカゼインでもOKということです。
プロテインか赤身の肉かというのは神経質にならなくて良いと思います。毎日赤身の肉ばかり食べるのも難しいですし、プロテインが便利なこともあります。いろんな食べ物で1日のたんぱく質必要量が摂るのが大切ですね。
次回からコメントはご自身の名前を入れて頂けますか?
(アルファベット1文字だとこれまでにやりとりのあった方か区別が難しいので…)
以前から「夜はカゼイン」説の理由がよくわからないので,便乗して質問させていただきます。
なぜ寝ているときは「ゆっくり消化が進む」のが良いのでしょうか。そのほうが胃の負担が少なければ良い睡眠がとれそうですが。摂取するタンパク質のことだけを考えると,吸収されるのが早くても遅くても,同じ量であれば効果は変わらない気がします。
磯谷さん、初めまして。コメントありがとうございます。
理屈としては、身体に必要とされるアミノ酸が食べた物から供給されることで、筋分解を防ぐということですね。
実際にどの程度の意味があるかというと、磯谷さんのおっしゃるように、全体量を押さえる方が重要なのは間違いないと言って良いと思います。
それでも、同じ三大栄養素の設定で少しでも効果を伸ばしたいと思うと完全に無意味とも言えないということでしょう。
細かく時間を考えるのがストレスになるかで考えても良いのかなと思います。