宇多さんは初めてのフィジークのコンテストに向けてAthleteBody.jpで指導させていただいたクライアントさんです。
宇多さんは2020年11月に開催された2箇所のコンテストでメンズフィジークに出場されました。残念ながら決勝に進むことはできませんでしたが、コンテストに向けて体脂肪をしっかり落とし、初めてのステージを存分に楽しまれました。
宇多さんはパーソナルコーチングに申し込まれる前まで、筋力トレーニングを5年ほど続けられていました。トレーニングを続けていくうちに一度はコンテストに出てみたいという気持ちが強くなっていたものの、キッカケがなく出場を決められずにいたそうです。そんなときにAthleteBody.jpでオンライン指導をしていることを知り2020年こそはコンテストに挑戦しようと決意して、コーチングに申し込んでくださったとのことでした。
コーチングが始まってから、宇多さんはお仕事が忙しくなったり身体の調子が悪くなったりしてトレーニングを思うように行えないときがありました。しかし、コンテストまで減量をやり抜き、無事に初めてのステージに立つことができました。
ここからはコンテストに向けた期間の実践内容を紹介していきます。
減量期間の方針
コーチング開始時点で宇多さんのコンテストに向けた減量期間のおおまかな方針を決めました。
食事量と減量ペース
まず、目標体重と減量ペースを決めます。
減量を開始するにあたって、宇多さんはコンテストまで約6ヶ月かけて10〜12kg落としていくことを目標にしました。コンテストに向けた減量幅としては一般的な範囲で、1週間あたりで考えると500〜600gくらいずつ体重を落としていくペースです。
最速で体脂肪を落とすことを優先するともう少しペースを上げることもできますが、限界まで追い込まないことで継続しやすくなったり筋肉を維持しやすくなったりすることを狙いました。減量期間に約6ヶ月としっかり時間を取れたから可能な設定です。
次に、食事量を決めました。
コーチングに入るまでに、宇多さんはご自身で2ヶ月くらい減量をされていました。ご自身なりにカロリー計算をされていたものの、思ったように体重が落ちずに悩まれていたとのことでした。
宇多さんの普段の食事と運動の状況を詳しく聞いたところ、体重がうまく減らないのはカロリー摂取量が多いのが原因かもしれないと考えました。そこで、コンテストまでに確実に減量を進められるよう、これまで宇多さんが設定されていた摂取量から少し減らして様子を見ることにしました。
トレーニング
もともと宇多さんはAthleteBody.jpの無料eBookを参考にトレーニングを組み立てられていて、コンパウンド種目を中心としたトレーニングを週3日行っていました。挙上成績も少しずつ伸びてきていて、ご自身でもトレーニングに手応えを感じていてたとのことでした。
宇多さんのトレーニング内容に目立っておかしなところはなく、ある程度効果も出ていたようなので、それを基に微調整する程度のプログラムとしました。これまでに宇多さんが苦手に感じたり疲労がキツいと感じたりしていた種目は別のものに置き換えました。
宇多さんのトレーニングの主なポイントは以下のとおりです。
- 週3日トレーニングする
- コンパウンド種目を中心にして、毎日全身を鍛える
- 細かな部位はアイソレーション種目で補う
宇多さんの食事とトレーニングはこんな設定で始めました。実際にどのように進んだか順を追って紹介していきます。
はじめの3ヶ月
開始当初は新しいプログラムに違和感なく入ることができ順調なスタートを切ることができました。しかし、開始から1ヶ月くらい経った頃、新型コロナウィルスが流行した影響でジムが閉鎖されてしまいました。コンテスト出場を目指す人にとって、ジムでまともにトレーニングできないのは精神的につらいものです。
幸いにも宇多さんの職場にはバーベルやレジスタンスバンドがあり、この期間はそれを使うことができました。スクワットラックやマシンはありませんでしたが、バーベルとレジスタンスバンドがあればなんとか全身を鍛えることはできます。そこで、この新しい環境に合わせてトレーニングを組み直し、3週間ほど実施していただきました。その後、ジムが再開され、はじめに設定したプログラムに戻っていただくことができました。
減量指導を始めてから約3ヶ月で宇多さんの身体は次のように変わりました。
スタート時 | 減量3ヶ月後 | |
体重 | 75.5kg | 68.4kg |
お腹まわり | 81.5cm | 73.5cm |
おおむね目標通りに減量を進めることができました。これは、はじめに決めたカロリー摂取量がうまくハマった結果だと思います。しばらくは同じ食事量を続けていただくことにしました。
また、この期間を通して挙上成績は全体的に維持することができました。これはジムが閉まっていた期間にトレーニングを続けられたのが効いたのだと思います。
減量指導開始から3〜4ヶ月
減量指導を開始してから2ヶ月くらいが過ぎた頃から、宇多さんはお仕事が忙しくなり、はじめに決めたスケジュール通りに週3日のトレーニングを行うことが難しくなっていきました。仕事によるストレスや疲労が大きくなった影響で、週1〜2日トレーニングするのがやっとという状態が2ヶ月くらい続きました。
この時期、宇多さんとのメールのやり取りで、「週3日トレーニングできない場合には、翌週に週4日以上トレーニングを行って遅れを取り戻した方が良いでしょうか」というご質問をいただきました。宇多さんが「疲れているけれどコンテストに向けてどうにかトレーニングをやらなければいけない」と焦っているのを感じました。
このとき、宇多さんには「遅れを取り戻そうと無理にトレーニング回数は増やさず、週1日でも2日でもトレーニングできるときにしっかり行えば良いと考えてください」とお話ししました。
これは、この時点で宇多さんの身体的疲労や精神的ストレスが大きくなっていたことから、無理にトレーニングするとケガや不調につながるリスクがあると考えたからです。また、短い期間であればトレーニング量が少なくても筋肉量が大きく落ちてしまう可能性は低いだろうとも考えました。
こういったやりとりを経て、週1〜2日のトレーニングを続けた結果、宇多さんの身体は次のように変わりました。
減量3ヶ月後 | 減量4ヶ月後 | |
体重 | 68.4kg | 66.2kg |
お腹まわり | 73.5cm | 70.5cm |
体重は減量開始当初に設定した目標ペース通りに落ちました。
トレーニング頻度が落ちても、宇多さんの体調が良いときにトレーニングを続けてもらうというスタイルを取りましたが、挙上成績に目立った悪影響は出ず減量を進めることができました。
減量指導開始から4〜6ヶ月
2020年は新型コロナウィルスが流行した影響で、夏前から各地のボディビルコンテストがつぎつぎと中止されてしまいました。宇多さんが8月末に出場を予定していたコンテストも中止が決まってしまいました。ここまでお仕事との両立や疲労と戦ってきた努力を無駄にはできません。
そこで2020年に開催される可能性のあるコンテストを洗い出し、出場できるものがあるかを宇多さんと話し合い、11月に予定されていたコンテストに出場することに決めました。宇多さんがもともと出場する予定だったコンテストから2ヶ月くらいスケジュールが延びたことになります。
コンテストのスケジュールは変わりましたが、宇多さんにはこれまで通りの食事量で減量を続けてもらいました。そして、減量開始4ヶ月後から6ヶ月後までに、宇多さんの身体は以下のように変わりました。
減量4ヶ月後 | 減量6ヶ月後 | |
体重 | 66.2kg | 62.8kg |
お腹まわり | 70.5cm | 68.1cm |
開始当初の予定では6ヶ月の時点でコンテストに出場するはずでした。体重は6ヶ月で75.5kgから62.8kgまで落ち、開始当初に目標とした10kg〜12kgを少し超える落ち幅となりました。この時点で十分に体脂肪が落とせていれば食事制限をゆるめて維持に切り替えることもできます。しかし、宇多さんの身体を写真で確認して、コンテストまでにもう少し絞る余地がありそうだと感じました。
そこで、コンテストまで残りの2ヶ月間、宇多さんには食事設定を変えずに減量を続けていただくことにしました。
減量指導開始から6〜8ヶ月
減量指導を開始してから6ヶ月くらい経った頃、宇多さんは股関節に不調を感じ始めていました。ある日、宇多さんがいつものようにスクワットをしたところ、トレーニング翌日に股関節に痛みが出てしまいました。これ以降、股関節の痛みによって下半身のコンパウンド種目の大部分を行えない状態になってしまいました。
このとき、宇多さんが焦っている様子がメールのやり取りで感じられ、私がしっかりサポートしていかねばと思いを新たにしたのを覚えています。
減量が終わりに近づいていたこの時点では、筋肉量の維持を一番の目標にしていました。そのためには、筋肉に負荷を掛けることが何よりも大切です。どうにかして股関節を悪化させない下半身のトレーニング種目を探す必要がありました。
股関節の状態に影響されずに下半身の筋肉を動かすことができれば、これまで行ってきた種目にこだわる必要はありません。そこで、股関節に痛みが出ずに実施できる種目がないかを宇多さんと洗い出すことにしました。
さまざまな種目を試していただいたところ、レッグエクステンションのようなアイソレーション種目なら実施できそうだということが分かりました。これを踏まえて、コンテストまでの最後の2ヶ月、下半身のトレーニングは次のようにしていただきました。
- スクワットやデッドリフトのようなコンパウンド種目は止める
- 代わりにレッグエクステンション、レッグカール、バックエクステンションを行う
- 痛みなく行えるようなら各セットでギリギリまで追い込むようにする
- 股関節に違和感が出るようなら、無理をせずにセットを中断する
このようにトレーニングを変更したところ、コンテスト直前まで全身をトレーニングし続けることができました。必ずしもベストな内容ではありませんでしたが、必要十分なトレーニングができたと思います。
食事面でも少し問題が起きていました。コンテストまで最後の2〜3ヶ月は食欲が大きくなり、設定した目標カロリー摂取量以上に食べてしまう状況が続いていました。体脂肪が少なくなると食欲が大きくなり、コントロールしにくくなることはよくあります。
ただ、宇多さんの場合は食欲が大きくなっても完全にコントロールを失ってドカ食いされるようなことはなく、設定よりもやや多めに摂っているという程度にとどまり、その状況でも体重は確実に減らせていました。そのため、この調子で行けばコンテストまでに体脂肪を落とし切ることができるだろうと考えました。
宇多さんには、食事量は設定よりも1割くらいまでなら多くなっても大丈夫ということをお伝えしてそのまま様子を見ることにしました。
コンテストまでの最後2ヶ月、宇多さんの身体は以下のように変わりました。
減量6ヶ月後 | 減量8ヶ月後 | |
体重 | 62.8kg | 60.7kg |
お腹まわり | 68.1cm | 70.8cm |
減量ペースはやや落ちましたが、体重をしっかり落とせています。
お腹まわりのサイズが増えていますが、お腹のサイズは測定をするときの位置が変わることで数値に誤差が生じることがあります。実際に身体がどう変化しているかを判断するには写真を併用すると数値のブレに惑わされにくくなります。
写真を見ると確実に体脂肪が落ちているのが分かります。これでお腹まわりのサイズは落ちていなくても体脂肪を減らせていると自信を持って判断しました。
直前の最終調整とコンテスト当日
ここまでの減量期間を終えて、宇多さんはコンテストのステージに上がる準備が整いました。
コンテストが近づくと、宇多さんから「コンテスト直前に炭水化物をたくさん摂ったり、水分や塩分を控えたりしなくても大丈夫でしょうか。」とご質問をいただきました。メールのやり取りから、宇多さんは初めて出場するコンテストに不安になっていると感じました。
選手によっては、コンディションを少しでも改善するためにコンテストの数日前から食事内容を変えて最終調整をすることもあります。しかし、このときの宇多さんの状態を考慮すると、食事内容を変えてもコンディションが良くなることはあまり期待できず、反対に身体の仕上がりを損なうリスクがあると考えました。
そこで、水分や塩分はこれまでと変えず、意識的に増やしたり減らしたりされないようにお願いして、食事量を少しだけ増やすにとどめました。これはコンテスト直前に筋肉が減るリスクを抑えることが主な狙いでした。
宇多さんは2020年11月1日には「金沢マッスルチャレンジカップ2020」に、11月15日には「マッスルゲート石川大会」に出場されました。しっかり体脂肪を落とした身体でステージに上がることができましたが、どちらの大会とも、惜しくも決勝に進むことはできませんでした。
しかし、初めてのコンテストで最後まで減量をやり切ってステージに上がったのは胸を張れることだと思います。
結果とは別に、コンテストに出たからこそ感じられることがたくさんあります。宇多さんは実際にコンテストに出て、ご自身とほかの選手の身体を比べてみて、これから筋肉をもっと増やそうと感じたとのことでした。今回のコンテスト出場は、宇多さんにとってこれからの目標をハッキリさせるのに良い経験になったのだと思います。
コーチングを振り返って:本橋の感想
宇多さんのコーチングでは、出来るだけ迷わずに減量を進められるようにということを意識して指導させていただきました。
宇多さんは初めてコンテストに出場されるということもあり、高い意欲を持ってトレーニングと食事管理に臨まれていました。宇多さんとのやり取りからは、コンテストで少しでもカッコいい身体を見せられるようにとたくさん情報を収集されていることを感じていました。ただ、宇多さんは「集めた情報が正しいのか」や「情報をどう活用したらいいのか」といったところに迷いを感じていたように思います。
実際に、宇多さんからはトレーニング用品、食事方法、サプリメントなどに関するご質問を多くいただきました。「このトレーング用品を使うとお腹まわりの体脂肪を落とすことはできますか?」や「このサプリメントはトレーニング効果を高めるのに役立ちますか?」といった内容です。
どれも熱心に取り組んでいるからこそ出てきたご質問ですが、宇多さんが触れた情報には効果がほとんど期待できないものも少なくなく、こういった情報に減量に向ける努力や意欲を奪われてしまうのは非常にもったいないと感じました。
そこで、宇多さんにはとにかく「トレーニングを継続して行う」や「カロリー収支をマイナスにする」といった基本的な部分を可能な限り実践していただくように指導を心掛けました。
コンテスト前と言っても特に変わったことは必要なく、基本的なことを確実に押さえていれば身体は変わっていくということを確認することで、宇多さんの抱えていた不安を少しでも和らげ迷いなく減量を進めてもらえたのではないかと感じています。
最後に、宇多さんの体験談をご紹介します。
宇多さんの体験談
オンラインコーチングを申し込んだきっかけですが、5年前から趣味で筋トレを始め、次第に一度はボディメイクの大会に出場してみたいという思いが強くなりました。
そのような折、AthleteBody.jpさんから大会出場予定者対象のオンラインコーチングのお話が舞い込んできて、勝手ながら背中を押された気になって応募したのがきっかけでした。
コーチングで指示されたトレーニングや食事の内容は大変興味深かったです。
これまでは雑誌やネット等で得た知識からなんとなくトレーニングしていましたが、コーチング期間を通して自分の考えが合っていた部分や間違っていた部分を確認することができました。
食事については、コーチングが始まってからそれまで自分で減量を進めていたときの食事量からカロリーを減らす提案をされました。はじめは、設定しなおしてもらったカロリー摂取量は少なすぎるのでは?と感じていましたが、結果的にはちょうど良い数字だったと思いました。
このように、コーチングを通してこれまで独学で培ってきた自分の知識をアップデートすることができたと思います。
しかし、コーチング開始直後にコロナ禍のため行きつけのジムが休業になったり、出場を予定していたコンテストが全て中止になったりして、モチベーションを保つことが難しい時期もありました。ただ、本橋さんを信じて自分にできることをやろう、いつコンテストが開催されてもいいようにボディメイクを継続しようという思いだけは強くありました。
ところが、仕事で忙しくなって帰宅が遅くなったり、身体が疲れていて眠いという理由で休んでしまったりして、週3回のトレーニングすらこなせない状態が続いたり、当初から設定されていた摂取カロリーを上回ってしまうことが多々あり、大会終了後の今となっては当時の自分がいかに甘く考えていたか思い知りました。
私は、金沢マッスルチャレンジカップとマッスルゲート石川の2大会に出場しました。金沢マッスルチャレンジカップのメンズフィジーク172cm以下級はピックアップ審査で予選落ち、マッスルゲート石川のメンズフィジークマスターズ172cm以下級はピックアップ審査は通りましたが、決勝進出はできませんでした。
初めての大会はとても疲れましたが、とても楽しかったです。40歳になってここまで何かに本気になれる機会はなかなかなく、大変貴重な経験だったと思います。
今まさに大会に出場してみたいが、何をどうしたらいいか分からないというお悩みの方がおられましたら、AthleteBody.jpさんのオンラインコーチングを受けてみるべきだと思います。
最後に、今回このような大変貴重な経験をさせていただいた本橋さんを始め、コンテスト出場まで支えてくださった皆さまに感謝いたします。本当にありがとうございました。
パーソナルコーチング
AthleteBody.jpではパーソナルコーチングを提供しています。
各個人の現状や目標に合わせてプログラムをお作りするサービスで、ボディビルコンテストに向けた減量指導も承っております。コンテストに向けた減量は数ヶ月の時間を要するもので、例年2月〜3月頃に開始される方が多いです。
パーソナルコーチングの詳細はこちらでご確認ください。