渡辺さんは初めてのコンテストに向けてAthleteBody.jpが指導させていただいたクライアントさんです。
渡辺さんは2020年9月に行われたベストボディの大会に出場しました。惜しくも決勝に進むことはできませんでしたが、厳しい減量を計画的にやり切って渡辺さんご自身は満足できる仕上がりに持っていくことができました。
パーソナルコーチングにお申し込みいただいたときにお話を聞くと、渡辺さんはトレーニングや栄養の摂り方を自己流で決められていました。しかし、インターネットや書籍などの情報を基にご自身で試行錯誤してきたものの、思ったような成果は得られなかったそうです。今回はコンテストに初めて挑戦するということで、万全の準備をするためAthleteBody.jpのコーチングにお申し込みくださったとのことでした。
渡辺さんのコーチング期間を振り返ると、減量開始からコンテスト当日まで、途中で停滞することなく順調に身体を仕上げることができました。
ここからは減量期間の実践内容を紹介していきます。
減量期間の方針
減量ペース
まず、コーチング開始時点でおおまかな方針を決めました。
渡辺さんは9月のコンテストに向けて3月下旬から減量を開始しました。1週間あたり400gくらいを目安に体重を減らしていき、6ヶ月かけて8〜10kg落としていくことを目標にしました。これはコンテストに向けた減量としては、かなりゆっくりなペースです。
減量期間に6ヶ月としっかり時間を取れたから可能な設定で、こうすることで減量中に少しでも筋肉を維持することを狙いました。
トレーニング
今回のコーチングに申し込みいただくまで、渡辺さんはさまざまなトレーニングプログラムを試されてきましたが、うまく成果を上げることができずに悩まれていました。
そのときの渡辺さんのプログラムを拝見したところ、トレーニング頻度は週5〜6回で、部位によっては1週間あたり20セット以上実施されていたところもありました。一般的な感覚からはかなりトレーニング量が多いです。渡辺さんご自身の感覚でも少し無理をしてこのプログラムを実施されているとのことでした。
そこで、コンテストに向けた減量期間はトレーニング量を減らすことをご提案しました。これは、減量中には身体の回復力が落ちる可能性があり、これまでと同じくらいのトレーニング量を維持するのは難しいと考えたからです。
以下が渡辺さんのトレーニングのポイントです。
- 上半身と下半身をそれぞれ週2回ずつ、合計週4回トレーニングする。
- コンパウンド種目を中心に行う。
- アイソレーション種目は腕や肩まわりなどコンパウンド種目では鍛えにくいところに限定する。
上のポイントを押さえたことで全体でのトレーニング量はこれまでの半分くらいに減りました。ただ、トレーニング量は少なくなっていても、コンパウンド種目を中心に行うことで、十分に効果的なトレーニングが行えるはずだと私は考えていました。
ここからは、渡辺さんの減量がどのように進んだか開始時から順を追って紹介していきます。
はじめの2ヶ月
減量を開始してから2ヶ月間で、渡辺さんの身体は以下のように変わりました。
スタート時 | 減量2ヶ月後 | |
体重 | 67.9kg | 62.9kg |
お腹まわり | 80.0cm | 71.0cm |
ベンチプレス | 70kg×10 | 80kg×10 |
はじめの2ヶ月間では1週間あたり600gくらいずつのペースで体重が減りました。これは、当初狙っていた1週間あたり400gのペースよりも少し速めです。減量が速く進むのは悪いことではありませんが、ペースが速いと空腹感が大きくなるといった悪影響が出る人もいるため、問題が出ないか注意したいところです。
渡辺さんがどう感じているか聞いてみると、空腹感はほとんどなく、トレーニングも気持ちよく行えているとのことでした。実際に、減量開始から2ヶ月間で渡辺さんの挙上成績は伸びてきています。こういったことを踏まえて、この時点までの減量ペースで大きな悪影響は出ていないだろうと判断しました。
ところで、コンテストに向けた減量計画を立てるときには「仕上がり体重」を把握できていると減量ペースを決めやすくなります。ギリギリまで体脂肪を落としたときに体重がどのくらいになるか分かっていれば、逆算して減量ペースを決められるということです。
しかし、渡辺さんに関してはコンテストに向けて減量するのが初めてで、仕上がり体重がよく分からないという状況でした。つまり、開始当初の計画どおりに体重を落としても実際に体脂肪を絞り切るには不十分な可能性が否定できません。減量終盤になってもっと減量しないといけなくなるリスクを減らす意味でも序盤から減量を速めに進めておけるといいだろうとも考えました。
こういったことを踏まえて、減量開始時の想定よりもやや速いペースですが、そのままの食事設定を続けてもらい様子を見ることにしました。
減量開始から2〜5ヶ月
減量開始から5ヶ月、渡辺さんの身体は以下のように変わりました。
減量2ヶ月後 | 減量5ヶ月後 | |
体重 | 62.9kg | 56.9kg |
お腹まわり | 71.0cm | 65.0cm |
ベンチプレス | 80kg×10 | 77.5kg×10 |
この3ヶ月の期間も順調に減量を進めることができました。減量開始時から考えると5ヶ月間、トレーニングと食事設定を変更することなく身体は大きく変わりました。
ただ、この期間には渡辺さんはトレーニングで挙上成績を維持するのが難しいと感じ始められていて、「重量や回数を維持するにはどうしたら良いか?」というご質問を何度かいただきました。減量時に多くの人が経験する悩みです。
このときは、「同じ重量や回数を維持するのに無理する必要が出てきているなら、重量を落としても大丈夫」ということをお伝えしました。挙上成績を維持しようとして無理に追い込むことになれば疲労が抜けなくなってしまい、かえってトレーニング全体に悪影響が出るリスクがあると考えたからです。
反対に重量を落としても筋肉量が一気に失われる心配はほとんどないため、ここで無理をしない方が得策だと判断しました。
また、この期間中にはイベントなどで食事量が多くなってしまった日が何度かありました。このとき、渡辺さんは減量に遅れが出てしまうのではないかと心配されていましたが、多く食べた翌日以降に普段通りの食事に戻してもらえば大丈夫ということをお伝えしました。
これは、渡辺さんはこの時点までに速めのペースで体重を減らすことができていて、食事を多く摂ることが数日あっても減量ペースに大きな影響は出ず、コンテストまでに体脂肪を十分に落とし切ることができると考えたからです。
こうして、減量開始から5ヶ月経った時点で当初目標としていた体重に到達し、いつコンテストに出ても大丈夫なくらい体脂肪が少ない状態に持っていくことができました。ここまで到達して振り返ると、減量開始時には仕上がり体重が分からなかったことも問題にはなりませんでした。
コンテストまでの1ヶ月間
コンテストの1ヶ月前の時点で渡辺さんの体脂肪はしっかり落ちており、コンテストに向けた減量はほとんど終了していました。コンテスト前にこのくらい時間の余裕を持てるのは理想的です。
ここまでの5ヶ月間はコンスタントに体重を落としてきましたが、最後の1ヶ月は少し食事量を増やし、減量ペースを和らげることにしました。これは、食事量を増やすことでトレーニングで力を出しやすくなったり、減量ペースを落として筋肉量が減るリスクを小さくしたりすることが狙いでした。
コンテストまでの1ヶ月間では、渡辺さんの身体は以下のように変わりました。
減量5ヶ月後 | 減量6ヶ月後 | |
体重 | 56.9kg | 56.5kg |
お腹まわり | 65.0cm | 63.0cm |
ベンチプレス | 77.5kg×10 | 77.5kg×10 |
最後の1ヶ月間では体重はほとんど変わりませんでしたが、体脂肪がさらに落ちて身体の仕上がりに非常に大きな違いが表れました。食事量を増やしたことでカロリー収支のマイナス幅がうまくハマったり、トレーニングに全力で取り組めたことが良かったのだと思います。
直前の最終調整とコンテスト当日
ここまでの減量期間を終えて、渡辺さんはコンテストのステージに上がる準備が整いました。
選手によっては、コンテストの数日前に少しでもコンディションを改善するために、水分、塩分、炭水化物の摂取量を調整することがあります。コンテスト直前では、渡辺さんについてもこういう食事方法を取り入れるかどうか検討する必要がありました。
ただ、このときの渡辺さんの状態を考慮すると、食事内容を変えてもコンディションが目立って良くなるとはあまり期待できず、反対に仕上がりを損なうリスクがあると考えられました。そこで、コンテスト直前の1週間では食事量をわずかに増やすにとどめました。これはコンテスト直前で体重がこれ以上大きく減らないようにし、筋肉を少しでも維持することを狙ったもので、仕上がりを改善する調整とは意味合いが違うものでした。
2020年9月21日、渡辺さんはベストボディ宇都宮大会に出場されました。コンテスト当日は体脂肪を落とし切った身体でステージに上がりました。渡辺さんご自身も減量をやり切った手応えは感じられていましたが、惜しくも予選を通過することはできませんでした。
しかし、この身体の仕上がりに持ってくるのに、2020年のシーズンでやるべきことは間違いなく全てやり切りました。初めてのコンテストでこのレベルまで体脂肪を落としてステージに上がったのは胸を張れることだと思います。
担当コーチ本橋の感想
渡辺さんは初めてのコンテスト出場でしたが、素晴らしい仕上がりでステージに上がることができました。渡辺さんの減量に関して特に良かったと感じることを振り返ってみます。
まず、減量期間を十分に長く取れたことです。
コンテストに向けた減量では、一般的に「カッコいい」とされる身体をつくるときよりも体脂肪をさらに削ぎ落としていきます。一般的な減量よりも体脂肪を落とす量が大きくなるので、減量に必要な時間も長くなります。
また、コンテストに向けて減量するときは筋肉を維持することの重要性も高くなります。そのためには減量をゆっくり進めることが必要で、結果的に減量期間は長くなりがちです。
そのため、減量開始時点の身体の状態から減量に掛かる期間をしっかり見極めて、出場するコンテストや減量スケジュールを決めることがとても重要です。
渡辺さんの場合はコーチングのお申し込みをいただいたとき、まず身体を拝見して減量期間を6ヶ月取るという計画を立てました。それを前提に出場できるコンテストを探し、9月のベストボディに照準を定めました。
減量期間を長く取れると食事制限をゆるめることができ、続けやすくなります。ただ、コンテストに向けて減量するときには、身体的に必ずしも健康とは言えないレベルまで体脂肪を落とすことになります。ここまで身体を絞るのは非常に苦しく、途中で投げ出してしまいたくなることも少なくありません。実際に、渡辺さんもコンテスト直前には、心も身体もキツいと感じていたことがあったそうでした。
こういう苦しい時期をやり切ることができたのは渡辺さんが気持ちで負けなかったからだと思います。私はメールのやり取りから減量を最後までやり抜こうという渡辺さんの強い意志を感じていました。
実は渡辺さんにとって2020年は、奥さまが10月に出産予定を控えていたり、渡辺さんご自身が新しい事業を立ち上げるのに準備を進めたりと、人生の転機ともいえる年でした。こうした中で、「フィジーク競技も、父親も、仕事も、すべてやり抜く」という気持ちを持っていたそうです。減量がいよいよ苦しくなる終盤にも渡辺さんに強い決意があったことが大きな力になり、今回のような素晴らしい仕上がりに繋がったのだと思います。
あらためて、フィットネス指導者としては、こうしたクライアントさんのやる気を大切にして、サポートすることが大切だと感じました。
最後に、渡辺さんの体験談をご紹介します。
渡辺さんの体験談
コーチング期間を終えて、身体作りは科学という事を改めて実感しました。
はじめに、トレーニングと食事のメニューをいただいた時に、トレーニングはボリュームが少ないように思えましたし、食事量は多いように思えて驚きました。
しかし始めてみると全て意味があり、後半の回復ペースまで見据えた綿密に練られた戦略で、減量が進めば進むほど納得でした。
定期の経過報告で、今の身体の状態やメンタル、これから起こる身体の変化をズバズバ言い当てられるので本橋さんは超能力者かと思いました笑
コーチング前と比べて、以前はとにかく頑張ればいいという考え方でした。今思うとネットの情報を鵜呑みにして振り回されてたように思います。例えば、次のようなことをしていました。
- 極端にカロリーを落とす
- 長時間毎日トレーニング
- 高級なサプリメントを飲みまくる
こんな感じでガムシャラにやってましたが全然カッコいい身体にはなれませんでした。
今回は本橋さんの指示通り進めていくだけみるみる身体が変わっていくので感動でした。
パーソナルコーチングをお願いする前よりも遥かにストレス無く減量を進められたと思います。
やはり科学的根拠を基にアドバイスをいただけた点が大きいと感じます、とにかく情報の質が高いので不安や迷いなく取り組めました。
アスリートボディさんのオンラインコーチングを受けようか迷っている方へ。
特にお勧めしたい人は、私のようにトレーニングを頑張っているつもりなのに身体が思うように変化せず行き詰まってしまっている人には最適だと思います。
とにかく情報の質が高いので、何をすれば良いか?という方法論だけでなく、何故それが必要なのか?という身体づくりの本質を知る事ができます。パズルが組み上がるように色んな疑問が解決しながら、身体の変化を実感していくのはある意味爽快でした。
学びを深めながら身体を仕上げていけたのでやってよかったです。今回のようなチャンスを頂けた事は本当に幸運だったと思います。
本橋さん、本当にありがとうございました。
パーソナルコーチング
AthleteBody.jpではパーソナルコーチングを提供しています。
各個人の現状や目標に合わせてプログラムをお作りするサービスで、ボディビルコンテストに向けた減量指導も承っております。コンテストに向けた減量は数ヶ月の時間を要するもので、例年2月〜3月頃に開始される方が多いです。
パーソナルコーチングの詳細はこちらでご確認ください。