栗田さんは初めてのボディビルのコンテストに向けてAthleteBody.jpで指導させていただいたクライアントさんです。
栗田さんは2020年に行われた「マッスルゲート神戸大会」に出場しました。惜しくも決勝に進むことはできませんでしたが、栗田さんが納得いく身体の状態でステージに上がることができました。
以前、栗田さんはフィジークのコンテストに出場したことがありました。ただ、そのときには体脂肪を落とし切れず、ご自身が納得できる身体の状態でステージに上がることができませんでした。
また、そのときのコンテスト直前には、体脂肪を少しでも落とそうと食事量を減らした結果、いつも疲労感がひどく日常生活にまで支障が出てしまっていたとのことでした。そこで2020年のシーズンではこうした失敗を避けるためにAthleteBody.jpのパーソナルコーチングにお申し込みいただきました。
コーチング期間中は減量がなかなかうまく進まない時期はありましたが、停滞を乗り越えて栗田さんご自身が納得できる仕上がりでコンテストのステージに立つことができました。
ここからはコンテストに向けた期間の実践内容を紹介していきます。
減量期間の方針
減量ペース
はじめに栗田さんのコンテストに向けた減量期間のおおまかな方針を決めました。
栗田さんは7月のコンテストに向けて3月下旬から減量を開始しました。1週間あたり300〜400gくらい体重を減らしていき、4ヶ月間かけて6kgくらい体重を落としていくことを目標にしました。これは非常にゆっくりな減量ペースです。
こうすることで食事量をある程度確保することができ、空腹感に耐えられなくなったり減量がキツすぎて疲れが抜けなくなったりしにくくなることを狙いました。
トレーニング
もともと栗田さんは1日に2〜3時間のトレーニングを週6日行っていました。一般的な感覚からはかなりトレーニング量が多いです。栗田さんは身体を動かすことが好きでこのトレーニングを楽しまれていましたが、挙上成績は全体的に停滞していて、種目によっては記録が落ち始めているとのことでした。
このとき栗田さんご自身はトレーニングによる疲労を感じていないとのお話でしたが、私は栗田さんが行っているトレーニング量が多すぎる可能性が気になり、トレーニング量を一旦減らして様子を見てみようとご提案しました。
以下が栗田さんのトレーニング内容の主なポイントです。
- 上半身と下半身をそれぞれ週2回ずつ、合計週4回トレーニングする。
- コンパウンド種目を中心に行い、1回のトレーニングは1〜1.5時間に収まるようにする。
- コンパウンド種目では鍛えにくい部分はアイソレーション種目で補う。
また、栗田さんは身体を動かすのが好きだということだったため、身体の回復に支障が出ない範囲で、トレーニング量を減らしすぎないようにも注意しました。これは、長い期間減量を進めるには栗田さんが気持ちよくトレーニングを続けられることが大切だと考えたからです。
ここからは、栗田さんの減量の指導について、時系列を追ってご紹介していきます。
はじめの1ヶ月
減量指導を開始してから1ヶ月間で、栗田さんの身体は以下のように変わりました。
スタート時 | 減量1ヶ月後 | |
体重 | 66.7kg | 66.5kg |
お腹まわり | 76.8cm | 74.3cm |
はじめの1ヶ月間では、当初狙っていたほどは体重は落ちませんでした。ただ、お腹まわりのサイズは小さくなっています。そして、減量指導を開始したときと1ヶ月後の体形を比べてみると、お腹まわりがスッキリしているように見えます。
お腹まわりのサイズが落ちたことと合わせると、体脂肪が減った可能性を示しています。体重があまり変わらなかったのは、身体の水分量などが増えたのが影響していたかもしれないと考えました。
栗田さんは体重の減り幅が小さいことに不安を感じられていましたが、体脂肪は減っている可能性があることを伝えたところ、安心していただけたようでした。そして、しばらくは減量開始時に設定した食事量を続けてもらい様子を見ることにしました。
自宅トレーニング
減量指導を開始してから約1ヶ月経ったところで、新型コロナウィルスが流行した影響で栗田さんが通っているジムが閉鎖されてしまい、コーチング開始当初から行ってきたトレーニング内容を続けられなくなってしまいました。
ジムに通えない期間のトレーニングについて栗田さんと話し合ったところ、栗田さんは幸いにもダンベルとレジスタンスバンドを持っていたため、ジムが再開するまでは自宅でトレーニングを続けていくことにしました。
ただ、栗田さんが持っているダンベルは合計40kgまでに限られており、スクワットのように大きな重量を使える種目では、高負荷とは言えない条件になってしまいました。そこで、こういう種目に関してはどれだけ高回数になっても各セット限界ギリギリ近くまで持っていくようにしていただきました。これは、使う重量が小さくてもギリギリ近くまで筋肉を疲労させることで、少しでも筋肉量を維持しやすくなることを意図しています。
自宅でトレーニングする期間は1ヶ月以上続きましたが、この期間での栗田さんの身体は次のように変わりました。
減量1ヶ月後 | 減量2.5ヶ月後 | |
体重 | 66.5kg | 65.6kg |
お腹まわり | 74.3cm | 71.8cm |
体重はあまり変わっていませんがお腹まわりのサイズは落ちており、体脂肪が落ち続けている可能性を示しています。この期間中、もともと行う予定だったトレーニングを続けることはできませんでしたが、減量を進めることができたのは良かったと思います。
自宅でのトレーニングを始めて約1ヶ月後にジムが再開され、当初予定していたトレーニングに戻ることができました。
ジム再開後から2ヶ月間
ジムでトレーニングを再開したのと同じくらいの時期に、新型コロナウィルスの影響で、栗田さんがもともと出場を予定していたコンテストの中止が決まってしまいました。
そこで2020年に開催される可能性のあるコンテストを洗い出し、出場できるものがあるかを栗田さんと話し合い、10月31日に予定されていた「マッスルゲート神戸大会」に出場することに決めました。栗田さんがもともと出場する予定だったコンテストから3ヶ月くらいスケジュールが延びたことになります。
この時点で栗田さんの身体の状態を確認したところ、体脂肪を減らせる余地がまだあると感じたため、延びた減量期間を目一杯使ってこのまま減量を進めていこうと判断をしました。
ジムでのトレーニング再開してから2ヶ月半で、栗田さんの身体は以下のように変わりました。
減量2.5ヶ月後 | 減量5ヶ月後 | |
体重 | 65.6kg | 62.5kg |
お腹まわり | 71.8cm | 69.5cm |
筋肉の輪郭が少しずつハッキリしてきています。体重、身体のサイズ、写真での体形の変化から、このまま減量を続けていけば、コンテストまでに十分に体脂肪を落とし切れると期待できました。
減量の停滞と体重増加
この時点まで栗田さんは順調に減量を進めてきましたが、ジムでのトレーニングを再開して2ヶ月を過ぎた頃から体重と身体のサイズがまったく落ちなくなってしまいました。写真で体形を見ても変化がほとんど見られなかったことから、減量が停滞している可能性があると考えました。
この時点でコンテストは約1ヶ月半後に迫ってきており、栗田さんとのメールのやり取りから、栗田さんは残り期間で体脂肪を落とし切ることができるか不安になり始めているようでした。そこで、停滞を打破するために1日の食事量を減らすことにしました。こうすると体重は落ち始めるはずです。
ところが、食事量を減らしてから2週間経っても体重は落ちずに、反対に体重は増えていってしまいました。写真で体形を見ても、減量が進んでいる様子は見られません。
何かがおかしいです。
こういうことが起こる場合、カロリー計算をするときに計算間違いをしてしまっていたり、本人が意識していないうちに食べる量を増やしているものがあったりすることが少なくありません。
そこで、栗田さんには以下のことを確認するようにお願いしました。
- カロリー計算をするとき、食品の重さを正確に量れているか。
- 調理用の油や、ソースやマヨネーズなどの調味料を増やしていないか。
- 飲み物やサプリメントなどで、カロリー計算に含めていないものはないか。
また、栗田さんの食事量を把握するために、1日に食べているものとその重さを書き出してリストを送っていただきました。
このように詳しく食事内容を聞き取ったところ、栗田さんは口寂しさを紛らわすために調味料を増やして味付けを濃くしており、それがカロリー摂取量を大きく増やしていたようでした。例えば、マヨネーズやドレッシングは高カロリーな商品も多いので、感覚的には少し増やしただけでも厳しい減量では大きな意味を持つことがあります。
本来の目標カロリー摂取量におさまるように調味料の使い方を調整してもらいました。また、減量ペースを少し上げてコンテストに間に合わせるため有酸素運動を1週間に2時間取り入れてもらいました。
コンテストまでの1ヶ月間では、栗田さんの身体は以下のように変わりました。
減量6ヶ月後 | 減量7ヶ月後 | |
体重 | 62.5kg | 60.5kg |
お腹まわり | 70.1cm | 70.1cm |
1ヶ月間で体重が大きく落ちています。それに対してお腹まわりのサイズはまったく変わっていませんが、写真を見るとお腹まわりがスッキリし、筋肉の輪郭がハッキリ見えるようになっています。減量が停滞したり体重が増えたりした原因を見つけて対処したことで、コンテストまでになんとか体脂肪を落とすことができたと言えると思います。
直前の最終調整とコンテスト結果
栗田さんはコンテスト前までに体脂肪を落とすことができ、これでおおむねコンテストに向けての準備は終わりです。
選手によっては、ここから少しでも良いコンディションでステージに上がれるように、コンテストの数日前に炭水化物を増やして最終調整することがあります。コンテスト直前では、栗田さんについてもこの食事方法を取り入れるかどうか検討する必要がありました。
ただ、そのときの栗田さんの体脂肪量などを考慮すると、炭水化物の摂取量を増やしてもコンディションが良くなることはあまり期待できず、反対に身体の仕上がりを損なうリスクがあると考えられました。そこで、今回のコンテストではこうしたリスクを取らずにここまでの食事内容を続けていくと判断しました。
栗田さんは2020年10月31日に行われたマッスルゲート神戸大会でボディビル65kg以下級と新人の部に出場しました。コンテスト当日、栗田さんの筋肉は張りがあり、身体の状態はとても良さそうに見えました。また、ポージングもしっかり練習されていたように見え、うまく筋肉を審査員にアピールできていたと思います。
65kg以下級と新人部門ともに、残念ながら決勝に進むことはできませんでした。後日に審査結果を確認すると、予選を勝ち抜いた選手たちとはホンのわずかな差でした。
ただ、コンテスト後のメールのやり取りでは、栗田さんは当日の身体の状態にとても満足されていました。初めてのボディビルコンテストでご本人が満足できるところまでしっかり体脂肪を落とせたのは胸を張れることだと思います。
担当コーチ本橋の感想
コーチング期間を振り返って私が感じたことを少しお話しします。
2020年は栗田さんにとっては2回目のコンテストシーズンでした。特にボディビルへのあこがれが強くあったようで、初めてのボディビルコンテストであることも重要なポイントなのだと私は感じていました。
ボディビルのコンテストでは筋肉量が求められます。栗田さんはトレーニング歴が3年ほどで、勝つことを目指すなら筋肉量がネックになるだろうとは感じました。
しかし、栗田さんは以前のコンテストで思うように減量を成功させられなかったことが強く心に残っていたようでした。勝つことがコンテストのすべてではなく、準備期間を全力でやり切って、そのことに胸を張ってステージに上がることにも大きな価値があるのだと思います。
栗田さんの減量期間には苦しい場面がさまざまありました。しかし、栗田さんはどんなときでも忍耐強く、ときに前向きに過ごしていたのが強く印象に残っています。
ジムが閉鎖されて自宅でトレーニングをしていく必要があった時期のことです。私は栗田さんの筋肉量をできるだけ維持できるようにプログラムを作成しましたが、栗田さんは十分にトレーニング出来る環境になかったため、トレーニング中の集中力や減量に対するモチベーションが失われないか少し不安に感じていました。
しかし、このとき栗田さんは少しでもモチベーションを保つためにいろいろな工夫をしていました。例えば、セット間休憩のときに鏡の前に立って、そのときに鍛えている筋肉を動かす練習をすることでトレーニング中の集中力ややる気を保つようにしたそうです。また、「他の人が休んでいるかもしれない時こそ自分は頑張ろう」という思いでトレーニングをして、この時期を乗り切ったとのことでした。
このように制約がある中でもそのときに出来ることを見つけて実施される栗田さんの姿に感銘を受けたのを覚えています。
また、コンテスト直前に減量が停滞し食事量を減らしたときには、食物繊維を多く摂ったり自分にとって空腹になりにくい食品を探したりと、少しでも満足した食生活を送れるように努力されていました。
この栗田さんの前向きな姿勢が、諦めずにコンテストに向けて減量を続けられたことにつながったのだろうと思います。
トレーニングを十分に行えなかったり体重が減らずに苦しんだりと困難な場面はありましたが、2020年のシーズンを栗田さんが満足して終えることができたのは本当に良かったです。
最後に、栗田さんの体験談をご紹介します。
栗田さんの体験談
今回7か月間のコーチングを受け、自分の身体を変えることに本気で取り組むことの難しさ・楽しさを知ることが出来ました。このような機会をいただけたことに本当に感謝です。本当にありがとうございます。
振り返ると2月、たまたまアスリートボディジャパン様のツイッターをフォローさせていただいていたのがコーチングに応募したきっかけでした。
youtubeやネット等でダイエットや減量に関する様々な情報が溢れかえる中、何が本当なのか困惑することが多く、自分の身体に合う情報はどれなんだろうと思っておりました。
パーソナルコーチングが始まってから実際に指導いただく内容は食事の管理、トレーニング・体重・サイズ等の数字の記録などで、一見シンプルですが根気強く続けること、数字を管理することの大切さを痛感しました。
日々の見た目の変化は微々たるものですが、身体のサイズや挙上重量などを明確に管理することで変化を振り返ることができることを感じました。これまではこういった項目はざっくりとしか管理できていなかったのですが、そこの部分を明確に記録することで自分を客観的に見ることができたと思います。
コンテストに向けての減量期間では、途中なかなか減量ペースが上がらず焦っていた時期もありました。朝に体重が減っていなかった時、仕事で疲れて帰ってきたときには、心が折れそうになったことが何度もあります。また、通っているジムの皆さんから大丈夫?間に合う?というように指摘を受けたりした時も不安になることがありました。
ただ、そんなときにも減量の経過をチェックしていただき、そのときの状況にあった指導をしていただける点が凄く心強かったです。
また、このコンテストに向けての準備期間、ライフスタイルや考え方を見直すきっかけになりました。減量もこれしか食べられない、不満だ、と捉えるのではなく、決められたバランスの中で如何に工夫して満足感の高い食事にするか、という考え方ができるようになりました。
そして何より目標に向かって本気で取り組むことの楽しさが分かりました。今回ボディビルコンテストに出て、ステージに上がることの楽しさを覚えてしまいました。コンテストに出たことで分かった弱点を今後の課題として改善していきたいと思います。
来年は今年開催されなかった愛知クラシックボディビルに出場して、表彰台に上がります!
勝手ながらまたその際はご報告できればと思いますので、よろしくお願いいたします!
今回7か月という減量期間でしたが、自分の納得のいく身体を作ることができたのは、凄く自分の自信につながりました。半年間、本当にありがとうございました!
パーソナルコーチング
AthleteBody.jpではパーソナルコーチングを提供しています。
各個人の現状や目標に合わせてプログラムをお作りするサービスで、ボディビルコンテストに向けた減量指導も承っております。コンテストに向けた減量は数ヶ月の時間を要するもので、例年2月〜3月頃に開始される方が多いです。
パーソナルコーチングの詳細はこちらでご確認ください。