肉体改造にブランドは必要か?

投稿者 : Andy Morgan

肉体改造にブランドは必要か?AthleteBody.jp

ダイエットって大半が失敗します。うまく体重・体脂肪を落とせたとしても、その大半がリバウンドして元に戻ってしまいます。
ちゃんとプランを立てて少していねいに進めれば、ダイエットの苦痛もリバウンドの心配も小さくできるんですが、やっぱり目先の変化に目が行きがちです。
最近、とにかく短期間で思い切り体重を落として、ハデな前後比較写真をバラまいているプライベートジムがあります。大きなブランドになって、一般の人には「ここに入会さえすれば変われるかも」と考える人も少なくないですが、実際は無責任な販売戦略です。

名前の向こうの中身をみる

ダイエットもトレーニングも原則がある

糖質制限ダイエット、置き換えダイエット、ケトジェニックダイエットなどなど、リーンゲインズに限らず、世の中には無数のダイエット法があります。体脂肪を落としたいときはどれがいいのか?

自分の生活に合ってカロリー収支をしばらくマイナスにできれば、なんでも体重は落ちます。逆に、カロリー収支が変わらなければ、断食しても、どんなゼリーと置き換えても、サプリメントを摂っても、マズいお茶を飲んでも体脂肪は減りません。これを熱力学第一法則といいます。

急激な減量は、短期間で見た目を大きく変えられるのでインパクトがあります。必要以上につらく、長期間持続できないことが多いので、ウチのクライアントさんにはオススメしませんが、「2ヶ月で15kgダウン!」なんて売り文句を掲げているのは、それだけカロリー制限をしたってことです。

カロリー摂取量を変えると、三大栄養素の摂取量が変わります。いまの体形と目標に合わせて、どのくらいの摂取量や配分が良いかを考えるのが大事なところで、ダイエットコーチの腕の見せどころでもあります。
「言うは易し」で、実際は何度か失敗してから気付く人が多いですが、この食事量の調整がしっかりできれば、××メソッドでも、△△式でも、リーンゲインズでも同じ結果を出すことはできるはずです。

トレーニングでも同じことが言えます。このサイトでは、バーベルを中心にしたウェイトトレーニングを勧めていますが、ほかにもファンクショナルトレーニングと呼ばれるものや、加圧トレーニング、高強度インターバルトレーニングなど、いろんな「メソッド」があります。どれも画期的な効果があるような売り文句が付いてきます。

どんな方法を使うにしても、実際に筋肉を付けて身体を変えたいと思えば、漸進性過負荷の原則に従って段階的に負荷を上げていく必要があります。これを押さえられれば、バーベルでなくても、ダンベルでもケトルベルでも効果的なトレーニングはできます。
つまり、身体づくりには絶対動かせない原理原則があって、まずはそこから考える必要があるということです。

新しいダイエットやトレーニングはどんどん出てきます。□□法や◯◯プロトコルなんて名前が付いた新しい方法を見つけたら、「実際に効くのか?」そして、なにより「なぜ効くのか?」を考えてみてください。
答えが見えなかったり、ハッキリ説明をもらえない場合には、新手のイメージ戦略っていう線を疑ってみるのが賢いでしょう。

今そこら中に出まわっているイメージ戦略

上に書いた高級プライベートジムはこの典型的な例です。テレビCMにタクシーや電車の車内広告がそこら中にあふれていますが、「良い仕事をすること」にプライドやこだわりを持っているトレーナーやコーチの中には、苦々しい気持ちで見ている人も少なくないと思います。

実はしばらく前に興味本位でこのジムの無料カウンセリングを受けに行ってみたことがあります。
残念ながら、応対してくれたお姉さんの話はボンヤリしていて、なにも具体的なことを聞くことはできませんでした。ダイエットプランの詳細は、料金を払って入会してからトレーナーから指示があるということだったのです。そこで自分でちょっと考えてみました。

体重を15kg落とすといっても、その内の数kgはおそらく体内の水分やグリコーゲンが減る分があります。これはダイエットをやめて普通に食べ始めるとすぐに戻る体重です。
それを踏まえて、例えば2ヶ月で体脂肪を10〜15kg落とすとなると、カロリー収支のマイナス幅は1日1200kcal〜1800kcal程度になります。これは実質、ほとんどの人にとって1日500kcalで暮らすような生活になります。
炭水化物は完全にカットして、高たんぱく質・低脂肪という食事設定が見えてきます。即効性はありますが、長く継続することができず、2ヶ月後には燃え尽きてリバウンドの入り口が見えているようなダイエットです。

例えば、とにかく2ヶ月後にせまった結婚式までにお腹を引っこめることだけ考えている女性にはそれで良いかもしれません。
しかし、1年を通して身体を作って維持していくには、長期的な目標やプランを持って取り組む必要があります。真剣に身体づくりに取り組もうと思っているトレーニーや、そういうクライアントをサポートする立場のトレーナーはそんな極端な作戦を選ぶべきではありません。ムリなペースでの減量に付いてくる弊害はいろいろあります。

  • 筋肉を維持するのが難しくなる。
  • 減量に伴うホルモンバランスの乱れが大きくなる。
  • 必要以上に空腹感に苦しむことになる。
  • イライラしたり、集中力がなくなったりする。
  • ムリな食事制限は持続できず、終わったとたんコントロールが効かなくなる。
  • リバウンドを繰り返すと、身体の脂肪細胞の数が増え、レプチンというホルモンの分泌が変化し、空腹感を感じやすくなり、体脂肪を落とすのが難しくなっていく。

自分のクライアントが減量とリバウンドを繰り返しているのは、トレーナーとしての信頼や評判にも決してプラスではないので、賢いトレーナーはこういうムチャはしないものです。
しかし、テレビCMで「あのジムに行けば誰でも2ヶ月で15kgヤセられる」というカン違いが広まると、まともなトレーナーは仕事がしづらくなります。

上に原則の話をしましたが、テレビCMのブランド力があっても無くても身体を変えるのに必要なことは変わりません。ブランドジムに通ってもムチャをすれば継続できなくなるし、いろんなリスクもしっかり付いてきます。ブランド名ではなく中身に目を向けるのが重要です。

高級ジムでのカウンセリングに話を戻します。
「たんぱく質ばかりの食事ですか?」と聞いたら、「特製のプロテインパウダーを使えば大丈夫ですよ」と勧められました。

プロテインパウダー ぼったくり


値札を見てしばらく何のことだか分かりませんでしたが、本当にこの値段で売られています。一般に販売されているプロテインの11〜12倍です。(写真は消費税5%時の表記です。)
「特別に開発したプロテインパウダーで、長い時間アミノ酸を供給する」という触れ込みになっています。
一般的なホエイプロテインよりもゆっくり消化吸収されるカゼインプロテインを使っているのでしょう。ゆっくり吸収されるプロテインは以前からあって、特に新しいものでも高価なものでもありません。魔法のような効果があるわけではないので、摂取量が変わらなければ、本当に意味のある違いにはなりません。それでも11倍の値段を出させてしまうのがブランド力・イメージ戦略の恐いところです。

「ダイエットの詳細は、加入後にはじめのセッションでトレーナーに相談してください。専門の教育を受けた最高レベルのトレーナーなので、なんでも聞いてくださいね。」という話でした。プランづくりをするだけの1セッションに何万円か掛かるわけです。
実際に会わせてもらえなかったので、どのくらいの知識レベルなのかは分かりませんでしたが、最近Twitterでこんな画像を見つけました。

素人 トレーナー 3週間

未経験OKで、研修は1ヶ月までだそうです。もちろん私は加入しませんでしたが(笑)

身体を変えたくてトレーナーにつこうと思う場合は、スタート前に以下のポイントに注意してみましょう。

  • 食事面で具体的なプランの説明を受けられるか?
  • トレーニングについて具体的な説明があるか?
  • トレーナー本人から話を聞けるか?
  • 減量ペースなどが非現実的な目標設定になっていないか?
  • サプリメントを推してこないか?
  • 自分の希望に対してなんでもかんでもYESと言っているだけではないか?
    (最後の点について、最近河森コーチも似た内容の記事を書いていました。)

ハデさに訴える高級ジムが大きな顔をして、まともなトレーナーは仕事がしにくくなり、新しくフィットネス業界に入ってくる若いトレーナーはそのシステムに飲み込まれてまともな仕事を覚えられない。
今回はこんなトレンドをどうにかしたくて記事にしてみました。こういうサービスが大きな顔をしているのは、実際にこれにお金を出す人がたくさん居るからです。
ちょっと調べて、ちょっと考えて、賢い消費者になりましょう。

この記事を見て「もっともだ」と思われたらFacebookやTwitterでシェアしてもらえると嬉しいです。普段はお願いしないようにしているんですが、今回は多くの人に見てもらうことに意味があると思います。

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Andy Morgan

イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナーです。
日本に住んで12年。たくさんの人にお世話になり日本が大好きになりました。その恩返しに日本では情報の少ない欧米のダイエット方法と、数百人の英語圏のクライアント指導経験で得たノウハウを公開しています。
趣味はスノーボードと読書。コメントの返信は間違いのないように英語を使っていますが、東野圭吾の小説を読むのが好きです。テレビでは「相棒」と「クレヨンしんちゃん」のファンです。

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イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナーです。日本に住んで11年。日本が大好きになりました。 欧米のダイエット情報と数百人の英語圏のクライアント指導で得た経験を日本に広めるためノウハウを公開しています。
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