ストレス、生活環境、とにかく食欲旺盛など、人が太る理由はいろいろありますが、肥満の人が身体を変えて、それを維持していくのは簡単ではありません。肥満から割れた腹筋が見えるような良い身体を目指すとなるとなおさらです。
フラフラになるほど運動量を上げて、食事をギリギリまで制限して追い込むような典型的なやり方は、頑張っている感は味わえても、継続可能な体形改善を目指すには最悪です。頭では「ゆっくり時間を掛けたほうが良いんだろうな」くらい考えていても、いざ自分のことになると「とにかく早く結果が欲しい」という気持ちがわいてくるものです。さらに、結婚式や同窓会などデッドラインを作ると気持ちはますますはやります。
ジョンは、通常3ヶ月で終了するウチのコーチングサービスを18ヶ月に渡って続け、上の写真の変化を遂げました。18ヶ月は最長記録ですが、ジョンがそこに至るまでにはさらに長い道のりがありました。コーチング終了時にジョンに話を聞いたインタビューを紹介します。
クライアントインタビュー John
インタビューに応じていただいてありがとうございます。
ご職業を教えてもらえますか?
ある有名なマスコミ関係の企業で、Unixのシステム管理をしています。
若い時は良い身体をしていたそうですが、太った経緯は?
座りっぱなしの職場環境で、1年中24時間電話一本で呼び出されるポジションだから、1日中働いていたり、睡眠を思うようにとれなかったりする生活が続いていました。
食事はコンビニなんかの加工食品が多かったです。これがクセモノで、食欲のコントロールが効かなくなってドカ食いする負の連鎖につながるんですよ。このパターンにはまったら、もうカンタンに健康を損なってしまいます。
その気になったら、努力と根性でいつでも体重を落とすことはできました。でもよくある話ですが、15lbs〜25lbsくらい落としてはリバウンドの繰り返しで、歳をとるごとにうまくいかなくなって、リバウンドのたびに5lbs、10lbsと体重は増えていきました。
2001年からずっとインターネット上のフィットネス情報を追い続けてきたと話していましたが、ウチのコーチングに申し込んだきっかけは?
これまでに何人かインターネット上で申し込める有名なトレーナーのサービスに申し込んできました。
指示されたプログラムやダイエットはスタート時点はすべて結果が出ました。ただ、その結果を維持したりさらに伸ばしていくには、ジムで過ごす時間が長くなり、カロリー制限も厳しくなることが問題でした。
ぶっちゃけ自分はどれだけジムに時間を費やせるか、どれだけチキンサラダと味気ないジャガイモの食事を続けられるか、考えざるを得ませんでした。
ある人気オンライントレーナーのプログラムを実践していたとき、はたと気づいたんです。私は有酸素運動を1日2時間していました。体重は確実に減っていましたが、自分のやっていることに見合った成果が出ていないような気がしました。ある日曜日、有酸素運動をするために朝6時に起きると、ヒザに痛みがありました。始める前に自問自答してみたんです。
「週に3〜4日のトレーニングと、1日2時間の有酸素運動、60歳になってもオレは続けられるか?」
当時、私はまだまだ元気な40歳で、ガマンすればやりきることができました。そりゃ世界を見れば、70歳でバリバリ現役でトライアスロンをする人も居ますけど、私はそうなりたいと思っているワケでもありません。直感的に、何か自分が続けられるものを見つけないといけないと悟りました。
ちょうどインターミッテント・ファースティングという目新しいものを見つけて、自分で2回試してみましたが、うまくいきませんでした。はじめは調子よく結果が出るんですが、行き詰まった時にうまく調整することができませんでした。この方法でうまく使いこなせる人の手助けが欲しいと思った頃、RippedBody.jpを見つけました。サイトには、ハッキリと「本当にリーンゲインズがやりたければマーティン・バークハンにコーチング申し込みするように」と書いてありましたが、彼は忙しかったのでアンディにお願いすることになりました。
コーチングに入ってからの成果は?
いま振り返ってみると完璧でした。アンディも覚えていると思うけど、やっている最中は1週間に1.5lbs(約700g)っていう減量ペースにイライラしたこともありました。他のトレーナーのプログラムでは3〜6lbsくらいのペースで体重を落とした経験があったからです。もちろん、もっと制約がキツく、それだけのことをしないといけなかったんですが、クライアントっていうのは勝手なもので喉元すぎればそんなこと忘れてしまいます。
ここまでの私の歩みをざっとまとめて言うとこんなところです。1週間に1.5lbsを積み重ねて50lbsにするには時間がかかりますが、私の場合は、これ以上ないというくらい一定のペースを保って一直線に進められた方じゃないかと思います。
特に良かったのは、何ヶ月も筋力を伸ばし続けられたことです。私の記憶が正しければ、高校時代の体重185lbs(約84kg)を切るあたりまでトレーニング記録は落ちなかったと思います。記録が落ちたのは案の定ベンチプレスでした。こんなに大きく体脂肪が落ちると可動域が変わるので仕方がないことだと理解していますが、減量が終わって増量に切り替えるときがきたら取り戻したいと思います。
ここまでやってみて驚いたことやイライラしたこと自由に話してください。
ここまでやってきて、いまだにインターミッテント・ファースティングとリバースピラミッドトレーニングの組み合わせがいかにシンプルで効果的かということに驚きます。友だちも家族も私がこんなに劇的な変化を遂げるのに、週2時間ジムに通っただけということが信じられないと言います。私も自分で体験していなければ信じられたか分かりません。私の場合は、とても無理なく自然に毎日のスケジュールに組み込むことができました。
なにかイライラを感じることがあるとすれば、今回学んだ考え方を20代のときに知っていたら、大人になってからずっといまのような健康な状態を保つことができたのにということです。
私はダイエットと運動に関して、何年も出口のない堂々巡りを繰り返し、まったく意味のないサプリメントに何千ドルも費やしてきました。その時間とお金は、がむしゃらに目標を追い掛けるのではなく、かしこく効率的に目標に近付けることを学んだレッスン代だと考えることにします。
気持ち痛いほど分かります。私自身同じ経験をしてこのサイトを作る決心をしました。
いまはどんな気持ちですか?読んでいる人にアドバイスしたいことはありますか?
まるで生まれ変わったような気持ちです。言葉にするのは難しいですが、今回の経験で私の生活のあらゆる部分が好転しました。強いてひとつ挙げるなら、私にとっては、もう金輪際体重で困ることはないと思える安心感が大きいです。
私から他の人に送るアドバイスは、シンプルに「諦めないで!」ということです。私は、ありとあらゆるダイエット法、サプリメント、トレーニング法を試してきて、46歳で初めて自分の腹筋を見ました。冗談抜きで、「ロッキーがやっていたから」という理由で生卵を飲んだこともありました(笑)
私のようにインターミッテント・ファースティングが自分の生活にうまく噛み合うか試してみるといいと思います。アンディにコーチングをお願いできればもっと良いでしょう。私の場合は、それが成功のカギになりました。
ありのままの話を公開させてくれたジョンに感謝したいと思います。
18ヶ月のまとめ
ジョンは、18ヶ月間にわたってコーチングを続けました。本来3ヶ月でクライアントさんにひとり立ちしてもらうのを目標に指導しているので、珍しいことです。
3ヶ月のコーチング期間の終わりごとにその先の進め方をきっちり説明して、これ以上のコーチングは必要無いと無愛想に言い続けたにもかかわらず、ジョンはかたくなに期間延長を選び続けました。振り返ってみると、私がコーチとしてつき、報告義務ができることがジョンには重要だったのかも知れません。
トレーニング記録の変化
開始時 | 18ヶ月 | 終了時 | |
スクワット | 125kg x 4reps | 143kg x 6reps | |
ベンチプレス | 118kg x 7reps | 113kg x 6reps | |
デッドリフト | 161kg x 5reps | 170kg x 4reps |
体格的に近い人の参考に数字を紹介しておきます。筋力はうまく保てたと言えると思いますが、スクワット以外では大きな伸びもありませんでした。
ジョンのスタート時点と身長・体重が近いけど、トレーニング記録がもっと低いという場合には、筋肉量が少ないと考えられます。
筋肉量は増えたか?
減量メインのコーチング期間でしたが、筋肉量が増えた可能性も否定できません。
上に挙げたように、トレーニング記録という意味では大きな変化はありませんでしたが、胸/背中まわりのサイズは小さな変化にとどまりました。体脂肪を落とすと胸まわりのサイズは落ちるのが一般的です。18ヶ月採り続けたブレないデータがなければ、計測ミスを疑うところです。
体形維持も立派な目標
体重が175lbs(79.3kg)まで落ち、コーチング期間中で一番絞れた状態になったとき、ジョンに写真を公開しても良いか聞ききました。すると「まだ目標に達していないからもう少し待ってほしい」という返事が返ってきました。信じられますか?
ジョンに限らず、みなさんひとつ目標を達成したら、さらに高い目標を設定して高みを目指します。それは良いことですが、自分がどこまで来たのか実感できなくなる人が多くいます。
そういう場合、納得してもらえるように説明するのが難しいことがありますが、体重・体形の維持も立派な目標です。
ヒトの身体はできるだけ同じ状態を保とうとするので、減量時には空腹感を強く感じさせたり、基礎代謝を下げたりして抵抗します。減量のあと、ある程度の期間体形を維持していると、身体がその状態に慣れ、また食欲に合わせて食事をしてもリバウンドすることなく体形を維持することができます。
ジョンはと言うと、この写真の5ヶ月後の時点で少しだけ体重をもどして180lbs(約82kg)あたりを維持していました。ギリギリまで絞りきるというジョンの目標には届いていませんが、いまは細かい食事量計算をせずに体重・体形を維持できています。ジョンのように身体が大きく変わったあとは、ここが大事なところだと思います。
参考までにジョンの体重の推移を紹介しておきます。ところどころグラフが欠けているのは測定しなかったところで、体重が増えているのは、休暇やダイエット休みのときにあたります。
更新、お疲れ様です。
まず、どのようなダイエット・減量プログラムであれ、一通り実践できたジョンが素晴らしいと思います。
そこに敬意を示したいと思います。
減量とは、減量が終わった後の体型維持等も含めて、プログラムすべきではないかと改めて考えさせてもらう記事でした。
いかにストレスなく体型を維持できるのか、いかに減量プログラムと体重維持の時のダイエットや運動の差をなくすことができるのか。
減量だけでなく、物事を継続させるヒントがそこにあるのではないかと記事を読みながら思いました。
これからも更新を期待しています。
Koyoさん、いつもコメントありがとうございます。
You’re absolutely right. Getting there is the hardest part, but too often people simply forget about planning for how they can maintain it. That doesn’t have to be hard, but you do need to be smart about it. This is why we set people up in a sustainable way when they are dieting in the first place.
I know you know this, but for others reading, we have a guide to maintaining your physique after dieting here. Another way to explain that would be, “How to eat the maximum after your diet while maintaining your physique.”
こよさんは読めると思いますが、他の読者さんのためにもアンディのコメントを訳しておきます。
まったくおっしゃる通りです。
目標の体形にたどり着くまでが一番大変ですが、その後、どうやって維持していくかが抜け落ちていることがよくあります。
キツいことをする必要はないですが、賢いやり方を考えるのが大事で、ウチのコーチングでは減量期間中から長く続けられる設定を出すようにしています。
こよさんは読んでもらっていると思いますが、減量後の体形維持についての記事をあげています。
「減量後に食事量を最大限に増やす方法」がテーマというと分かりやすいかも知れません。
はじめまして。ナカジマと申します。
このサイトを見つけてリーンゲインズをやり始めて約1年半になります。それまで6年ほどジムでのトレーニング経験はあるのですが、結果はほとんどの人が言うように時間ばかりが無駄に過ぎて行くばかりでした。去年の9月から実践していたところ約半年で人から気がつかれるほど体脂肪が落ちたので非常に驚いております。まだまだお腹回りの脂肪はしぶとくまとわりついてはおりますが無理せず地道に頑張っていこうと思います。
さて、今回の記事ですが、クライアント氏のプロフィール的に自分と近いものがあり、また年齢も同じということで、非常に興味を持って読まさせていただきました。クライアント氏のトレーニング記録と自分を比べて見るとまだまだ筋力的には延ばせるのではないかと思い、是非とも参考にさせて頂きます。もし教えていただけるのならば、今後の勉強のために、具体的にどのような食生活や食材、レシピ等であったかも聞いてみたいです。厚かましいお願いでは有りますが、公表できる範囲でかまわないのでよろしくお願いいたします。m(._.)m
中島さま
初めまして、コメントありがとうございます。返信が遅くなってすみませんでした。
リーンゲインズで成果が出ているようで何よりです^^ジョンの変化を写真で見ると劇的ですが、実際は毎日の生活の積み重ねの成果なので、実践されている方に読んでもらってこそ価値ある話だと思います。
ボクの分かる範囲では具体的な食事メニューの話は出ていませんでした。基本的には目標の三大栄養素を摂れていれば何を食べるかはクライアントさんにお任せしているので。お力になれずすみませんm(_ _)m
Just to elaborate a little on the food side of things.
Really, we want all our clients to make food fit their own preferences, so we provide a template for what will fit your macros for the day, then leave them to swap out foods as per their preferences. So while I didn’t give John set meals, I know the kinds of things he was eating.
Principally, John was eating meat, vegetables and rice/pasta/potatoes.
Training days: Leaner meats (like chicken, pork loin etc.), vegetables, and his preference of carb choice for the day.
Rest days: Fattier meats/fish (beef, tuna, salmon, some pork or chicken cuts) with vegetables, and a couple of pieces of fruit.
Keeping it simple like this makes it very easy to be consistent and make progress.
Hope this helps Yoshiyuki!
アンディのコメントを訳しておきます。
食事についてもうちょっと補足しておきます。
クライアントさんには自分の食の好みに合わせて食べ物選びをしてもらのに、1日の三大栄養素の目標値に合わせた雛形をお送りして、食べ物を入れ替えるようにしてもらっています。
基本的には、肉・野菜に米かパスタかイモという組み合わせです。
トレーニング日には、脂身の少ない肉(鶏肉・豚のヒレ肉など)に野菜と好みの炭水化物。
休息日には、やや脂身の多めの肉や魚(牛肉・まぐろ、鮭、豚や鶏も部位によって)と野菜に果物を1〜2個。
こういう感じでシンプルにすることで食事の一貫性を保ちやすくなり、結果につなげやすくなります。
参考になれば!
ご返答有り難うございます。以前にこのサイト(英語版の方だったかも知れませんが)で各人の自慢の食事メニューが掲載されていたような記憶があったもので。
リーンゲインズをやり始めた副作用かわかりませんが、キッチンに立つのが楽しくなってしまいました。栄養素だけではなく、楽しく美味しく料理もやれたらなーって思いました!