ボディビル大会前の減量期間を科学する

投稿者 : Eric Helms

ボディビル大会前の減量期間を科学する AthleteBody.jp

オリジナル著者エリック・ヘルムスのTEAM 3DMJのステージ姿(本人は写真中央右)

アメリカではボディビルの人気が高まっており、2013年にはドラッグフリーのアマチュアコンテストが200以上開催されました。2014年にはさらにコンテスト数が増えると予想されています。
しかし、そんなアメリカでも、コンテスト前の準備期間の過ごし方については、科学的エビデンスに基づいた方法が十分に知られていないのが現状です。ボディビルというスポーツがアメリカほどメジャーでない日本では、手探り状態で減量せざるを得ない選手が少なくありません。

このサイトでも紹介しているエリック・ヘルムスを中心に、アラン・アラゴンピーター・フィッチェンを加えた3人が、ボディビルコンテスト前の減量の進め方にヒントになる、過去64年分、214の科学的情報ソースを精査してひとつの論文にまとめてくれました。JISSNという世界最高水準のスポーツ栄養学の専門誌に掲載され、ネット上で誰でもアクセスできるようになっています。
コンテスト前のボディビルダーの参考になりそうな部分を抜粋して翻訳しました。当サイトのピラミッドシリーズと共通する部分もありますが、徹底的に参照文献も紹介されており、マニアックな内容になっています。今年のコンテスト出場に向けてピリピリしながら減量されている選手の助けになれば幸いです。

細かな注意点

  • 今回の論文にはトレーニングに関する情報は含まれていません。実際にどんなトレーニングプログラムを使うかによって、栄養管理の効果の出方は変わってきます。
  • 訳文内の「代謝適応」とは、身体がカロリー不足の状態に適応して、基礎代謝などのカロリー消費量が落ちる現象を言います。
  • 必要以上に読みにくい文章になるのを避けるため、一般的な日本語の文体に訳出しています。

===ここから本編===

カロリー

体重を落とすには、エネルギー消費が摂取する分より大きくなる必要があり、純粋に体脂肪1ポンド(453g)が燃焼されると約3500kcalになります。つまり、体脂肪だけを燃やして体重を減らせると仮定すると、毎日カロリー収支がマイナス500kcalになると、1週間に1ポンドの体脂肪が燃やせるということになります。
しかし、カロリー不足の状態に対して起きる生理的な適応は複雑で、数字で単純に表せるものではありません。

ダイエットに対する代謝適応に関しては、過体重の人を対象にした研究が行われており、体重の減り幅から予測される以上に落ち込んだエネルギー消費量は79kcal~504kcalと大きな幅がある結果になりました。
ボディビルコンテストに向けた減量での代謝適応を直接調べた研究はまだありません。過体重でない男性が、消費カロリー全体の50%のカロリー摂取を24週間続けた研究では、体重の1/4が減り、消費カロリーは40%減りました。この40%の内、25%は体重が減ったことによるもので、残り15%は代謝適応による消費カロリーの落ち込みでした。つまり、減量を進めて体重が落ち、代謝適応が起きるに従って、スタート時点のカロリー摂取量から調整を加えていく必要があるだろうということです。
ダイエット中の代謝適応についてすべてを語るのは今回の趣旨ではありませんが、選手やコーチなど興味のある方は、このレビュー論文(英語)で、代謝適応の生理的なメカニズムや考えられる対策について読むことができます。

適切なカロリー摂取量を決めるには、エネルギー収支のマイナス幅によって、体組織の減り方は変わってくることに注意が必要です。マイナス幅が大きいと体重の落ちるペースも速くなりますが、マイナス幅が大きくなるほど、除脂肪量の減りが大きくなる傾向があります。
アスリートを対象に、4~11週間掛けてカロリー制限を行い、1週間あたり体重の0.7%と1.4%のペースで体重を落とした研究では、速いペースで体重を落としたグループは体脂肪が21%減ったのに対し、ゆっくり体重を落としたグループでは31%の体脂肪減になりました。さらに、ゆっくりのグループでは除脂肪量が平均して2.1%増えたのに対して、速いグループでは変化が見られませんでした。さらに、速いグループで体脂肪量が少なかった被験者では除脂肪量の減少がありました。
つまり、ゆっくりしたペースで体重を落とす方が除脂肪量維持には効果的と考えることができます。

例えば、1週間に0.5kgのペースで体重を落とすとして(減量分のほとんどは体脂肪と仮定して)、体脂肪率13%で体重70kgのボディビルダーが3ヵ月掛けてコンテストレベルの体脂肪率まで減量をする場合、スタート時点で体重は終了時より6~7kg重い程度の範囲でなくてはなりません。
もし、これ以上に体脂肪量が多い場合には減量ペースを上げる必要があり、除脂肪量を減らすリスクが出てきます。
コンテスト前12週間の男性ボディビルダーを対象にした研究で、後半にカロリー摂取量を大きく減らすと、最後の3週間で期間中最も大きく除脂肪量が落ちる結果になりました。
2ヵ月~4ヵ月以上の時間を掛けて、1週間あたり体重の0.5%~1%程度のペースで落とす方が、短期間に激しい減量をするよりも、除脂肪体重の維持には優れていると言えるでしょう。カロリー収支のマイナス幅を極端に大きく取らずに済むように、選手の状態に合わせて体脂肪を落とすための期間を十分に取ることが大切です。
さらに、体脂肪率が低いほど、除脂肪量が落ちるリスクが高まるということを考え合わせる必要があります。エネルギー源に使える脂肪組織が減り、筋肉が分解される可能性が高まるので、減量期間の最後の方には、スタート時よりも減量ペースを下げるようにするのが除脂肪量維持には最善のアプローチかも知れません。

たんぱく質

研究レビュアーの間では、カロリー収支が釣り合っているか、プラスの状態にある場合、体重1kgあたり1.2g~2.2gのたんぱく質を摂れば、トレーニングへの適応を促すのに十分であるとされています。
しかし、コンテスト準備期間のボディビルダーは一般的に、筋力トレーニングに有酸素運動とカロリー制限を組み合わせて非常に体脂肪の少ない状態を作り出します。これらのファクターは個別に考えてもたんぱく質の必要量を上げますが、組み合わせるとたんぱく質の必要量はさらに上がることになるでしょう。つまり、コンテスト前のボディビルダーにとって最適なたんぱく質摂取量は既存の推奨量よりも有意に多いと考えられます。

これまでの研究は、たんぱく質の摂取量が多い方が除脂肪量の減少は小さくなると示唆していますが、すべての研究が、たんぱく質摂取量が多いほど直線的に除脂肪量の維持に結びつくと示しているわけではありません。
ボディビルダーを対象にした研究で、有意に除脂肪量の減少(1.5kgと1.8kg)が見られた被験者が2人居ました。この2人は被験者の中でも特に体脂肪率が低く、実験期間の後半には、摂取カロリー全体の内たんぱく質の割合を28%から32~33%まで引き上げていました。期間中、被験者はみな三大栄養素すべての量を段階的に減らして全体のカロリー摂取量を落として行きました。つまり、この2人がたんぱく質の摂取割合を増やしていたのは特殊であり、そのために炭水化物と脂肪を減らし過ぎたことが逆効果になった可能性も考えられます。ただ、この2人に見られた除脂肪量の減少は、それだけ低い体脂肪レベルに到達するには避けられないものだったと考えることもできます。
この除脂肪量の減少が、2人のコンテストでの成績に影響を与えたかは分かりません。そこまで絞り込まなければ除脂肪量を維持することはできたかも知れませんが、成績もふるわなかったかも知れません。

カロリー収支がマイナスのアスリートには体重1kgあたり1.8g~2.7gのたんぱく質摂取を推奨するレビュー論文がありますが、これはボディビルダーが体脂肪率の非常に低い状態で筋力トレーニングと有酸素運動を同時に行うという状況を考慮した値ではありません。
最近公開されたヘルムスによるシステマティックレビューでは、筋力トレーニング経験があり体脂肪量が低くカロリー制限中のアスリートのたんぱく質摂取量について、除脂肪体重1kgあたり2.3g~3.1gが推奨されており、ボディビルにはこちらの方が適しているかも知れません。さらにヘルムスは除脂肪量維持が目的の場合、体脂肪量が低くカロリー収支のマイナス幅が大きいほど、2.3g~3.1gの幅の中でたんぱく質をより多く摂るべきだとしています。

炭水化物

たんぱく質と同じように炭水化物も個人に合わせた調整が必要です。炭水化物が足りないと筋力トレーニングに悪影響が出る恐れがあり、トレーニング前に十分な炭水化物を摂ることでグリコーゲンの減少を和らげ、パフォーマンス向上につなげられると考えられます。
しかし、コンテスト前のボディビルダーという状況では、十分なたんぱく質と脂肪を摂りながらカロリー収支のマイナス幅を確保するには、炭水化物の摂取量を上げられないことが多いでしょう。

一般的に、低炭水化物ダイエットでは炭水化物に対するたんぱく質の比率が高くなり、満腹感と体脂肪の減量ペースが向上しやすい傾向があります。パフォーマンスと健康という意味でも、低炭水化物ダイエットは必ずしも一般的に言われるほど悪影響があるわけではありません。
最近のレビュー論文でも、カロリー制限中のストレングスアスリートの炭水化物を減らし、たんぱく質を増やすことで体脂肪燃焼と除脂肪量維持を促すよう勧められています。

ただし、炭水化物をどの程度減らせば良いのか、どこまで減らすと悪影響があるのかは個人に合わせて考える必要があります。
高たんぱく質・低炭水化物の組み合わせは減量に効果的であっても、炭水化物をある程度を超えて減らしてしまうとパフォーマンスに悪影響があり、除脂肪量の減少につながるリスクが高まります。
コンテスト前のボディビルダーを11週間にわたって調べた研究者は、最後の数週間に炭水化物の摂取量を増やせば、除脂肪量の減少につながる代謝やホルモンの変化を避けることができたかも知れないとしています。
つまり、一度目標の体脂肪レベル付近まで到達したら、炭水化物の量を増やしてカロリー収支のマイナス幅を小さくすることは良い作戦になる可能性があります。

脂肪

全体のカロリー摂取量は同じのまま、脂肪の割合を40%から20%に落とすと、大きくはないものの有意にテストステロンの値が落ちる結果が出ています。ただ、脂肪を落とすことでホルモン分泌量に出る影響と、カロリー摂取量の変化による影響や、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合の変化による影響を区別することは困難です。
ある研究では、三大栄養素の配分、全体の脂肪摂取量、脂質の種類とテストステロンの間に相関関係があり、複雑な相互作用があることが示されました。
筋力トレーニング経験者の男性を対象にした類似の研究では、テストステロンとたんぱく質、脂肪、飽和脂肪の間で相関関係が見られました。研究者はこの結果を受けて、脂肪が低すぎたり、たんぱく質が高すぎる食事内容では、トレーニングに対するホルモン環境を損なう可能性があると結論づけました。
もし、脂肪の摂取量を減らすなら、飽和脂肪酸を十分に摂るようにすることでテストステロンの減少を抑えることができるかも知れません。ただし、テストステロンの減少がそのまま除脂肪量の減少を意味するわけではありません。

筋力トレーニング経験のあるアスリートを対象にした研究を見ると、高たんぱく質のカロリー制限食を行う場合、脂肪の摂取量を削って炭水化物の摂取量を維持する方が、炭水化物を削って脂肪を多めに摂る方法よりも効果的なようです。
これらの研究結果は、炭水化物を摂ってトレーニングのパフォーマンスを維持しようとする方が、脂肪を摂ってテストステロンの分泌量を維持しようとするよりも効果的だと示唆していると言えるかもしれません。

また、テストステロンの分泌量という意味では、脂肪の摂取量よりも体組成とカロリー制限の方が影響が大きいと考えられます。
完全な断食を用いた研究では、普通体重の人はテストステロンが減少したのに対し、肥満の人では減少が見られませんでした。
コンテスト前の、ドラッグフリーのボディビルダーを対象にした研究では、減量開始から6週間の間にさまざまな三大栄養素配分でテストステロンの減少が見られました。
1年間掛けて、ドラッグフリーの男性ボディビルダー1人を調査したケーススタディでは、6ヵ月の準備期間に入って3ヵ月の時点で、テストステロンは本人のベースラインの1/4にまで落ち込み、完全に回復したのは、コンテスト後6ヵ月間の回復期に入って3ヵ月経ったときでした。減量期3ヵ月時点でテストステロンが落ち込んだ後は、脂肪の摂取割合が全体の27%から25%へ若干落ちましたが、減量期間終了までテストステロンのさらなる落ち込みはありませんでした。

まとめると、テストステロン分泌量の変化は、主にエネルギーの供給状況(体脂肪量とカロリー収支)に影響されるようです。
女性アスリートの間でホルモンバランスが崩れて無月経症が起こることの原因として、エネルギー供給状況の低いレベルが続くことが挙げられるのも驚くことではありません。
つまり、総合的にデータを見ると、比較的厳しい食事制限を長期間継続して非常に体脂肪の低い身体を作る場合、そのカロリー制限幅や体脂肪の落ち幅そのものの方が、脂肪から摂るカロリーの割合以上にテストステロンに大きな影響を及ぼすと言えるでしょう。

これまでストレングスアスリートには、テストステロンレベルの最適化のためにカロリー摂取量全体の20%~30%を脂肪から摂るべきと言われてきました。これは適切で説得力もある主張ですが、場合によっては、カロリー制限中に十分なたんぱく質と炭水化物を確保することを考えると現実的ではないことも出てくるでしょう。
ダイエット中、炭水化物をカットするとパフォーマンスが悪化し、インスリンとIGF-1の分泌が下がる可能性があります。これはテストステロンよりも除脂肪量維持に密接な関わりがあるかも知れません。
このことから、脂肪の摂取量を多くするとたんぱく質と炭水化物の摂取量を確保するのが難しい場合、脂肪からのカロリー摂取は15%~20%を下限に設定するのが適切と考えられるでしょう。

ケトジェニックダイエット

ボディビルダーの中には、炭水化物の摂取量を非常に低くした「ケトジェニックダイエット」を行う人も居ます。ボディビルダーを対象にした研究はまだ十分に進んでいませんが、筋力トレーニング経験のある人を対象にしたケトジェニックダイエットに関する研究は行われています。
ここで紹介する研究では、炭水化物の摂取量が減り、脂肪の摂取量は増え、被験者のそれまでの食生活と比べて摂取カロリーが1日あたり平均381kcal落ちました。このことから、体組成やパフォーマンスに改善が見られたのは、低炭水化物・高脂肪というケトジェニックダイエットの特徴か、高たんぱく質でカロリー摂取量が落ちたことが要因なのかはハッキリしません。少なくとも、体重減少に関して言うと、これまでの研究では、通常付随的にたんぱく質の摂取量が増えることが成功につながったとする見方が強いです。

一般には、炭水化物がウェイトトレーニングで使われる唯一のエネルギー源と考えられている傾向がありますが、筋肉内脂肪も短時間の高強度筋力トレーニングで使われており、高脂肪・低炭水化物の食生活に適応した人ほど、有効なエネルギー源として活用できる可能性はあります。
このことから、コンテスト前の減量にもケトジェニックダイエットが使えるのではないかと考える人が居るかも知れませんが、ここで紹介する研究の大多数で、炭水化物摂取量が低いことと、パフォーマンスの悪化、除脂肪量の低下が関連づけられています。

ただ、ダイエットに対する反応の仕方には個人差が大きくあります。この個人差に関して、一般に人気のあるボディビル関連の文献では、個人の体型や体脂肪の付き方を分析して、それを基に三大栄養素の配分を考えるべきだとしています。
しかし、骨格や皮下脂肪の分配具合と、ボディビルダーやアスリートの三大栄養素の配分比率に対する反応の違いについて、いかなる関係も示すエビデンスは存在しません。
ボディビルダーも他のアスリートも同様に、自身のスポーツで必要とされるエネルギーに合った三大栄養素配分で最も良い成果を期待できるでしょう。

三大栄養素摂取量の概要

コンテストまでの時間、選手の体組成、除脂肪量維持のため激しいカロリー制限は避けるということを念頭にカロリー摂取量を決め、その中で三大栄養素の配分を調整します。

減量ペース0.5%〜1%体重に対する割合
たんぱく質2.3〜3.1g除脂肪体重1kgあたり
脂肪15〜30%摂取カロリーに占める割合
炭水化物残り分全体のバランスを考慮

トレーニングのパフォーマンスが落ちてきた場合には、この表に紹介する範囲で脂肪を削り、その分のカロリーを炭水化物で摂るように置き換えると良い効果があるかも知れません。
ここで提案する脂肪と炭水化物摂取量に関するガイドラインは、大部分の選手に使えるものだと考えますが、この表の範囲の外の設定の方がうまく行くという選手も必ず出てきます。個人に合ったコンテスト前のダイエット設定を決めるには、競技人生全体を通して観察を続ける必要があります。

最終調整

コンテストの数日前から数時間前まで、細胞外水分量を減らすことで少しでも筋肉を大きくカットをハッキリ見せようと、水分、電解質、炭水化物の摂取量を細かく調整するボディビルダーは多くいます。
電解質量の調整や身体の水抜きによる効果についての研究はまだ行われていませんが、(摂食障害や強迫行動につながる可能性がある)危険な行為です。
さらに、細胞外の水分は皮下組織にだけあるワケではないことを考えると、水抜きが結果として外見の悪化につながる可能性も十分にあります。
血管系にもかなりの水分量があります。ステージに上がる直前に負荷の軽い運動を繰り返して筋肉への血流を促し、サイズやカットを強調する作戦がよく使われますが、体内水分量が落ちていたり電解質のバランスが崩れていたりすると効果は減退してしまう可能性があります。

コンテスト直前の数日に、ボディビルダーは、持久系アスリートのようにカーボローディングを行うのが一般的です。目的は筋グリコーゲンの量を増やして筋肉を大きく見せることです。
これを直接調べた唯一の研究では、筋肉の太さに有意な違いは認められませんでした。ただし、この研究では、全体のカロリー摂取量は同じで、炭水化物の摂取割合を増やすという方法が採られました。もし、全体のカロリー摂取量も増やしていれば、筋グリコーゲンが増え、違った結果になっていたかも知れません。
さらに、この研究の被験者と違って、ボディビルダーはカーボローディングに入るまでに、長期間のカロリー制限でグリコーゲンの量が減っている状態なので、カーボローディングで見た目が変わる可能性は考えられます。

また、ボディビルのパフォーマンスは主観的に評価されることから、筋肉の太さだけを分析しても、その他の細かな見た目の違いでコンテストの結果は十分変わる可能性があります。
最後に、ボディビルダーの中には、外見の変化に合わせて炭水化物の摂取量を変える選手もおり、思うような変化が出なければ量を増やしていきます。つまり、一定量の炭水化物を摂る方法の効果を分析しても、本来のダイナミックなカーボローディングの効果を再現することは難しいと考えられます。
実際に、コンテスト前にカーボローディングを行ったボディビルダーを調査した観察研究では、コンテスト前日に6週間前と比べて、上腕二頭筋が4.9%太くなっていました。これが、筋グリコーゲンによる変化かは分かりませんが、コンテスト前の数週間は除脂肪量の増加よりも減少が多く見られるので、筋肉量の増加が要因とは考えにくいです。
今後の研究では、外見の変化の質的分析と、炭水化物の摂取量・全体のカロリー摂取量の変化とその効果を調べるべきでしょう。

現時点では、水抜きや電解質のコントロールが見た目の改善につながるのかハッキリとは分かりません。分かっているのは、これらの作戦にはリスクがあり、かえって外見を悪くしてしまう可能性があるということです。
カーボローディングが見た目に影響を与えるか、もしそうならどの程度の影響かもハッキリしていません。しかし、一部の研究者が、コンテスト前数週間に炭水化物の摂取量を増やして、筋肉量の維持を図る方法を勧めていますが、これでカーボローディングにあるとされる効果も併せて得ることができるかも知れません。

もしカーボローディングを行うなら、コンテスト前に十分に低い体脂肪レベルに到達し、個人の身体の反応に合わせた作戦が立てられるようテストランを行うべきでしょう。
ただし、試験的に1週間炭水化物の量を増やしてカロリー摂取量を上げるとすると、その分体脂肪の落ちるペースは遅くなりますので、コンテスト前の準備期間は長く取っておく必要があります。

編集後記
この記事は、論文の特に重要な部分を抜粋して日本語訳した物です。
ココから翻訳部分をマークしたオリジナルペーパーが見られます。黄色部分がアンディ、緑部分は補足のために八百がマークして翻訳原本としました。
120220_KANE_1496了徳寺大学の岡田隆准教授(現在は日本体育大学准教授)からコメントを頂きました。岡田先生はトレーナーの指導・育成をされる傍ら、自らトップレベルのボディビルダーとして活動されています。
「サイトの情報はボディビルダー、トレーナー、教員としてフル活用させてもらっています。特にこの記事は学生と一緒に授業で勉強しようと考えています。一緒に盛り上げたいですね。日本はボディビルの偏見が強いですから。本当に有益な情報に感謝しています。日本人を強くして恩返しします!」

無料 eBook!

Screen shot 2016 12 10 at 15.25.10 169

筋力・筋肉量を伸ばすにはナニが必要か?
いま科学的に分かっていることを36ページにギュっと凝縮
過去9000名がダウンロード、好評公開中!

Powered by ConvertKit

Eric Helms

エリック・ヘルムスはプロボディビルダーであり、3D Muscle Journeyというコーチングチームの一員です。
海外でもボディビルは他のスポーツに比べ、スペシャリストによる科学的な指導を受ける環境が乏しく、その現状を改善すべく、ボディビルダーやパワーリフターのコーチングを10年以上にわたって続けています。
さらに、アメリカ海軍や大学・大学院レベルでスポーツ栄養学・運動科学などの指導をする傍ら、Strength & Conditioningの博士候補生として自身の研究を続けています。

Latest posts by Eric Helms (see all)

無料 eBook!

Screen shot 2016 12 10 at 15.25.10 169

筋力・筋肉量を伸ばすにはナニが必要か?
いま科学的に分かっていることを36ページにギュっと凝縮
過去9000名がダウンロード、好評公開中!

Powered by ConvertKit

コメント

サイト管理人

Andy Morgan - AthleteBody.jp Facebook Profile Picture 2015

アンディ・モーガン

イギリス出身のダイエットコーチ兼パーソナルトレーナーです。日本に住んで12年。日本が大好きになりました。 欧米のダイエット情報と数百人の英語圏のクライアント指導で得た経験を日本に広めるためノウハウを公開しています。
AthleteBody.jp Kengo Yao 2015

八百 健吾

サイト内で紹介する外国人トレーナーなどの記事の日本語訳を担当しています。 アンディと本橋とチームで内容充実のサイト作りをしていきます。ご期待ください^^
Naoto Motohashi AthleteBody.jp 200×200

本橋 直人

科学的根拠に基づく指導をモットーとしてカナダで活動中のフィットネス指導者です。皆さまに役立つ情報を厳選して発信していきます!

最近のクライアント写真

  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr
  • A photo on Flickr


クライアント写真一覧を見る

掲載情報についてのご注意

当サイト掲載の情報は、多くのトレーニーに役立てられるよう細心の注意を払っていますが、各個人の状況によって情報の有用性は変わります。ご自身の責任でご活用ください。
また、当サイト掲載の情報は医学的アドバイスではありません。健康面での不安のある方は、医師、理学療法士、管理栄養士など、それぞれの専門家にご相談ください。