夜食はダイエットと健康に良い?

このページで紹介する研究では、すべてカロリー摂取量が決められ、食事の時間帯だけが変えられました。
遅い食事時間のパターンでは、午後6時から就寝までの間に1日分の67%〜100%のカロリーを摂り、早い時間帯に食事を摂るパターンとの違いが検証されました。

研究1:肥満者の脂肪減への食事の時間帯による影響

結果

1987年に初めてカロリー摂取量を管理した上で行われた食事のタイミングに関する研究です。午前10時か午後6時に1日分のカロリーを摂った被験者たちの間で体重の減り方に違いはありませんでした。

午後に食事を摂ったグループの方が一貫して脂肪燃焼量が多かったというおもしろい結果も出ていますが、実験期間が15日と短く、十分な結論を出すのは難しいです。
脂肪燃焼以外には、コルチゾル分泌量、血圧、安静時のエネルギー消費量に被験者グループの間で違いはありませんでした。

参考リンク:
Chronobiological aspects of weight loss in obesity: effects of different meal timing regimens.

研究2:肥満治療における朝食の役割

結果

12週間にわたる非常にうまく設計された研究ですが、普段から朝食を摂っている被験者と朝食と摂らない被験者を集め、朝食ありと朝食なしの食事パターンを採った結果を比較しています。

おもしろいことに、以前は朝食を摂っていて、実験期間は朝食を摂らなかったグループで最大の脂肪減が見られました。このグループは昼食と夕食を摂り、午後6時以降の夕食で1日の2/3のカロリーを摂取しました。

逆に、以前は朝食を摂っておらず実験期間に朝食を摂ったグループでは、実験前・実験中ともに朝食を摂らなかったグループよりも良い結果が出ました。
一見すると矛盾しているような研究結果ですが、衝動のコントロールと関係しているかも知れません。通常の生活では、朝食抜きのような不規則な食事パターンは食欲に任せて食べるような生活につながりがちです。普段から朝食を食べない被験者には、実験期間朝食を摂ることでより自己管理がうまくできたというコトかも知れません。
また、普段は朝食を摂っていて、実験中は朝食を摂らなかったグループはより良い結果が出ましたが、このグループはカロリー計算に慣れていたり、規則正しい食生活を送っていて、思いつきに目の前にあるものをつまむようなことをしない、私たちに一番近いタイプと言えるかも知れません。

グループ間での体重減の内訳(脂肪75% / 筋肉25%)に違いはなく、安静時のエネルギー消費も変わりませんでした。

おもしろいポイント

朝食を食べたグループは、若干ですが「気分の落ち込みからくる摂食」が増えました。逆に、朝食を食べなかったグループではこれが若干減りました。
また、朝食を抜いたグループの方が実験中の食生活を「制約が多い」と感じていたということです。

論文からの抜粋

朝食ありのグループは食事量が大きくなり、食事量の小さな朝食なしグループよりも食事パターンや人付き合いへの悪影響が抑えられた。6ヵ月後の調査で朝食なしグループの方が継続率が高かったのも、この影響によるものかも知れない。

参考リンク:
The role of breakfast in the treatment of obesity: a randomized clinical trial.

研究3:朝食主体の場合は体重減が大きく、

夕食主体の場合は筋量が維持される

結果

この研究では6週間の期間を2回取り、同じ内容の食事の内70%を朝食で摂るパターンと、70%を夕食で摂るパターンに分けて行われました。
結果、朝食でたくさん食べた方が体重は大きく減ったのですが、減少幅の違いは筋肉量が落ちたことによるものでした。夕食をたくさん食べた方が、筋量の維持がうまくいき、体脂肪率の減少という意味ではより良い結果になりました。

おもしろい研究結果ですが、被験者数が少ない(女性10名)ことや、体組成の計測方法(全身の電導率を使った生体インピーダンス法に似た手法)など、実験の内容の制約もありました。
また、週3回のウェイトトレーニングが実験に含まれていたことも、結果を紛らわしくする大きな要素です。夕食主体のグループは、トレーニング後により多くのカロリーを摂っていたことになり、この実験結果は朝食と夕食の違いよりも栄養摂取のタイミングの効果によるものかも知れないのです。

朝食主体の設定

午前 8:00 〜  8:30 1日のカロリー摂取量の35%
午前 9:00 〜  9:30 ウェイトトレーニング
午前11:00 〜 12:00 1日のカロリー摂取量の35%
午後 4:30 〜  5:00 1日のカロリー摂取量の15%
午後 8:00 〜  8:30 1日のカロリー摂取量の15%

夕食主体の設定

午前 8:00 〜  8:30 1日のカロリー摂取量の15%
午前 9:00 〜  9:30 ウェイトトレーニング
午前11:00 〜 12:00 1日のカロリー摂取量の15%
午後 4:30 〜  5:00 1日のカロリー摂取量の35%
午後 8:00 〜  8:30 1日のカロリー摂取量の35%

論文からの抜粋

朝食と夕食グループ間での除脂肪体重(筋量維持)の違いは、なんらかの内分泌系の影響があったかも知れない。
成長ホルモンの分泌は、睡眠サイクルと一定程度関係しており、体内リズムを見ることができる。夜間、睡眠1〜2時間目で脈動的分泌が上昇し、睡眠の第3・4ステージで分泌量は最大となる。
長期にわたる食事の内容やパターンの変化による成長ホルモン分泌への影響は定かではないが、夕食主体のパターンで多くのアミノ酸が供給され、成長ホルモンによるたんぱく質の同化作用との相乗効果により、筋量が維持された可能性は考えられる。

おまけ

リーンゲインズ 夕食とダイエット

夕食主体の実際の設定を見てみると、リーンゲインズの時間割にかなり近いものだと言えます。

右の写真は、マーティン・バークハンのクライアントさん。
トレーニング前に1食摂る設定でリーンゲインズを実践されました。
午後6時以降に1日の75%以上のカロリー、炭水化物200グラム以上を摂った結果写真です。

参考リンク:
Weight loss is greater with consumption of large morning meals and fat-free mass is preserved with large evening meals in women on a controlled weight reduction regimen.

研究4:食事の時間帯による肥満女性の体重減と

唾液中コルチゾールの概日リズムへの影響

結果

前述の研究1とほぼ同じ設定で行われた研究。
1日の摂取カロリーを午前9時〜午後8時までの間で5回の食事に分けて均等に摂った場合、午前9時〜11時の間にすべて摂った場合、午後6時〜8時の間にすべて摂った場合を比較し、体重減、代謝率、コルチゾールなどに影響は見られませんでした。
この研究も18日間という短い実験期間が欠陥となっています。

窒素排泄量は筋肉の損失量のおおまかな指標になりますが、食事の回数や時間帯による違いはありませんでした。5食に分けても、22時間食事を摂らない朝食や夕食のみのパターンでも同じ結果だったのです。
断食とコルチゾールの関係が気になる人には次の抜粋を見て頂きたいです。

論文からの抜粋

実験期間を終えて、食事の時間帯に関わらず22時間の断食の後でも、コルチゾール分泌の概日リズムに有意差は見られなかった。

参考リンク:
Influence of meal time on salivary circadian cortisol rhythms and weight loss in obese women.

研究5:6ヵ月のダイエットにおいて、

夕食時に炭水化物を摂った方が大きな体重減

よく構成された最近の研究で、1日のカロリー摂取の時間帯について6ヵ月かけて実験が行われました。
午後8時以降の時間帯に1日の炭水化物の大半を摂取した参加者は、午前中に炭水化物を摂った参加者に比べて、より体脂肪が減り、実験期間中を通じて空腹感が少なく、好ましいホルモン変化が見られました。

研究の背景

この研究は、通常の食生活では夜間にピークを迎えるレプチンの分泌を計画的に動かすことで、翌日午前中〜正午の時間帯に空腹感を抑え、ダイエットを続けやすくすることが可能かを検証することが目的でした。

炭水化物を摂ってから、それにレプチンの分泌が反応するまでにはかなりの時間差があります。たとえば寝る前に炭水化物を摂ると、翌朝目を覚ますころまでレプチンのピークは訪れません。

さらに、この実験で使われた食事設定がアディポネクチンに及ぼす影響も研究の対象となりました。
アディポネクチンは、肥満、インスリン抵抗性、メタボリック症候群などに関係すると考えられています。アディポネクチンは、エネルギー調節、脂質や炭水化物の代謝に重要な役割を果たし、血清グルコースや血清脂質を下げたり、インスリン感受性を高め、炎症を抑える働きがあります。
肥満者のアディポネクチンの分泌量は一日を通して低いとされています。

「低アディポネクチン=悪いコト / 高アディポネクチン=良いこと」です。
インスリンの分泌量が少ないとき、アディポネクチンは高くなっていますが、1日の間に波もあり、普通の体形の人の場合、夜間低く昼間高くなるのが一般的です。
肥満者の場合、慢性的にインスリンの分泌量が高く、アディポネクチンが慢性的に低くなり、インスリン抵抗性や炎症につながっていることが問題です。
この研究者たちは、午前中炭水化物を摂らないことで、アディポネクチンの分泌量を上げ、一般的な食生活よりも健康に関する測定値を向上できるのではないかと考えました。

設定

被験者の両グループは「朝・昼・夜+間食3回」に分けて、全体として摂取量の同じ食事を摂りましたが、グループAは一日の炭水化物(〜170グラム)を均等に振り分けて摂り、グループBは炭水化物の大半を夕食時に摂りました。
三大栄養素の正確な値についての情報はありませんでしたが、発表された論文に載っていた両グループのメニューから推察すると、グループBは夕食時におよそ100〜120グラム程度の炭水化物を摂っていたと思われます。

結果

両グループ共に体重が減り、健康に関する測定値に改善が見られましたが、グループBの方が体重(–11kg vs -9kg)や体脂肪(-7% vs -5%)の減り幅が大きく、ホルモン状態の改善も大きかった上、より満腹感も感じていました。

予想どおり、炭水化物の多い夕食でレプチンやアディポネクチンの分泌パターンを変えることができました。このことが満腹感やより良いホルモン状態につながったと考えられます。

体脂肪の低い状態を保ちたいと思う私たちにとって特におもしろいと思ったのは、炭水化物の多い夕食で、一般的な食事パターンよりもレプチンの平均分泌量まで高くなっていたということです。
リーンゲインズを実践する人たちが一旦目標の体形にたどり着くと、その後低い体脂肪を維持するのが非常に楽だと感じるのは、これが理由なのかも知れません。

この研究は非常にしっかりしたものですが、なぜか体脂肪質をどのように計測したか記載がなく、カロリー摂取量は各個人に合わせて設定されていませんでした。しかし、被験者は全員同じ仕事(警察官)で、運動量に非常に大きな差は無かったと考えても大丈夫でしょう。さらに被験者数は78人と非常に多く、この研究結果は信頼できるものだと思います。

参考リンク:
Greater weight loss and hormonal changes after 6 months diet with carbohydrates eaten mostly at dinner.

 

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