迷信5 たんぱく質の吸収は1度に30グラムまで

投稿者 : Martin Berkhan

迷信5 たんぱく質の吸収は1度に30グラムまで AthleteBody.jp
人の話が何かおかしく聞こえたときは、ヒトの進化の過程に照らしてそれが本当に理に適っているかを考えてみると良いと思います。真実味のある話かどうか判断する良い方法です。
今回の迷信は特に分かりやすい例だと思います。
もし、ヒトが1回の食事で30グラムのたんぱく質しか吸収できないのなら、人間は今日まで生き伸びることはできなかったでしょう。

実際のところは、たんぱく質をたくさん摂ると吸収するのにその分時間がかかるというだけです。具体的な数字を挙げると、炭水化物75g、タンパク質37g、脂質17gで600kcalのピザを食べたあと5時間後にまだ完全に消化が終わっていなかったという研究結果があります。比較的消化が早いとされる精製食品でこれだけ時間が掛かったということです。

これがピザの2倍たんぱく質を含むステーキに葉野菜をたっぷりの組み合わせになると、確実に10時間以上は掛かります。食事内容は消化の速度、特にアミノ酸の吸収に大きく影響します。
食後のアミノ酸がどのくらいの時間をかけて吸収され体組織に取り込まれていくかというのは、たんぱく質の種類、繊維質、炭水化物、食事の前に食べた物、これらすべての要素が影響しています。

迷信の起原

この「たんぱく質は一度に30グラムまで」という迷信は1997年のボイリー氏の研究の後から広まり始めたと思います。
これはホエイとカゼインたんぱく質の吸収率を求めた初めての研究で、ホエイの急速に血中アミノ酸濃度を上げる性質や、カゼインのゆっくりと長時間にわたってアミノ酸を供給する性質が知られるようになりました。ホエイは同化を促し、カゼインは異化を抑えるということです。

30グラムのホエイたんぱく質が3〜4時間で吸収されたことから、一部の人たちが一度に吸収できるのは30グラムまでだとカン違いしたのではないかと思います。もしくは「アナボリック状態」を維持するには3〜4時間ごとに食べないといけないと考えたのでしょう。
しかし、この研究の内容には実際の生活とは結びつかない点がありました。まず、まったく何も食べていない空腹時にホエイたんぱく質のみを摂った場合の吸収率を測定したという事です。これが事前に何かを食べた状態だったり、ホエイのプロテインシェイクを一緒に食事を摂ったら、吸収はずっと遅くなります。

およそ1時間に10グラムのペースで吸収されるホエイは最も吸収の速いたんぱく質ですが、カゼインはもっとゆっくりです。このボイリーの研究では、開始から7時間経って実験を終了する時点でもカゼインは吸収されている途中でした。自然の食べ物から摂れるたんぱく質はだいたい1時間に3から6グラムのペースで吸収されます。炭水化物や脂肪などと一緒に摂ると吸収にはさらに時間が掛かります。

このクライアントはリーンゲインズを実践しているので、1日16時間何も食べません。
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Martin Berkhan

マーティン・バークハンはリーンゲインズというダイエット法の開発者です。脂肪燃焼や筋肉増強、トレーニングに関する科学的研究結果を何年にもわたって読み重ね、彼自身で試し、さらに過去数年間で得られた何百ものクライアントとの実際の経験を基に、いまは確立された非常に効果的な物になっています。
www.leangains.com というサイトで素晴らしい記事を公開しています。すべて英語で書かれていますが「Results」というバナーからクライアント写真を見ることができます。

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コメント

  1. 以前より興味があって、ここの記事は参考にさせて頂いております。リーンゲインズをそのままの形で実行したことはないのですが、今年の3~4月の2ヶ月の減量のときにインターミッテントファスティングの方法を取り入れ(はじめの1ヶ月は12時間絶食、後半1ヶ月は16時間絶食)、予定通り13キロの減量と体脂肪1桁とを達成出来ました(身長170㎝、83kg、20%→70kg、9%)。空腹感に悩まされることが全くなかったのが良かったです。

    さて、この記事に一つ素朴な疑問があります。

    「自然の食べ物から摂れるたんぱく質はだいたい1時間に3から6グラムのペースで吸収されます。」

    とのことですが、額面通りに受け取ると、

    自然の食事から吸収できるタンパク質は1日24時間に3~6×24=72g~144gが限界である。

    ということになってしまいませんか?これではリーンゲインズで推奨する、「1日に除脂肪体重1kg当たり2~3gのタンパク質を摂るべし」というのはプロテインなしでは不可能ということになりますが?

    それとも、

    1回めの食事の中のタンパク質の消化吸収が終わらないうちに次の食事をとるが、それぞれの食事で摂ったタンパク質がそれぞれ1時間に3から6グラムのペースで吸収され、これは同時進行して起こるから全体としては1時間に6から12グラムのペースで吸収される、

    というような理解でよいのでしょうか?

    1. 樋上さん、初めまして。
      昨日1日サーバーがダウンして、お返事が遅れてしまいました。
      減量成功おめでとうございます。こうしてご自身のフルネームでコメント頂けるととてもありがたいです< (_ _)>

      で、たんぱく質の話ですが、各食品の吸収ペースというのはまだ分かっていることの方が少ないようです。
      さらに、たんぱく質・炭水化物・脂肪など合わせて食べると吸収速度・吸収できる量にどう影響するのか、具体的な数字を伴った答えが出ているワケではありません。
      この記事の趣旨は、いま分かる範囲で「30gごとに小分けにして摂らないとムダになる」という心配は無いということです。
      こっちの記事では、同じテーマから「たんぱく質吸収量の限度」ということまで話が及んでいます。

      吸収ペースや吸収限度には、個人差も出てくると思いますが、コメント頂いたようなシンプルな掛け算や足し算ではないのだろうと思います。スッキリ答えを出すにはさらなる研究が必要ということですね。

  2. ちょっと適切な場所が分からないのでここでコメントします。
    体重70kgの人であれば1日に必要なタンパク質量は140gぐらい。これを1日で140g取るのではなく2日で280gと考えて例えば1日目は100gで2日目は180gにした場合何か問題が起きますか。

    1. いのうえさん、こんにちは。

      なにをもって「問題が起きた」とするかで答えが変わります。

      ウチのサイトでは1日単位で栄養管理をするのをオススメしていますが、もちろん日付が変わったとたん身体が生理的にリセットされるわけではありません。
      カロリーサイクリングを採り入れる場合には、1週間単位くらいでカロリー収支を考えるのは良いと思います。

      たんぱく質に関しては、日によって摂取量がバラつくと筋たんぱくの合成にムラが出る可能性はあるので、それは困ると考えれば問題でしょう。
      個人の目標に応じて筋肉を維持したり増やしたりできていて、それで結果オーライと思えば問題ではないでしょう。

      たんぱく質を180g摂るために、1日で肉を900g食べるのが苦痛ならそれも問題になります。
      もちろんこれは例えばの設定ですが、状況によって数字も変わって、数字の意味も変わってくるので、ぼんやりしたイメージで答えを探す意味のない疑問ですね。

      1. 自分の場合日によってタンパク質が十分取れない場合があります。上の例であれば1日目にタンパク質が100gしか取れなかった場合、次の日に180g取るのではなく次の日140gにした方が合成にムラが出ないでいいのでしょうか。

        1. コメントから伺える範囲では、まずたんぱく質を安定して摂れる食生活を考えるのが必要なのかなと思います。
          細かなことを考えるのはその先で良いと思います。

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