迷信6 断食すると筋肉が落ちる

投稿者 : Martin Berkhan

迷信6 断食すると筋肉が落ちる AthleteBody.jp
血中のアミノ酸を一定に保つと筋肉の維持に効果的と言われていますが、迷信5で説明した通り、たんぱく質の吸収には時間がかかるので、たんぱく質を多く含む食事を摂ればアミノ酸は数時間にわたって血液内に放出され続けます。
これを実際の生活につながるような形で調べた実験はありません。

例えば、大きいステーキと野菜を食べた後にコテージチーズとベリーをデザートに摂れば、楽にタンパク質100グラムがとれます。リーンゲインズを実践されている人にはよくあるメニューです。
この食べ物の組み合わせを使った実験は存在しないので、いままでに分かっていることから推測せざるを得ませんが、空腹時に摂った液体のカゼインが7時間経過してもまだ血中にアミノ酸を放出していた事を踏まえると、いろいろな食品を組み合わせたメニューのたんぱく質100グラムが、食後16〜24時間後でもアミノ酸を供給し続けていると考えるのは妥当だと思います。

筋量の維持に関して、定期的な断食と、管理された食生活の違いを調べた研究は多くはなく、一般の人が実際の生活に断食を取り入れるのと関連性のあるものは皆無です。研究の手法に問題のあるものもあります。この研究では、ウェイトトレーニングやカロリー摂取量に変更を加えず、食事回数を変えただけで筋量の増加と脂肪の減少が認められたとしています。この研究をインターミッテントファースティングの利点を証明するものとして挙げたいところですが、この研究ではよく正確性を欠くと言われる生体インピーダンス法が体組成の計測に用いられています。

断食を長時間続けると、肝臓に蓄えられていた肝グリコーゲンが枯渇し、たんぱく質の異化が起こります。血糖値を維持するために、アミノ酸がブドウ糖へ作り変えられます。(この過程を「DNG: de novo glucogenesis」と言います。)食べ物から十分にアミノ酸が摂れていない場合、代わりに徐々に筋肉からたんぱく質が取られていきます。
カーヒル氏(Cahill)は、100グラムのブドウ糖を摂取した後のアミノ酸のDNG使用割合を調べました。16時間後、筋肉からのアミノ酸使用割合は50%、28時間後には肝グリコーゲンは枯渇し、血糖値維持のためにアミノ酸が100%使われている状態になりました。
もちろん、断食に入る前に高たんぱくの食事を摂っていれば、断食中も十分なアミノ酸が供給されており大きな問題ではなくなります。

迷信の起源

これは生理的レベルで身体に起こる科学的事実の誇張から始まっています。長期間にわたる断食や飢餓状態にならない限り関係の無い物です。

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Martin Berkhan

マーティン・バークハンはリーンゲインズというダイエット法の開発者です。脂肪燃焼や筋肉増強、トレーニングに関する科学的研究結果を何年にもわたって読み重ね、彼自身で試し、さらに過去数年間で得られた何百ものクライアントとの実際の経験を基に、いまは確立された非常に効果的な物になっています。
www.leangains.com というサイトで素晴らしい記事を公開しています。すべて英語で書かれていますが「Results」というバナーからクライアント写真を見ることができます。

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コメント

  1. このサイトが信用出来るのは、ネガティブ意見(しかも感情的な)に対しても丁寧に論破されている事ですね。論破された側はたいていフェードアウト・・・。

    初めまして、いつも楽しく拝見させて頂いています。
    このサイトと出会って1か月、リーゲインズとダンベルトレーニングを仕事と家庭サービスの合間をぬって続けていますが、はっきりと効果が出てきました。
    これからも焦らず続けていきます。ありがとうごさいました。

    1. ハヤトさん、初めまして。コメントありがとうございます。

      このページのコメント欄を見て「そう言えばこんなやり取りをしたなぁ」と思い返しました。
      サイトを読みに来てくれる方の数がどんどん増えているので、その分いろんな読み方・感じ方をする人が出てくるのを実感しています。
      もっと誤解の余地の少ない記事の書き方ができれば、こういう一見ネガティブな反応も減らせるのかなぁとか、気持ちよく読めるサイトになるのかなぁとか考えます。このページのやりとりも単純に「すっきり納得できない」という疑問がスタートだったと思うので。
      極端な話、1万人が読めば1万通りの受け取り方があり得るので、100%誤解を無くすことは難しいんですけど、「論破」というよりは「説明」するスタンスを大事に続けていこうと思っています。

      トレーニングの成果が出ているようでなによりです。ご自身のペースで楽しんでください^^

  2. 事前に高たんぱく質高カロリーの食事をしておけば16時間くらいのファスティングでは筋肉の分解はあまり気にしなくてよいだろう・・・という主張の論拠としては以下のような感じで良いのではないでしょうか。

    ・16時間の間に必要な消費カロリーのうち糖質で賄われるカロリーを考える。例えば1日2400kcalの3分の2が1600kcalでそのうち半分が糖質由来とすると800kcalになる。「肝グリコーゲンの最大貯蔵容量400kcal程度+消化吸収中の食事の糖質から供給されるカロリー」が尽きてくると、糖新生が起こりやすくなると考えられる。

    ・通常の食事では6時間前後アミノ酸供給が続く。高たんぱく質高カロリー食で消化吸収の遅いタンパク質を摂取すれば、もっと長く間アミノ酸供給が続くだろう。糖新生が起こりやすくなっても、アミノ酸供給が続いていれば筋肉の分解を防げる。

    ・タンパク質の種類による吸収速度は以下を参照。
    http://www.bodyrecomposition.com/nutrition/what-are-good-sources-of-protein-speed-of-digestion-part-2.html

    ・通常の食事→空腹のサイクルでは、食後にネットアナボリック、空腹時にネットカタボリックになっている。多少筋肉の分解が起きても次の食事でまたアナボリックされるだろう。

    あと主旨から外れますが、グルコースとフルクトースとでは肝グリコーゲンの貯蔵特性が異なるし、グリコーゲン生成速度にも上限があるので、ロードに使う糖質の種類によって糖新生の起こり方は異なるかもしれません。もちろん固形食中心に十分な量を食べれば肝グリコーゲンが満タン近くまで補充されてファスティング時の糖新生の起こり方に差はなくなるでしょう。

    1. nさん、初めまして。コメントありがとうございます。
      以前にブログを少しだけ拝見したことがあります。濃い情報が揃っていますね。

      nさんのコメントを読んでスッと理解できる人は、この記事の趣旨で悩むことはないかなと思います。
      専門用語が多くてビックリした人のために少し噛み砕いておこうと思います。

      ■ 1日2400kcalと数字が出ていますが、イメージを掴むための例えなので、実際に何kcalか難しく考えなくてOKです。
      カンタンに言うとグリコーゲンは身体に蓄えられた炭水化物です。人の身体にとっては使いやすいエネルギー源で優先的に使われます。
      断食をすると、時間が経つにつれてグリコーゲンや食事で摂った糖質が消費されて行きます。食事量や身体(肝臓)に蓄えられているグリコーゲンの量によりますけど、16時間経つとかなり消費されます。空っぽになるかも知れません。

      ■ すると、必要なエネルギーをまかなうのに身体の脂肪やアミノ酸を使う比率が増えていくことになります。食事で摂ったたんぱく質がお腹に残っていれば、筋肉を分解しなくてもアミノ酸をまかない易くなります。
      nさんのコメントにある「糖新生」とは、筋肉を分解してエネルギー源に変換するコトと思えばOKです。

      ■ じゃ、何をどのくらい食べればお腹にたんぱく質が残るのかというコトについて、nさんのコメント内のリンク先の英語ページに載っている表がちょびっと参考になります。
      プロテインシェイクに頼らず、肉・牛乳・卵などをうまく混ぜて野菜を一緒に摂っていれば神経質にならなくても良いです。

      ■ 「アナボリック=合成(増える)」で「カタボリック=分解(減る)」です。カタボリックって恐ろしい事のように語られますが、合成も分解も1日中ずっと起こってます。「合成した分」と「分解した分」を差し引きしてプラスになればネットアナボリック、マイナスになればネットカタボリックです。
      例えば断食15〜16時間目あたりに筋肉の分解が優勢になる時間があったとしても、その後の食事で挽回できるんじゃないかってことです。リーンゲインズの16時間というのは、その分解と合成のバランスを考えて設定されています。
      ただ、本文中の実験のように1日の食事がブドウ糖100gだけというような極端な例では、一般的な食事内容よりもずっと早く分解が優勢になります。カロリー収支のマイナス幅が大き過ぎて、時間帯の影響を考えるのが無意味に近いですが、これを続けると筋肉が大きく落ちるリスクはあります。
      このサイトのいたる所で「時間帯の前に食事量を押さえましょう」と言っているのはそういうことです。

      ■ nさんのコメントの最後は、糖質の中にも種類があって代謝のされ方がちょっと違いますよという話です。これが原因で果物に多いフルクトース(果糖)はよく肥満の素なんて悪者にされがちですが、バランス良く食べてれば問題ないですよという話です。

      1. 記事とコメントを読みました。
        2つほど質問させていただきます。

        1. 人はグリコーゲンと食事でとった糖質がエネルギーがまず消費される。それらがなくなると、血液中にある分解された脂肪と、アミノ酸をエネルギー源とする。しかし、脂肪より優先的にアミノ酸が使用される(筋肉が分解される)。という認識でいいでしょうか?  それともグリコーゲン、糖質、脂肪、アミノ酸は常時すべてエネルギー源として使われているが、比率が異なる。ということでしょうか、もしそうならばどれくらいの比率になるのか教えてほしいです。また糖質不足時には脂肪より優先的にアミノ酸が使用されるというのは他サイトからの引用ですが、これは正しいでしょうか?

        2. この記事とはすこし関係がないのですが、このサイトのプロテインに関する記事で、ホエイかカゼインのどちらかならカゼインを進めると書いてありましたが、ワークアウト後に飲むプロテインとしてカゼインは向いておらず、ホエイのほうが良いといったことが他サイトに書かれてありました。これは吸収速度に関係することなのだと思うのですが、カゼインではダメということはありませんよね? 自分はリーンゲイズ(20:00から翌12:00までの断食)を実践しており、今はワークアウト後にホエイをものを飲む(19:00頃)ようにしているのですが、16時間の断食を考えるとカゼインのほうが良いのではと思っているのですが、ワークアウト後に適するのはホエイと書いてあるため、どちらにしようか悩んでいる状況です。

        長文失礼しました。
        よろしくお願いします。

        1. mikawaさん、コメントありがとうございます。

          1. 食事から摂ったエネルギーも体内に蓄えられたエネルギーも常時代謝されていて、筋肉や体脂肪も絶えず分解と合成が繰り返されています。なにがどれだけエネルギー源として使われるかは、そのときに何が豊富にあるかや、どういうエネルギー源が必要かによって変わってくるので、明確に数値化できるものではないのだと思います。

          2. 数年前に書いた記事で、書き方が少し言葉足らずだったかもしれません。カゼインかホエイかに特にこだわる必要はないと思います。実際の食生活での吸収速度には、前後に食べるものの影響がありますし、長いスパンで見ると、カロリーやたんぱく質の摂取量が確保できていれば、大きな違いにはならないと思います。

  3. ブドウ糖も糖質です
    そんな事解ってます
    文章の何処を見てブドウ糖と糖質を違う物と理解してるように思われたんでしょうか?
    問題視すべき実験結果が有って
    問題でないとする実験結果は無いが
    脂質、蛋白質、炭水化物を一緒に摂るんだから大丈夫だろう
    おっしゃってる意味はそういう事ですね
    正体不明の写真が大丈夫とする根拠なんですね
    非理論的でビックリです

    1. コメントの通知が来ていませんでした。無視するつもりは無かったんですが、返信が遅れてすみません。

      >問題視すべき実験結果が有って…
      マーティンがこの記事を書いた趣旨は、実際の生活にあてはめて問題視すべきかどうかを考えようということです。

      ボク自身はこの論文まで読んでいませんが、ブドウ糖100gで400kcalです。例えば1日の総消費カロリーが2000kcalとすると、カロリー80%カットの強烈なペースでの減量になります。ウチのサイトでこんなペース設定をオススメすることは絶対ありません。
      本文中にあるように、たんぱく質をしっかり摂っていれば断食時間中も十分なアミノ酸が供給されますし、さらに全体でのカロリー摂取量が増えればそのアミノ酸を血糖値維持のためブドウ糖に変換する必要もずっと小さくなります。

      つまりこの記事の中での50%というのは、現実離れした最悪の状況で得られた数字ということです。見方を変えれば「この状況でも50%で済むという発見」と捉えることもできます。
      リーンゲインズそのままの設定を使った実験結果が存在するワケではないので、マーティンはこういった実験結果を参考材料に16時間の断食や三大栄養素設定などを独自に組み合わせていったということです。
      カロリー収支のマイナス幅が大き過ぎたり、さらに断食が長過ぎたりすれば筋肉の分解は起こりますが、リーンゲインズの設定に問題があれば、実践されている方はどんどん筋肉が落ちるということになっているハズです。

      具体的な数字が出ると目を引くかも知れませんが、全体的な視野を持って考える必要があるでしょう。

  4. 別に混同してないと思いますけど
    アミノ酸使用割合50%は問題じゃないですか?
    ブドウ糖100gじゃなくて
    糖質100g含む食事なら
    全然違う数字になるのでしょうか?
    知りたいのはその1点のみです
    数字だけ見たらビックリですよ
    記事はそのダイエット方法で立派な体になった人の写真を
    載せてますが
    それこそ混同してるんでは?
    人種の違いはかなり大きいと思います

    1. >ブドウ糖100gじゃなくて糖質100g含む食事なら全然違う数字になるのでしょうか?
      ブドウ糖も糖質です。ブドウ糖100gの食事が参考にならないのは、実際の食事でブドウ糖だけを摂るという状況がないからです。脂肪やたんぱく質も一緒に摂ることがほとんどです。
      さらに血中アミノ酸濃度は、1回の食事だけでなく、その前の食事時間や内容も影響してきます。
      本文中に「実際の生活につながるような形で調べた実験はありません」とあるのはそういうことです。

  5. めがね55

    16時間後、筋肉からのアミノ酸使用割合は50%
    さらっと書いてるけど
    それが大問題なんじゃ?
    筋トレしてどんどん筋肥大するなら誰も悩まない
    そういうタイプの体質的に恵まれてると言いたくなる人はいる
    特に白人、黒人は更に
    世界的な陸上100mなどでの日本人や中国人やロシア人
    アメリカやイギリス代表の黒人との体格の違いは
    同じ種目で似たような実力の選手とは思えない程違う
    筋肥大に必要とされる方法を勉強して
    筋トレしても思うように肥大しないから食事にも神経質になる訳で
    3時間ごとに食事したりする
    ここで紹介される多くの写真も
    明らかに人種が違う
    筋肉からのアミノ酸使用割合50って大きい数字では?

    1. 初めまして、コメントありがとうございます。

      いろんな要素を混同してしまっているようですね。
      まずアミノ酸使用割合は50%と書いてあるのは、ブドウ糖100gを摂ったあとの経過を調べた物です。リーンゲインズに限らず、普通の生活で食事がブドウ糖100gだけということはまず考えられないでしょう。

      この記事は、3時間ごとに食事を摂るのが苦しいと感じている人に自由になってもらうための物です。個人的には、1日2食に変えて生活が楽になりました。少なくとも、1日5回も6回も食べなくても良いと知ったことでストレスがグッと減りました。

      3時間ごとの食事でストレスなく思う結果が出ているなら続けても良いと思います。
      聞き慣れない内容で不安要素をいろいろ挙げつらっているなら杞憂だと思いますけど、実践内容を変えることがストレスになるなら、わざわざムリをする必要はありません。

      このページを見てもらえればと思いますが、そもそも食事回数やタイミングの重要度はあまり高くないので、長く続けやすい方法を選ぶのが大切と思います。

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